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明末の麒麟児  作者: sawami
第3章
23/51

いいことはいつまでも続かない

 お久しぶりです。論文などで時間が久しぶりの投稿なのでお詫びとして今日は朝、昼、晩で三話出して、これから週1、2ペースで投稿する予定です。

 これからも見ていただければうれしいです。

東シナ海沿岸 船上

 朱慈煥はあの後南京からそのまま南下し、目的地である泉州を目指していた。

 鎮江を過ぎる頃、船着き場で耳にした話が頭に残っていた。清軍の南下が続くなか、福建省や浙江省では水軍崩れの海賊たちが多く、東シナ海から沿岸一帯を縄張りとしているらしい。

 (陳永華に会うためには、まずその縄張りを通らねばならない)

 朱慈煥は、今乗っている商船の舳先から広がる海を眺めながら、静かにそう考えていた。泉州までの航路は、決して安全とはいえない。船頭も出港前に神妙な顔で言っていた。「沿岸は物騒でございます。気をつけねば」と。

 穏やかな海だった。潮風が頬を撫で、遠くに連なる山影が霞んで見える。しかし朱慈煥には、この静けさが不気味に感じられた。

 そのときだった。

 「おい、あれを見ろ!」

 船頭の怒鳴り声が飛んだ。朱慈煥が振り返ると、男たちが一斉に船尾の方角を指差している。水平線の端に、いくつかの帆影が見えた。最初はただの漁船かと思った。しかしその船の横には大砲がそなえられていた。中にいる人々も武装しており、服装もまばらであった。

 「か、海賊だあ!」

 甲板が一瞬で蜂の巣を突いたような騒ぎになった。船員たちが怒鳴り合い、乗客の商人たちが青ざめて荷物にしがみつく。

 朱慈煥は動かなかった。

 (落ち着け。まず情報だ)

 迫りくる船を目を細めて見据える。朱慈煥はあの船には複数の高い帆があること。そして船の中心に竜骨が見当たらないことからあの船が沙船だと推測した。三隻が潮の流れに乗り素早くこちらに向かってあっという間に囲まれた。

 乗客たちが船底へ逃げ込む中、朱慈煥は逆に甲板の中央へ歩み出た。震える船頭が目を剥く。

 「坊主、何をしておる!早く隠れろ!」

 「隠れても無駄です」

 朱慈煥は静かに言った。

 「この状況では、逃げ切れません。ならば迎えた方がいい」

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