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プロローグ
風が鳴いていた。
打ちつけるそれは冬の時期を通り過ぎ、穏やかなものとなっている。
制服の裾が翻る。 固く締めたネクタイ。糊の入ったカッ ターシャツ。
否応なしにそれが自分の緊張に繋がる。 眼前を仰ぐ。 時刻は既に朝の喧騒とは程遠いものとなっており、辺り一帯には生徒の姿は見 えない。
幅広い城壁のように固く閉ざされた門。
そこが通常の学舎の入口だとだれが気づくだろうか。
そうそれこそが、今日これからこの男が通うことになった学校。
「ヴェルデ魔導学校か。」 その呟きを残し、男は入り口へと向かって行った。
この何処か不気味な学校に仕事をするために。 不吉な風に背を、推される様に。