episode44
"カランコロン"とベルを鳴らして扉を開く。すると、温かな照明に照らされた店内が見えてくる。
「いらっしゃいませ。...あぁ、雅臣に明楽ちゃんか。よく来たね。明楽ちゃん、いつもと全然雰囲気が違うね。うん。可愛いよ。いつもは"王子様"だけど、今日は"お姫様"、かな?」
「...店長。人の誕生日に人の彼女口説くのはやめてくれませんかね?」
「ヤダなぁ、口説いてなんかないよ?可愛い子に可愛いって言って何が悪いのさ。心の狭い男は嫌われるぞ
?」
「て・ん・ちょ・う!!」
「ハハッ!ごめんごめん(笑)雅臣ってばからかいがいあっていいね!あ、明楽ちゃんが可愛いのは本音だからね!」
「さ、席へどうぞ。」と先程まで雅臣をからかっていた佐々木は2人を席へと案内した。案内されている最中、店内からは「なんだあのモデルカップルは?!」と注目され、仕事仲間であるスタッフ達からは「あれって明楽君?!いつもは王子様なのに!めちゃかわなんだけど!」と声が上がった。
「今日は雅臣の誕生日特別メニューを用意したからね。飲み物はオレの知り合いの農家の100%ぶどうジュースをチョイスさせてもらったよ。料理が出来上がるまでこれを飲んで楽しんで待っていてね。」
「「ありがとうございます。」」
佐々木はジュースを注ぐとそう言って去って行った。
「じゃあ、改めまして。お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう。明楽。」
「これ、ほんの気持ちなんですけど、誕生日プレゼントです。」
明楽はそう言うと、キレイに包まれた香水を雅臣に手渡した。
「そんな。服まで買ってもらっちゃったのに悪いよ...」
「もともと渡す予定だったので受け取ってください。」
「...ありがとう。開けてみても?」
「はい。」と了承すると、雅臣は包みを開け香水を取り出した。
「香水かぁ。...明楽もなかなか大胆なチョイスをするね。」
「え?大胆...ですか?」
「ん?オレはてっきり意味を理解して選んだのかと。」
「な、何か変な意味があるんですか...?」
明楽がそう問うと、雅臣は香水の瓶を口元へと持っていき、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。そして...
「意味はね、"あなたを独占したい"だよ。」




