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茶番じゃないよ

〜話を戻して、ここはコクーン内〜


「司令、いつまでこんな茶番を……」


 俺に後ろからメーリカ姉さんが声をかけてきた。


「茶番って……」


「だってそうでしょう。

 国王捕まえて、帝国に引き渡せば終わりなのでは」


「いやいや、違うでしょう。

 俺達は海賊討伐の一環で」


「司令まだ茶番を言いますか」


 俺は、帝国の人たちが始めた取り調べの最中に、小声で話し込んでいた。

 確かに帝国の人からしたら茶番なのだろうが、俺達は違うぞ。

 少なくとも俺がダイヤモンド王国の法律から逸脱した段階で、あいつら(国内に蔓延るクソ貴族たちのこと)からどんな攻撃があるかしれたものではない。


 ただでさえ、俺の存在が疎ましく思われているのに、王女殿下のお立場を悪くするから絶対に法律の範囲内で行動するしか無い。

 俺等の会話が聞こえたのはここの司令である王子が俺の方を見てニヤリと怪しげな笑顔を見せてきた。


 王子も俺等に付き合い、ダイヤモンド王国の法律を尊重してくれているようだ。

 だから、わざわざこの場に法律の専門家まで駆り出してきた。

 あとで、そのあたりについてもすり合わせでもしておこう。


 作戦前では、一切そんな話し合いをしてこなかったと今反省している。


 まあ、作戦前ではそもそも無謀とも言える作戦なこともあり、成功後のことまで考える余裕などなかったけどな。


 俺もそうだが、帝国側も茶番とも言える扱いに、フェノール王国の王と宰相は困惑しているようだ。


 身柄を拘束されたことを理解した段階で、この度の戦乱の負けを覚悟したようで、二人はしきりに外交ルートでの解決を模索し始めている。


 まだ、彼らから名前が上がっては来てないがコランダム王国からの外交応援を期待しているようだ。

 二人からしたら、コランダム王国からの指示で動いていたような部分もあることだし、国そのものが滅ぶまでは考えていなさそうだった。

 そう、国が滅ばないので自分自身のことを国そのものと考えているフシのある国王は、自分の安全も楽観視しているフシがある。


 そのため、かなり舐めた態度を取っている。

 もっとも、こちら側の追求も常識の範囲だということも俺達を舐められる要因のようではある。


 どこの国も貴族階級、もっとも彼は王族、しかもその最上位に当たる国王なのだからなのかもしれないが、クソ貴族らと何ら変わらない。


 まあ、取り調べをしている帝国側も、それは覚悟の上で粛々と仕事を進めていた。


「そろそろ時間です」


 先程の事務官が取り調べをしている軍服を着た偉そうな人に声を掛ける。

 俺でも知らなかったのだが、ダイヤモンド王国の法律に貴族階級に対しての聞き取り調査における制限事項があり、その中で一回の聞き取り調査にかけられる時間が2時間と制限されていた。

 どうも帝国にも同様な法律があるらしく、その法律に今のところ準拠しながら聞き取りをしている。


 そう、この被疑者の負担を考えながらの取り調べについては、あくまで貴族階級に対してのことで、ダイヤモンド王国内においては、この2時間で貴族の両者が落とし所を詰め寄るためのものだったらしい。


 しかし今回は、昨今俺達がやたらと大量に捕まえたこともあり、目の前の国王たち以外では2時間の調査を何度も繰り返してきちんと処罰しているようだと話には聞いていたが、ここでもそうなりそうだ。


 フェノール王国の国王はダイヤモンドの法律で言う貴族に当たるかという問題はあるにはあるけど、先ほどらい一部の者達の間で茶番と言われているくらいなので、まあ、貴族として扱うほうが無難だろう。


 そう、茶番と言われようが、俺達はとにかく取り調べに際しても違法行為はしていない、これが大切だ。

 後は司法当局がどうとでも判断してもらえればいいけど、そこまで俺等の責任ではないし、何より当初の目的の両陣営にとって最低限の被害で収めたことは大きい。


 これなら、大騒乱に無理やり持っていこうとも……コランダム王国がぶち切れて直接グラファイト帝国に攻め込まなければ、事態は収束していく……はずなのだが、どうしても未だに嫌な予感は消えそうにない。


 まあ、これ以上俺にはどうすることもできそうにないし、妄想ですら大騒乱に至るストーリーは考えられない。


 しばらくして、マキ本部長から我々が扱う被疑者について、ダイヤモンド星の司法当局に引き渡すよう命令が入ってきた。


「司令、本国のマキ本部長から、王女殿下からの命令を伝えてきております」


「ああ、どこにあいつらを運べばいいか正直判断に迷っていたんだよな。

 流石に本部があるニホニウムに連れて行っても絶対にアイツラ被疑者を引き取りそうになかったし、正直王女殿下には感謝しか無いな」


「確かに、先ほどらいの茶番でも、『テリトリーではありません』と言われれば我々としても引き下がるしか手はありませんしね」


「こういう法の不備はすぐにでも是正してもらいたいものだな」


「ええ、『旧フェノール』国内での犯罪については、どこの司法当局が扱うかまでは、法律に明記されていませんしね」


 メーリカ姉さん、フェノール王国の扱いを無きものとしてないか。

 『旧フェノール』だって、流石に俺でもそこまでひどくはないが。

 しかし、それならなんと表現すればいいか……メーリカ姉さんの言う『旧フェノール王国』という表現は案外ありかも。


 俺は、ここコクーンの司令である王子と被疑者たちについてと今後についての打ち合わせをした後、俺たちが引き取ることになる者だけを連れてダイヤモンド星に向かうことにした。


 王女殿下の命令でもあったことでもあるし。


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― 新着の感想 ―
有る意味現在進行形で同じことが中東で起きてるのが笑えない…
妄想 SFなんだけど状況整理がおいつかない 前を読み返しています。
既に国家解体(そもそも国と認めてない)まで筋道は準備してるんだろうな(震え)
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