1113〜キルケとイワンにニルス
マウリッツ城。
「裏手から?城壁の外?」
「ああ、アグニアもここから出て行った」
「出入り口があったのかい?城から庭への勝手口ならいざ知らず、城壁の外とは?」
「今説明している場合ではないっ!早く皆外へっ!もたもたしていると、海賊どもに頭カチ割られるぞっ!さっ!」
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「ニルス殿っ!終わるかいっ!」
「どうしたお前ら。そんなに慌ててッ。ま、あとは4隅の留め金具を確かめればいいだけさ。思った以上にこのマルグレーテが器用でさッ」
「じゃあとはこのイワンに任せてくれっ」
「お前に?」
「ああ、こう見えて俺はガラス職人の端くれ。人形作りのあんたより腕はいいのさ。たぶんだけどね」
「その分手癖も早いがね」
「キルケ、余計な事はいいっ!この2人を早く避難させてっ!厨房小屋だっ!セシーリアにも準備をとっ!」
「な、な、何が起きたってんだ?」
「来たんだよっ」
「来た?誰が?ドロテアかい?」
「ドロテア1人なら慌てることなんかないだろ?来たんだよっ!海賊どもがっ!」
「え?もう?じゃあラーシュの言ってたことは本当だったのかい?」
「いいから、いいからっ!早くしないと海賊どもに頭カチ割られるぞっ!もう石畳の真ん中辺りまで来ているんだっ!その数ざっと150!」
「150ぅ!誰が見た?」
「面倒だなぁっ。オロク殿だよっ!オロク殿っ!天守の見晴らし台で見張ってたんだ」
「なるほど。あそこからなら見えるや。俺もよくバレンツの海を眺めてたもんだ」
「どうでもいいよ、そんな話っ」
「おっと、話してるうちに金具も留まった。イワンとやら、お前の手は借りずに済んだ。んでこの扉はどうすればいい?」
「2枚とも開け放して置けばいいさ。大きく両側に。そう、どうぞいらっしゃいとばかりにさ。油断極まりない感じでね。したら海賊どもがやって来て、皆城壁内に入ったところで外からピシャリだ」
「そうだ、城の男たちも女達ももう逃げ出して来るからね。城壁内は海賊どもばかりになる」
「袋小路のネズミだ。また男たちの城になるってわけかい?」
「ハハっ、ニルス殿。面白いことを言う」
「まあね」
「さ、もういいだろう。厨房小屋へ」
「けどそんなに上手くいくものか?奴らは百戦錬磨の海賊だぜ?あのハラルとかいう首領がそんなに簡単に罠に引っかかるとは思えないんだが」
「ニルス殿っ。つべこべ言わずにっ」
「そんなに注意散漫な奴らとは思えない。俺が敵の大将だとして、城扉が開いていれば念には念を入れるさ。右足踏み入れながら左足は城の外に出したまま。簡単にドドといっぺんには、、、入るのはまず半分だ」




