秋は、たこ焼きスケッチブック 04
二個目のたこ焼きを口に入れながら、周りを見る。
青空に、屋台がたくさんある。
食欲をそそられる匂いにつられる人々。
笑っている人。おでんを食べている。
怒っている人。きっと、たい焼きのあんが少なかったんだろう。
泣いている人。買ったばかりのソフトクリームを落としてしまった幼稚園児。
最初は、委員長になったとき、今年の文化祭はわたしが作っていくんだ。と、思ってたのに、何かちがうな。
わたしは五個目のたこ焼きを口に入れる。
みんなが作ったんだ。なんて言うと、月並みだけど。
その通りかな。
最後のたこ焼きを口に入れる。ゴミはゴミ箱へ。
ゴミ箱の近くに行くと、周りにゴミが散乱していた。わたしは、それを一つひとつ拾い、ゴミ箱に捨てる。まったく、ちゃんと捨ててくれないと……。
「ねえ、これ食べる?」 とわたしにたこ焼きをつきつけてくるのは、光だった。
「さっき食べたけど」 空き缶を拾いながら、わたしは言う。
「八個って、ちょっと多いよなあ。一人じゃ食べられへんわ」 もぐもぐと口を動かしながら光が言う。わたし、全部食べられたんですけど。しかも、みょうな関西弁になってるし。わたしは、光がつまようじを渡してくるのでそれを受け取ると、一個食べた。やっぱりおいしい。
「なあ、これ終わったら今度はポップコーン食べへん? うちがおごってやるわ」 光は最後の一つをポンと口にほうりこむと、ゴミを拾い出した。
「あ、体育館行かなくては。午後の部がはじまってしまうわ」 わたしは時計を見て光に言った。
「もうそんな時間? わたしも行こう。あのね、後輩が書いた脚本が劇になっているんだよ」
わたしと光は急いで残りのゴミを全部拾い集めた。
体育館へ急ぐ。途中、大きな木の前で立ち止まり、誰もいない上を見上げて、二人して首をかしげた。 「何だったんだろうね、あの人は」
体育館につく。今日は体育館の床にビニールシートがはってあるので、土足でもいいんだ。
「沙貴絵ちゃん、沙貴絵ちゃん」 わたしは呼ばれたほうに走っていく。クラスのみんなが待っていた。光は、開いているパイプ椅子を探しにうろうろしている。
「わたしたちの出番は、この次の劇が終わったらすぐだから。沙貴絵ちゃんは、照明係だっけ? うん、それじゃあ、もう二階にあがって準備しててくれる?」
わたしはうなずくと、二階へとあがった。あがっている途中に、ビーという音がして、あたりが暗くなった。わたしたちのクラスの前にやる劇がはじまったんだ。
わたしは、ポケットから体育館の出し物のプログラムを取り出した。
ええっと、 『劇 不思議な客人たち 一年五組 主演・亀塚健嗣 野澤莉子……その他たくさん! どうぞ笑ってやってください!! ちなみに脚本は佐沼結人』 最後の四文字がとても小さく書かれている。暗いせいもあるけど、とても読みにくい。
ふうん。これか光が言っていた後輩が脚本を書いているっていう……。
わたしは、照明のライトが取り付けられている場所に行く。
一年五組の生徒がライトを動かしていた。
「あ、会長! どうしたんですか?」 びっくりしてふり向く一年生。




