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ナツメの声に一瞬驚いた様子を見せたミアは振り返ると笑みを浮かべた。
「はい、何だか目が冴えてしまいました」
「そっか。星空、綺麗だな」
ナツメはそう言いながらミアの傍に座った。
「変に思われるかもしれませんが、私はあの星屑の海に祖父母がいて、いつも私を見守ってくれてる気がするんです」
彼女はじっと空を見つめながらポツリと呟いた。
「別に変じゃないよ。俺も、ミアの祖父母は星になって空からミアのこと、見守ってると思うよ」
「ありがとうございます」
ミアは愛らしい瞳をナツメに向けながら微笑を浮かべる。
「あ、あのさ……ミアに確認したいことがあったんだけど」
ナツメは、ドギマギしながら無理やり話題を変えた。
「はい、なんですか?」
「ミアの宝具、ニーベルングって言ったっけ?その、性能?みたいなの、出来たら教えて欲しいなって……」
「この指輪ですか?」
ミアは左の五指にはめられた黄金に煌めく指輪を目の前に掲げた。
「いや、別にどうしても嫌なら……強制はしないけど……さ」
「あ、違うんです……私も完全にニーベルングの能力を把握してる訳じゃなくて。理解している範囲でよろしいなら、何でも答えます!」
ミアはそう言うと、自身が使用する宝具についてナツメに解説し始めた。まず、彼女の宝具が発する糸は、本体と同様の材質で出来ているらしい。宝具はその殆どがアダマンタインという、やたら強靭な材質から造られている。ナツメのエリュシオンや、キャロルのヘリオスも同様だ。
「糸は伸縮自在で、遠方の……例えば柱や木々に打ち込んだ後、短くすることで移動したりすることが出来ます。あと、糸自体を太くしたり細くしたり調整することも可能です。太い糸の方が当然、強度があるんですが、糸を伸ばす毎に細くなり強度も脆弱になります」
「へぇ」
ナツメは感心した。ここまでの説明だけでも、ミアが自分たちより余程、宝具の特性を理解しているか伝わってくる。
「フライスネークと闘ってた時さ。護符?みたいなの吊り下げた糸を出してただろ。あれは?」
「それは『呪符縛り』です」
ミアは左手の人差し指に右手を添えた。光を放ち出した指輪から、先端が尖った矢じり付きの糸が引っ張り出される。
「人差し指から出す糸には、エレメンタルの魔力を帯びた呪符が吊られているんです。私が任意の指定で爆発させられる、いわば攻撃に特化した糸ですね。逆にナツメさんたちがフライスネークを倒した後、私が張った網状のネットは薬指から発しました」
ミアは人差し指の糸を戻すと、今度は薬指の糸を引き上げた。糸の先端には丸い輪っかのアクセサリーがついている。




