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雪溶ける少し前 01

 ここに、一枚の原稿用紙がある。

 作者の名は、竹内光。


 『桜はもう散った。

 花びらたちは地面に落ち、つもる。

 まるで雪のように。

 それは、雪のようにつめたく、

 ホットココアのように、あたたかい

 そのホットココアはきっと、桜の涙を溶かしてくれるだろう』





 いつも掃除をしていない窓が、何でこんなにきれいなんだと思ったら、窓が開いていた。

 この研究所を建てたときから、鍵をこわし、開かないようにしていたのに……。

 ……時が来たんだ。

 わしは、ゆっくりと席を立った。トムくんを肩に乗せる。

 トムくんは、わしのことをちらりと見ると、窓から飛び立っていった。

 「さようなら。トムくん」 大空に羽ばたくトムくんを、見えなくなるまでずっとながめていた。

 そう。

 トムくんはわしが作った鳥型ロボット。

 トムくん自身は、自分が人間だと思っていた。

 それが、ついさっき。

 わしが話したネコの話で気づいたのだろう。

 自分も、ロボットなんだと。

 そして、わしが、トムくんを恐れていたことも。

 トムくんは、大好きだ。でも、恐ろしい。

 やっぱり、ロボットだからだろうか。

 ケガをしても、すぐ治る。

 飛べるのに、言葉がしゃべれる。

 わしが、理想としていたことなのに。

 現実になると恐ろしい。

 こんなはずじゃなかったと、今になって思える。


 旅立ちなさい。トム。

 どこまでも、果てしない空を。

 燃料が尽きる、その時まで。


 ━あ と が き━


 こんにちは。葉崎です。

 約一ヶ月に亘って連載した『ぼくたちの四季』ですが、今日で最終話です。


 実は、この作品は某新人賞に応募して落ちたものです。投稿時そのまま掲載させていただきました。見難い部分があるかと思います。その場合は、評価感想していただけると、今後の執筆に大いに役立つことと思いますので、よろしくお願いします。


 (余談) 作者自身のお気に入りは田中君です。なので、本来は違う人物の予定だった「冬は、ココアに〜」の主役に抜擢。本当は、竹内光の予定でした。


 それでは、また明日。

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