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転生三回目の俺、今度こそラブコメもダンジョンも攻略したい  作者: 読むの大好き工房
1章

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1章1話「今度こそ、俺の人生にラブコメを」

お読みいただきありがとうございます。

文末に説明用のTIPSを書きましたが、読まなくても問題ないように本編を書いています。

読んだ方が世界観は理解できますので、ご興味がありましたらお読みくださいませ。


なお、本日は5回(10時・13時・15時・17時・19時)投稿します。

俺の名前は岡田倫太郎。

……なんか、聞いたことのある名前だって?

ごめん。どこにでもいる普通の高校生だ。


ただひとつだけ、普通じゃないことがある。

それは、異世界転生の記憶が二回分あること。


一度目の人生は、普通に地球で過ごしていた。

俺は、小さいころから学力も運動も誇れるところがなかった。

そして、大人になった後はブラック企業に就職した。


朝は始発、夜は終電。

「若いんだから根性見せろ」が口癖の上司と、

「休み? 取れるわけないだろ」と慰める先輩。


気づけば、家には眠りに帰るだけの生活になっていた。


もちろん、恋人なんてできるはずもない。


……でも、そんな生活の中で、ひとつだけ救いがあった。


ラブコメだ。


漫画でも小説でもアニメでもいい。

とにかく “ 恋愛してる誰か ” を見ると、

心がふっと軽くなる気がした。


(……こういう青春、俺もしてみたかったな。)


深夜の部屋でひとり、ラブコメを堪能しながら、

カップル未満のやり取りにニヤニヤしていた。


そして、日々の仕事に忙殺されるなか、迎えた長期休暇。

俺は、未読のまま積んでいた作品を一気に読み始め、

気づけば三日間寝食を忘れて読書に没頭した。


ふと、お腹がすいたなと立ち上がった瞬間、視界がぐらりと揺れて――

机の角に後頭部を強打して、そのまま死亡。


(もし、もう一度人生があるなら……今度こそ、ちゃんと生きたい。

 誰かを大切にして、誰かに大切にされて……そんな普通の幸せがほしい。)


その願いが届いたのか、神様が与えてくれた二度目の人生。

その舞台は、科学の代わりに魔法が発達した “ 異世界 ” だった。


魔法がある世界に俺は興奮した。だって男の子ですもん。

……ただし、世界は残酷だった。


魔法は、才能がある者にしか使えない。


もちろん俺に才能があるわけがなく、転生特典もチートもない。



女神様どこぉ?



そんな俺は、非力で非才ゆえに、パーティーの斥候職として地味に働いていた。

パーティーメンバーには恵まれていたし、日々の生活に十分な稼ぎもあった。

……しかし。


ダンジョン探索中、パーティー仲間のラブコメに気を取られた俺は、

宝箱の罠解除に失敗し、爆発系の罠に引っかかり死亡。


……いや、分かってるよ?

ラブコメに気を取られて二度も死ぬとか、バカだって。


でも、しょうがないじゃん!!

だって、あいつら相思相愛なの丸わかりなんだぜ!!

そんなの俺の大好物じゃんかよ!!

ふざけんな! 大好き!!!


そして迎えた三度目の人生。

俺が転生したのは――異なる世界線の地球だった。


科学は発達してるし、スマホもある。

ただ一つ違うのは、この地球には “ ダンジョン ” があること。



五十年前、世界中に突如として出現したダンジョン。

内部には未知の資源と魔物が存在し、

その素材はエネルギー・医療・工業など幅広く利用され、現代社会の基盤となっている。


ダンジョン素材をうまく採取できれば莫大な利益を得られるが、

魔物は “ ダンジョン素材を用いた武器か素手 ” でしか倒せない。

ダンジョンで活動する、危険だが夢のある職業――それが冒険者だ。


そんな世界で、俺の目的はただひとつ。


普通の恋愛がしたい。



……いや、ほんとにそれだけなんだよ。


だってさぁ!


今までの人生でお付き合いした女性はゼロ!!

いい雰囲気になった女性もゼロ!!

俺、二回も転生しているのに!!


……本当は、自分でも何が悪いかは自覚している。


才能があるわけでもない。

面白い話ができるわけでもない。

何か一つでも人様に誇れるものがあるわけでもない。


それなのに、他人のラブコメを見た瞬間に、IQが下がり “ 感情が爆発 ” する。


(あぁあああああああああ~!!

 両片思いの男女が、繰り広げる青春ラブコメディ~!!

 こういうの、大好きッ!!)


声に出して叫びこそしないが、

口元がにやにやしていて、最高に気持ち悪い顔をしている自覚はある。



そんな俺には、幼馴染の女の子が1人いる。

……え、勝ち組?

いやいや、聞いてくれ。


俺だって、子供の頃はそう思っていたさ。


隣の家に住んでいる、笑顔の可愛い女の子――水無月みなづきしずく。

高校生になった今では、横髪と襟足を長くした黒髪のショートヘアが似合う綺麗な女の子になった。

細身でスタイルも良く、頭もいい。

俺が勝てているのは、せいぜい身長くらいだ。


中学生以降、次第に会話は少なくなったけど、交流が減ったわけではない。

子供の時にプレゼントした、イルカのヘアピンも身に着けてくれているし。

嫌われてはいないはずだ。


しずくは、普段は無表情に見えるけど、決して愛想が悪いわけじゃない。

気遣いのできるいい子なんだ。

たまに作った料理のおすそ分けを持ってきてくれたりするし……

いや、あれはただの近所付き合いだな。


……ただ、いつも俺を睨んでる気がするんだよな。

俺、なんかした?


親同士も仲が良くて、しずくとは小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた。


だから、あいつが俺を睨んでくるのも……

幼馴染特有の “ 距離感の近さ ” ってやつなんだろう。


……たぶん。


それに、三度目の人生を迎えて思うんだ。

俺は周りの環境に恵まれている。


だけど、前の人生では親孝行らしいこともできなかったし、

仲間には助けられてばかりで、何ひとつ返せなかった。


だからこそ、今度こそは――

ちゃんと誰かを大切にできる人間になりたい。


しずくにも、親にも、友達にも。

俺を支えてくれる人たちに、胸を張れる生き方をしたいんだよ。


そして、正真正銘、今度こそ俺は――

ラブコメも、ダンジョンも、人生も精一杯楽しんで攻略してみせる。


TIPS:ダンジョン

・50年前、世界各地に突如として出現。

・内部には未知の資源と魔物が存在し、資源はエネルギー・医療・工業など幅広く利用される。

・階層ごとに難易度が異なり、現在は国が管理して一般公開されている。

・内部には “ マナ ” と呼ばれるエネルギーが満ちており、マナを含む攻撃でなければ魔物に有効打を与えられない。

・魔法は存在しないが、ダンジョン内でのみ使用できる “ スキル ” が確認されている。


TIPS:自衛隊

・ダンジョン内部では、魔物に近代重火器がほとんど通用しない。

・ダンジョン外では、スキルが使えないため、冒険者は一般市民と同じ脅威度となる。

・よって、自衛隊の役割はダンジョン出現前と大きく変わっていない。

・稀に発生する “ 魔物の氾濫 ” に備え、ダンジョン周囲には武装した自衛隊員が常時配備されている。


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