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第10話・獣人と遊ぼう中編

「ふいい、意外とこの魔法疲れるな」


額についた汗を拭い深呼吸する。いま98回目の闇夢魔法を使った所だ。

この魔法は人の無意識の中にある闇の部分。つまり1番思い出したくない事を夢にだし、さらに2回目は幸福な無意識からそれが崩壊する夢。と、言った感じでどんどんと酷くなっていく魔法だ。

さらに便利なことに、印象的な夢というものはなかなか忘れられないものだ。この魔法で夢を覚えていてもらっては効果が亡くなってしまう。なのでこの魔法には夢をわすれる効果も着いているのだ。


10秒後


「あ………う……あああああ」


「おーい、大丈夫ですかー?」


やりすぎたかもしれん。精神崩壊しかけてるし…


「う、あああああああああ」


「こわい夢見たんだろ?質問に答えないともう1度見せるけど?」


「嫌だ!もう嫌だ!見たくない!見たくないの!」


「んじゃ、質問に答えてくれる?嘘ついたらもう1回だからね」


「うん……だからもう…」


「それはお前次第だけどな。じゃあ、1個目の質問いこうか。出身村の位置を教えてくれ」


「それは……」


まだ抵抗出来るのか…これは答えてもらっても嘘かもしれないな。


「まった、答えるのが遅かったもう一度だ」


「待って!答える!答えるからやめて!」


俺はそんなことはお構い無しに魔法をかける。闇が彼女を覆う。さて、今回はどんな夢を見るのやら



10秒後



闇が晴れると涙で顔をぐちゃぐちゃにした女が姿を表した。顔があかんことになっとる。最初に見た時は綺麗な金髪をポニーテールでまとめた真面目そうな女の子だなーとか思った。魔法のせいだが、いまは見る影もない。



良心が痛い



「うぐっ、えぐっ…」


「質問、答えられる?」


涙とか鼻水とかでぐちゃぐちゃになった顔をこっちに向けて頷く。


「じゃあ、君の出身地から……」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうやら人さらい集団の村はここから山を一つ超えた所にあるらしい。

いまからそいつら全員を引っ捕えに行くわけなんだが…


「うう…えぐっ、ズズズ…父さん…母さん…」


さてと、こいつどうしますか…

いや、尋問したの俺なんだけど、なんかこう…ね?

どう見ても拘束具は解いたんだけども歩ける様子ではなさそうだし…

でも俺が彼女の仲間を皆殺しにしちゃったわけだし……うーーーん…


「とりあえず連れていくか…」


担いで連れていくかと思い近づこうとすると


「ヒィ!(ズザザザザ)」


と、猛烈なスピードで後ずさりされる。

拉致があかないなと思い少し命令口調で


「こっちにこい」


するとビクビクしながらも近づいてきた。

付いてくるように命令して歩き出す。するとピッタリと後ろを付いてくる。なんかもう……ホントに……良心が痛い…


「付いてこい」


と言うと何も答えずに下を向いて付いてくる。

おそらくだが、夢を何10回も見させられて夢と現実が入り混じっているのだろう。

夢で村を壊滅させられる夢を見せられてそれが現実で起こったと勘違いしていると思うのだが…

そこからは気まずい雰囲気を耐えた果てにやっと家が見えてきた。

だが、この猫耳少女は下を向いているため気が付かない。


「なんだ貴様!」


村に入ろうとしたら警備兵が突然襲ってきた。

ブーストをかけずに相手が出来るか実験するためにとりあえずオーバードライブだけかけておく。

数は2人。武装は槍。2人が同時に槍を突き出してくるのを感じて少し後ろにバックする。そして片方の槍を引っ張り足をかけ転んだ所に顔に膝蹴りを入れる。


槍を奪い横に一線。


「ぐぶ!」


首に赤い筋が一線出来て血を吐いて倒れる。

中に入ると大体30名の非戦闘員がいた。皆俺を見るなり家の中に入っていってしまった。

そして


「人間が獣人を倒すとはの…お主ただの餓鬼ではないようじゃ」


この村の村長らしき人物が出てくる。

このジジイは非戦闘員などではない。殺気を感覚を研ぎ澄まさなければ分からないくらいまで体内で押さえ込んで増殖させている。

そしてジジイの声を聞いて俯いていた猫耳少女の首が持ち上がる。


「村長…」


「イル…お主…」


俺はイルと呼ばれた少女の髪を強引に掴んでジジイに投げつける。


「感動のご再開で悪いんだけどよ、そいつ以外全員俺が殺したから」


瞬間、ジジイの殺気が抑えきれなくなってダダ漏れになった。だが、ポーカーフェイスで顔は鉄仮面で殺気だけダダ漏れなのだから地味に面白い。

イルはジジイの服を掴んで泣きむしっている。


「お主歳は?」


「18」


「6じゃな」


なんだよこいつ俺の話聞いてたのか?まあ当たってるんだけど…


「してお主ここがどこだか分かっておるのかの?ここはワシらのテリトリーじゃそれを単独で乗り込んできて仲間は全員殺させて頂きましたとなってはワシもそれなりの対処をせにゃならんのじゃよ」


「勘違いを正そう。まずは俺はこの村を壊滅させる気はない。条件を飲んでくれるのであれば俺はこの村に被害は与えない。」


「条件とやらを聞いておこうかの」


「簡単さ、もう二度と人間を攫うのをやめて大人しく国の中に入れ。」


「ぬ!」


何故それを知っているという様子だ。察するに俺の推察は当たっていたのだろう。

この村は国の中に入るのを嫌がっている。その事情は知らないが、明らかに外生きていくよりも中で生きていく方が生きやすい。


なのに金が稼げなくなっても意地でも中に入らずに人さらいを始めた。

明らかに国を嫌っているようにしか見えない。


「ふむ、お主の言ったことは理解した。じゃがそれは杞憂(きゆう)じゃよ」


「どういうことだ?」


「流石にここまで突き止められてはのここではもう稼げん。引越しじゃよ。じゃがの……」


殺気が膨れ上がる


「仲間を殺したお主を返すわけにはいかんのじゃよ。」


「やらなきゃ俺がやられていたんだ。被害者は俺なんだが…」


「これはそういう話ではない!」


やけに野太い声で叫んだ。


「この戦いは仲間への贈り物とする、貴様の死を持ってな!」


叫んで拳を構えて臨戦態勢を作る。


「まあ、そっちがその気ならこっちもも容赦しないぞ。」


俺は錬金で短剣を作り出し、片手に握りつつ銃を構える。


「そうだ、獣人は殺し合いする時も試合のようにするんだっけか?」


「よく知っておるの、だがそれでいいのか?」


この場合だと俺が圧倒機に不利なのだ。試合は両者が10m離れて試合開始の合図と共に始まるのだが、獣人ならば10mは一瞬で詰められて終わり。

だが、このルールでやらなければ他のものは勝ちと認めないかもしれない。多少無理をしてでもこの条件は貫かなければ行けなかった。

なので俺は首を縦に振った。


「そうか…ならば構えよ!イル、合図を」


「は、はい!村長…」


イルが心配そうに見つめる。


「なぁに、心配はおらんよ。こんな若造に遅れをとるようなワシではない」


「し、しかし…」


「それともなんじゃ?イルはわしがこの小僧に劣ると言いたいのか?」


「いえ、そんなことは…」


「じゃったら見ておれ、早く場所を変えて綺麗な所にみんなの墓を作ろう。」


「はい!」


その姿はまるで親と子だった。

その姿をみて少し羨ましいと思う。きっと彼女は幸運なのだろう。親に捨てられたが新しい家族を手に入れられるとは。


「終わったか?」


「ああ、待たせたの」


「今の会話に一つだけ追加だ」


頭に?を浮かべて俺を見る。


「ジジイ、アンタの墓も作ってもらいな」


「ぬかせ小僧がっ!ひねり潰してくれよう!」


俺達の顔には笑が浮かんでいる。やはりこいつも戦闘狂だなと思いつつ構える。


「それでは、両者かまえて……始め!!」


いま、戦いの火蓋が切られた。

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