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ジェフ達と食堂で別れた後、ナツメとキャロルはポトラの立地構造などを再確認するために、橋を行き来していた。
確認することがナツメの考えている作戦に関係あるのか?と聞かれれば、答えはノーだ。
ただ、フライスネークとここで戦闘になると考えた時、周辺の地形を把握しておくことは、決して無駄ではない。
村を巡ると、つくづく不思議な景観をしていると再認識する。湖に点々と隆起する島々と、それら高低差のある小島の大地を繋ぐ橋。
視点を変えて観ると、芸術的な造りといえなくもない。
だが澄み切った湖とは対照的に、ポトラの村を包む空気はどこか淀んでいた。
それは村人の、排他的な心情を表しているような気がした。
ナツメとキャロルは一通り村を巡ると、高地の小島にあるベンチで休憩することにした。
「なあ、キャロ」
ナツメは携帯していた、水筒のキャップを開けて水を飲みながら、隣に座っているキャロルに語りかける。
「ーん?なになに?」
キャロルはペンチに腰掛けながら、両足をぶらぶらと前後に揺らしていた。
「悪いな……こんなことになっちゃって。ジェフにはああ言ったけど、俺がやろうとしてる作戦は博打も良いとこだ。それに……キャロにも怪我を負わせてしまうかもしれない。いや、怪我どころか最悪——」
そこまで言って、ナツメは閉口した。口に出したくなかったからだ。想像すらしたくない。
「そんなこと気にしてたの?ナッちゃんは馬鹿だなー」
キャロルはけろっとした表情を浮かべている。
「馬鹿って何だよ!俺はお前のこと心配して言ってるんだ!」
「僕だってお兄ちゃんのこと心配してるよ?」
そういわれて、ナツメは返す言葉を失った。そうだ。俺がキャロルのことを案じているのと同様に——彼女も俺のことを考えてくれているのだ。キャロルの存在の大きさを今まで以上に強く感じる。
「ほんと、ナッちゃんは心配性すぎるんだよ!大丈夫。何とかなるって。僕とナッちゃんの二人ならきっとあのフライチキンもお茶の子さいさい。そしたらミアちゃんも肩の荷が降りて一件落着。でしょ?」
キャロルは破顔する。その笑顔を見る度にナツメは思う。彼女と自分は正反対だ。例えれば、月と太陽。もしくは陰と陽。ナツメはキャロルの婉容な相貌を真正面に見据える。
「それにさ、どのみちお兄ちゃんは僕がいないと何にも出来ないんだから!」
「るっせーよ」
——キャロ、ありがとな。
ナツメが天空を仰ぐと茜色に燃える美しい空と、落照が目に突き刺さった。




