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幸運

2015年8月のお話。

「お」


「どうしたのー?」


「適当にやってたくじ的なの当たった」


「え」


ある日のリビングでの優美。

適当に送られてきた郵便物を見ていたらそんなことをつぶやいた。


「ほんと?」


「いや嘘つく必要ないし」


「詐欺じゃないよね?」


「ではないと思うが。これに関しては応募した記憶あるし」


「で、何が当たったの」


「掃除機」


「なんだろその微妙なあたりは」


「ルンバあるもんなあ」


「なんで応募したし」


「いや当たるわけねえだろうと思いまして」


「どうせあてるならもっと別のところで当ててよ」


「んなこと言われてもなあ」


「まあ掃除機壊れかけのしかなかったから別にいいと言えばいいけど」


「まあ俺は使わねえしあげる」


「優美ちゃんは外掃除しかしないもんね」


「基本外は箒一本で十分というかコンセントが届かないというか」


「まあ境内で掃除機使ってたらそれはそれで謎」


「まあ見た目的シュール感はいがめないよな」


「いがめませんね」


「まあいいや。全く使い道が無いわけじゃないし。完全に使えないものが当たるよりかはマシでしょ」


「完全に使えないものって?」


「え?コンドームとか」


「優美ちゃんの脳みそはピンク一色なんだね。いや確かに今の我々には使えませんけど。もうちょっといい例えなかったんですかね」


「ん、パッと出たのがそれだったから」


「パってそれが出てくる時点でだいぶやばい」


「そうか?」


「そうでしょ」


「例えば何があるよほかに、使えないものって」


「え、ゴキブリホイホイ」


「いや使える気がするけど」


「使えるけど使いたくない」


「それ使えないじゃなくて使いたくない物や」


「だってGがうじゃうじゃ入ってるものなんか私触りたくないし」


「さすがに外に置いたりしなきゃ大丈夫だろ…たぶん」


「真面目に答えるなら、でっかいぬいぐるみとか当たっても困りますでしょう」


「まあ確かに。仮に当たったら俺の部屋に置くけど」


「置くんですか」


「置きますねたぶん。さすがに部屋の隅が丸ごと埋まるレベルだったら考えますが」


「さすがにないと思う」


「なら大丈夫だ」


「そういうの好きなの?」


「意外と好きでっせ。ああいうの枕代わりにちょうどいいねん」


「枕代わりですか」


「下手な枕よりも気持ちいいからね仕方ないね」


「まあ確かにフワフワしてるやつ多いしね」


「そういえば今の部屋おいてないなそれ類」


「前あったのか」


「あったな。ちょっと久々にUFOキャッチャーでもして集めようかしら」


「集めてどうするのよ」


「枕元に並べて寝る。冬の寒い時期だとあったかいからいいよね」


「今夏なんですが」


「なら枕代わりかな」


「結局枕にされるのか」


「今の枕ちょい硬いからな」


まあその枕で既に一年以上寝ているのだが。


「あ、あと掃除機しばらくしたら届くらしいから」


「あ、うん」


「まあ俺がいなかったら受け取っといて」


「優美ちゃんがいないことないでしょ」


「まあな。いない方が珍しいし」


「まあうん、わかった。もしもいなかったら受け取っとく」


それから数日。


「ただいま」


「おかえりー。届いたわー」


「あ、この前言ってたやつ?」


「そうそれ。ほれ掃除機だぞ掃除機」


ばんばんと近くに置かれた段ボールをたたく優美。


「開けてないの?」


「組み立てるのだるい」


「そこか」


「あとどうせ俺使わんし」


「まあね。まあ使うときになったら開こうかな」


「まあ前のやつ壊れてからでいいんじゃないの。まだ使えるでしょ」


「うんまあね。使えると言えば使えるからね。ちょっとコード短いけど」


「そうなん」


「悲しいかなコードレスタイプじゃないからうちに置いてあるやつ」


「こいつはコードレスっぽいけど」


「お、ほんと?なら早くそっちに乗り換えよ。正直コンセント差し替えながら掃除するのだるかったんだよねえ」


「まあこの家横に広いもんな」


「うん。コンセント位置変えながらじゃないと全部掃除できないんだよね」


「当てた価値あったな」


「そうだね。あ、そうそう、当てたで思い出したけど」


「何」


「スーパーでくじ引きやったらあたったよ」


「お前もか。最近よく当たるな」


「で、駄菓子詰め合わせみたいなのもらった」


「ああ、あの食べるやつが限定されるやつ」


「そう?」


「いやなんというかあの手のやつって好きなやつ食ったらそのまま台所に放置するイメージあるわ」


「まあ最悪余った分はあげるなりすればいいし」


「誰に」


「…香苗ちゃんとか?」


「いらないもの押し付けられる川口」


「あとはしげちゃんとか」


「あいつお前から貰えるなら喜んで食しそうだな」


「ここに来る子供達でも」


「全員にいきわたらないと喧嘩になりそう」


「まあ別にこれも置いてあって困ることはないでしょ」


「まあね。別に食べればいいからね」


「しかし、私まで当たるとは思わなんだ」


「これはお互い運を使い尽くしたな」


「そんな不吉なこと言わないでください」


「あとはひたすら不幸にまみれて一年過ごすのか」


「やめてください。優美ちゃんの幸運力でなんとかして」


「悪運は強い気がするけどな。幸運力があるかどうかは」


「でも少なくとも私よりは運あると思うの」


「というより、お前の持ち運が俺の方に流れてきてるが正しい気がする」


実際、二人一緒に何かをやると、

高確率で優美の方に幸運が訪れるので、

あながち千夏の運を吸い取っているのは間違いないかもしれない。


「しかし一つ思うのだが」


「何?」


「こんなに当たるんならどうせなら宝くじでも当たってくれよと」


「まあうん、それは確かに」


「まあ生活費には困ってないけどさ。金があるにこしたことはねえ」


「でも、ある意味私たちはすでに最高の幸運くじに恵まれてるって言えるかもよ?」


「何がよ」


「美少女になってここにいる」


「…幸運なのか?これ?人によっては呪いじゃねえかむしろ」


「私たちがよければそれでいいのです」


「まあね」


なお掃除機は次の日以降交換された。


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