秋は、落ち葉と共に踊る暇もなく 01
二学期が始まったとたんに、文化祭実行委員が呼び出された。
ぼくは、一年五組の文化祭実行委員だ。四月に委員会を決めるとき、体育委員や保健委員とちがって、短期間で終わるから楽だろうなと思ってこの委員会にしたんだけど……。
夏休みの先輩たちの言葉がよみがえる。なんか、大変そうだよなあ。
「はあ」 ぼくは、文化祭実行委員が集まる教室へ歩きながらため息をついた。
「どうしたの?」 同じ委員の木野が首をかしげる。
「いや、何でもない」 ぼくは、考え直す。先輩たちは、ぼくをおどかそうとしているにちがいない。うん、きっとそうだ。
教室についた。戸を開ける。
えっと、どこに座ろうかな……。ぼくは、パラパラと座っている教室を見わたす。
「あれっ」 一番後ろの窓ぎわの席に、竹内先輩が座っていた。肩ひじをついて外をながめている。
「なんだあ、先輩だって実行委員だったんですね」 ぼくは、となりの席に座りながら話しかける。木野は、となりのクラスの佐竹と前の席に座る。
「……ちがう。生徒会だからよ」 ぼくの方を向く竹内先輩。その目にはすでに疲労の色が……。そういえば、生徒会副会長だって言ってたっけ。
「はい、静かにして下さいますか。ええ、では、文化祭実行委員会をはじめたいと思います。わたくしは、生徒会会長で美術部部長、今回の委員長をつとめさせていただきます、佐藤沙貴絵と申します」 佐藤委員長は、静かに一礼した。何か、拍手しないといけないような雰囲気がただよう。パラパラと拍手の音がする。佐藤委員長はつづける。
「副委員長は、生徒会副会長で文芸部部長の竹内光さんです」 大きな拍手がおこる。竹内先輩は、ニッコリとほほえんだ。拍手がさらに大きくなる。
「お静かに! みなさまをお呼びいたしましたのは、他でもありません! 湖宮中文化祭まであと一ヶ月を切りました。文化祭は、他の学校や町の方たちに、湖宮中の良さを知ってもらうゆいいつの機会なのです! この機会を逃してはいけません! すばらしい文化祭をわたくしたちの手で、作っていこうではありませんか!」 教卓をバンッとたたく佐藤委員長。
「なんか、選挙演説みたいですね」 ぼくは、竹内先輩に耳打ちする。
「そうよね……。なんか、大きなあくびが出てきそうよね」 そういって、本当にあくびをする竹内先輩。佐藤委員長は見逃さない。
「竹内さん、とても暇そうなので、きっちりと湖宮中のために副委員長として頑張ってもらいましょう」 『副委員長』の『副』を強調していう佐藤委員長。
「はいはい」 手をヒラヒラとふる竹内先輩。
「まっ」 目を大きくする佐藤委員長。なんか、マンガに出てきそうな人だな。
「それでは、これからの行動について、説明させていただきます……」 竹内先輩は立ち上がって教壇に立つ。
「ちょっと、それ、わたくしの仕事ですわよ!」
「さっき、わたしに頑張ってもらうって言いましたよね、会長」 『会長』の部分を強調して言う竹内先輩も負けてない。
佐藤委員長は、おしだまって椅子に座った。
「……それでは、続けます。一年生は文化祭の前日、体育館の装飾が割りふられていますので、前日までに、装飾の用意を。会長、プリントを一年生に配ってください。そのプリントに詳しく書かれていますので、それを見て作ってください。分からないところがあれば、私か会長に。二年生は……」 佐藤委員長は、だまって席を立つとぼくたちのところに来て、プリントを配りはじめた。




