3章3話「そうだ、皆で特別訓練をしよう!」
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補習午前の部が終わり、昼休み。
俺・しずく・陽斗・雨宮さんの四人が食堂で昼食を取っていると、
先ほどの二人組が、少し緊張した様子で近づいてきた。
「昼食中にごめんね。
僕は三組の藤宮 湊。彼女は白石 澪。
よければ、皆と一緒にお昼を食べてもいいかな?」
俺としずくたちは顔を見合わせたが、
誰一人として嫌な顔をするやつはいなかった。
「もちろん! 席空いてるから、どうぞ!」
「一緒に食べよ。せっかくだしね。」
「いいぜ! 一緒に食べようぜ!!」
「藤宮くん。澪ちゃん。どうぞ座って。」
二人はほっとしたように笑い、俺たちの輪に加わった。
いつもの面子に二人が加わり、テーブルの雰囲気が少しだけ賑やかになる。
藤宮君は、しずくより少し背が低く、丸いメガネが印象的な男の子だ。
毛先をワックスで無造作に束ねた、茶髪のショートヘア。
気弱そうに見えるが、どうやら真面目で強い芯を持った人間らしい。
白石さんは、藤宮君と同じか少し低い身長の、細身な女の子だ。
派手すぎない茶髪を、シュシュでショートポニーテールにしている。
表情が豊かで、感情がよく表にでるらしい。
おどおどしながら、こちらを心配そうにちらちらと見ている。
二人は、まだ少し緊張しているようだったが、
箸を動かし始めると、すぐに自然な笑顔がこぼれた。
俺たちもつられて笑ってしまう。
こうして見ると、この二人……雰囲気がいい。
陽斗が、何気ない調子で声をかける。
「二人は三組だろ? クラスの雰囲気はどんな感じなんだ?」
湊と澪は一瞬だけ視線を交わし、苦笑いを浮かべた。
「うーん……正直、にぎやかだけど、みんな必死だよ。
“ ギリギリ入学組 ” って言われてる分、頑張らないと置いていかれるからさ。」
「あはは…。
ウチのクラスは ” 落ちこぼれの集まり ” って、学校中に知られているしね。」
冗談めかして言った澪の声には、
ほんの少しだけ悔しさが滲んでいた。
湊も同じ気持ちなのだろう、拳をそっと握りしめる。
冒険者学校では、入試の成績順でクラスが編成される。
一組は、スカウトや推薦を受けたか、入試で高成績を残したエリート組。
二組は、平均的な成績で入学した中堅層組。
三組は、ギリギリ入学できたか、成績は低いものの “ 伸びしろあり ” と判断された組。
そんな背景を思い出していると、湊が深く息を吸い真剣な表情で言った。
「……僕は、もっと強くなりたいんだ。」
「前回の演習で、岡田君たちはダンジョンの異常に巻き込まれたって聞いた。
もし自分が同じ状況になったら……きっと澪を守りきれなかったと思う。
だから、基礎からしっかり鍛え直したいんだ。」
「湊……そんなこと考えていたんだ。
わたしだって同じ気持ち。湊を守れるようになりたいよ……」
二人のまっすぐな想いに触れて、胸が少し熱くなる。
(わかる……俺も、守れなかった悔しさを知っている)
だからこそ、自然と口が動いた。
「……だったらさ、午後の特別訓練、みんなで一緒に組まないか?」
俺の急な提案に、しずくたちは驚きながらも、次々に賛成してくれた。
「悪い人じゃなさそうだし……一緒に頑張るのは、いいと思うよ。」
「まぁ、俺らも基礎からやり直したかったところだしな!」
「よろしくね。藤宮くん。澪ちゃん。」
湊と澪は、胸にこみ上げるものを押し殺すように頷いた。
「ぜひ……お願いします!」
「よろしくお願いします!」
二人の表情には、不安よりも “ 前に進みたい ” という強い意志が宿っていた。
その姿を見て、俺の胸にも静かに火が灯る。
(……俺だって、次に同じことが起きたら、しずくを守り切れるか分からない。
前世の経験があることに、心のどこかで甘えていたのかもしれない。
この仲間たちと一緒に、気持ちを引き締めて再スタートしよう)
こうして、6人での特別訓練が始まろうとしていた。
TIPS:冒険者学校のクラス割り
・一学年は 一組・二組・三組 の三クラスで構成される。
・入試の成績に応じて、以下のようにクラスが決まる。
一組:スカウト、推薦、または高成績を残したエリート組
二組:平均的な成績の中堅層組
三組:ギリギリ入学または“伸びしろあり”と判断された組
・それぞれに成長に適した担任と、カリキュラムが組まれる。




