第3話:のぞき魔たちの末路(男ってやつぁ)
えっと、どうやら新たな能力に開花したみたい。
固有スキル、【雪による広域探索】。
私が凍らせた、あるいは雪を降らせた範囲内にある「すべての動体気配」を、手取るように把握できるレーダーみたいな能力だ。
で、今、部屋を凍らせたばかりの私のレーダーなんだけど。
(……いや、反応ありすぎでしょ)
窓の外、屋根裏、廊下の物陰、外の壁に張り付く影。あらゆる場所に、騎士団員だか隠密だかの気配がひしめき合っている。
可憐な12歳の美少女の
部屋を覗き見か?
そうか、全員、ロリか?しかものぞき魔なんだな。
ならば
「全員、逝ってしまえ」
私が冷徹に呟いた瞬間、私の部屋から溢れ出た超絶冷気が、騎士団宿舎の全体を容赦なく飲み込んだ。
パリィィィィィン!!!
一瞬にして、騎士団宿舎のすべてが白銀の氷に閉ざされた。
かろうじて無事だったのは、私の冷気の「ガチの殺気」を本能で察知して限界跳躍で逃げ延びた、副団長のレイラさんと、あのゴリラマッチョだけ。
……後で聞いたら、あのゴリラ、騎士団長だってさ。全く、人の上に立つ役職なら、最低限のデリカシーくらい身につけて欲しいもんだ。人だよね?
現在、凍りついた宿舎のあちこちから、騎士団員たちが半分壁に埋まった状態で生えている。まるでシュールな前衛芸術のオブジェだ。全然綺麗じゃないけどね。
ガタガタと震えながら、レイラさんが苦笑いで私に両手を合わせた。
「う、うんうん、怒る理由はめちゃくちゃ分かるよ、ツララちゃん……! でも、あいつら、決して悪い奴らじゃないんだ。ただちょっと、バカなだけでね。……今回だけは、私に免じて許してやってくれないかな?」
衣服の自動洗浄機能のおかげで、血の汚れひとつない着物の裾をきゅっと整え、私は冷ややかな視線をオブジェ(男たち)に向けた。
「……わかった」
私はパチン、と指を鳴らして凍結を解除した。
え? どうやって一瞬で元に戻したかって? 普通に氷を溶かしただけだよ。氷の分子運動を急速に活発化させただけ。前世の科学の常識だよね。
……まあ、ちょっと分子を動かしすぎて、宿舎全体が『熱湯風呂』並みにアッツアツになっちゃったのはご愛嬌。氷から解放された男たちが「あづづづづづ!?」とのたうち回っている。
そんな男たちの前に、一歩踏み出したのはレイラさんだった。その背後には般若のオーラが見える。
「さて、お前ら……全員、地獄特訓フルコース6時間だ!!」
熱湯から這い上がった団員たちが、絶望の声をあげる。
「「「「そりゃ、殺生だぜ。姉御――ッ!!」」」」
「ほう? 今、私のことを『姉御』と呼んだね。いい度胸だ、5時間追加だ! さっさといけぇぇぇ!!」
「「「「ヒェェェェエエエ!!」」」」
怒号と共に男たちを蹴散らしていくレイラさんを、私はツンとすました表情(内心:お姉さん超かっこいい、抱いて)で見つめていた。姉御と呼んじゃいけないみたいだ。さっき呼びそうになったのは内緒にしとこう。




