第三章 崩壊(14) 思わぬ・・・(2)
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「勝負あったね。
シャーロットに行くよ。」
黄泉の森で逐一情報を集めていたランダがバーローを促した。
「ブラウニスが勝つと・・・」
「いいや、逆だよ。この戦争はアルカイの勝利で終わる。
シャーロットにアルカイが進出する前にシャーロットの土地を買い占める。」
怪訝な貌をするバーローにランダが続ける。
「ルーメンスブルグはセイン・ヴィノ・・彼奴等が居る所に近い。いつかは横やりが入る。それよりも奴等の影響の薄いシャーロットにルーメンスブルグ以上の歓楽街を造る。」
ランダは廻りの者を見渡し、
「急ぎな。」
と旅の準備を急がせた。
シャーロット、ルーメンスブルグには及ばないもののその街城の壁は高く、それに囲まれた居住区は広い。その町にランダは入り、その町の中心のにそびえる宮城を見上げた。
「なかなかいいよ。」
ランダは一人頷いた。
「使えそうな土地を調べな、なるべく広くな。」
そう言うとランダはバーローを伴って宮城に入って行った。
「これはこれはブラウニス公爵。」
ランダは腕を広げて恭しくお辞儀をした。
女風情が何の用だ。とブラウニス公爵はランダを睨み付けた。
「隣国、アルカイ神聖共和国との戦争で大変なようでございます。」
ランダはその目に怖じる様子はなかった。
「戦費がお入り用かと。」
公は苦い貌をした。
「その金・・寄付いたしましょう、幾ばくかでしかありませんが。」
ランダはバーローの従者に持たせた木の箱を開けさせた。
そこにある金の輝きに公の体が前のめりになる。
「但し・・」
そこでランダは強い言葉を発し、
「私の商売を認めて頂きます。」
と、猫なで声に変わった。
「お前の商売・・・」
「娼館、劇場、舞踏場、酒場、等々、人々の娯楽に関するもの全て・・・それが私の商売です。
税は儲けの二割・・国庫が潤いましょう。悪い話しではないかと・・・」
ランダはもう一度頭を下げて木箱の金に目を遣り、バーローは徐に木箱の蓋を閉めた。
「話しは以上でございます。
ではまた・・ご連絡をお待ち申し上げます。」
そこまで言うとランダはさっさと宮城を後にした。
「いい場所はあったかい。」
粗末ではあったが暫くの宿、夕暮れにはそこにシャムハザを始めとする部下達が集まってきていた。
それにアリスが頷き、使えそうな奴も見つけたよ。とその横でラツィオが片目をつぶった。
「どんな奴だ。」
「金で動き、口は堅い。」
「仲間は。」
「三十人ほどいるらしい。」
矢継ぎ早の質問の後、ランダがふと洩らす。
「手は汚したくない。」
何を以てそう言うのかは他の者には解らなかった。
翌日、あちこちと街中を歩き回るランダを探し求めて宮城からの使者が来た。
「早速返事が聞けるようだね。」
ランダはラツィオに片目をつぶり、バーローに同行するように言った。
玉間に入るとブラウニス公爵がいた。
「昨日の申し出・・許そう。」
「それでは町の北側の一角を頂きます。」
ランダは事も無げにそう言った。
「あそこは貧民街、多くの者が住み建物もある。それをどうするつもりだ。」
「そうでなくなったら私が頂きます。
まあ、先ず手始めに、軽く工事に入らして貰いますよ。」
ランダはシャムハザを監督に貧民街の者達を雇い入れ何軒かの酒場の建設を始めさせると、帰るよ。と、唐突にシャーロットを出た。




