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宣言します

遅くなりました。閲覧ありがとうございます。

 結局存分に胃を休めた私は使用人が迎えに来るまで、部屋に閉じこもっていた。

 いくらたくさんのご子息ご令嬢が参加しているからって、遅くなって心配をかけさすまいと使用人に連絡をしておいた。おかげで存分に休んでしまい、このざまである。


 いやはや、皆様には大変ご迷惑をおかけしたものです。ごめんなさい。



 使いの物を先に歩かせ、長い廊下を歩く。石畳でできた床には、足音をより大きくかなでさせる。実際まだ子どもの私は、歩幅が小さいため、人よりも多めに音を鳴らしていた。


「ずいぶんと遅い退室だな、リディア嬢」


 げっ。後ろを振り向かなくてもわかるその声は私の胃痛の根元。昨日関わらないって、決めたのに! なんででて来るのよ!



「……殿下。私も先ほどまで、体調が優れなかったもので」


 いっそ聞こえなかった事にして、そのまま家に帰りたいところだったが、流石にそれはまずい。

 それより誰だよ、王子様キャラなんじゃないのとか言ったの。この年からこんな性格悪いのかよ。


「へぇ……俺に媚び売りはしなくていいのか?」


 嫌味たっぷりの言葉にまじる私への嫌悪感が伝わってくる。よくもまぁ、私はこんな男に言い寄っていたのか。少し前の私には関心する。

 しかし、あまり彼とも関わりたくはない。なんと言っても私は自分の身が一番かわいいのだ。

 この男と関わることで私の未来は、破滅へと向かっていくのだ。

 さすがにもう、嫌われているので、さすがに関係も修復はできない。ならば、ここは諦めて殿下とは関わらずに生きていこう。


 私は身体を殿下にきちんと向ける。鋭い瞳がこちらを睨み付けるが、気にせずに口を開いた。


「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。しかし、それも今日で最後に致します。これからはあなたに関わるつもりはないので、ご安心ください」


 きっちりと相手の目を見つめ、言葉を言う。それは私の覚悟の表れでもあった。これは家族や自分の未来を救うきっかけにもなる。

 しかし、殿下は気に入らないのか、眼を細め、私を睨み続けている。


「俺がお前の言葉を信じると思うか? どうせ、俺にかまってもらうための芝居なのだろう」


 子供らしい顔つきからは、想像ができないような恐ろしい表情を浮かべている。私が十分に嫌われているのは知っていたが、そこまでの妄想はある意味すごい。


「なんとでも、おっしゃってください。今まで不敬の詫びにでもなるなら、どうぞ。それでは、もう二度と会うことはないように致しますので。御機嫌よう」


 深いお辞儀をして、相手の顔を見ることはなく、その場を立ち去る。後ろで何かを言っている気がしたが、振り向くことはなく、待機している迎えの元へ急いだ。

 


 とーっても、大事なことを忘れていたけど、婚約破棄はどうしよう??



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