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明末の麒麟児  作者: sawami
第2章
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揺れる南京

※お待たせしました。これから投稿を再開します。

 南京は、かつてないほどの政治的混乱の渦中にあった。

 皇位継承を巡り、二つの勢力が激しく対立していた。

 一つは、史可法ら東林党を中心としたグループ。彼らは、万暦帝の弟である朱翊鏐の息子、朱常芳を擁立しようとしていた。文才に優れ、政治手腕もあると目されていた朱常芳は、東林党の理想とする皇帝像に合致していた。

 対するもう一つの勢力は、馬士英ら反東林派の官僚と、盧九徳ら宦官からなるグループ。彼らは、万暦帝の孫で、贅沢三昧の生活を送っていたために民衆から恨まれていた朱常洵の息子、朱由崧を推していた。

 そんななか、朱慈煥は何をしていたのかというと、

 「そこの君、『老子道徳経』の注釈書があるのはどのあたりかな?」

 「あ、そこは左の奥の棚のあたりに置いてますよ」

 朱慈煥は南京にある書店街で書賈(中国の書店)のもとで働いていた。朱慈煥は南京が陥落するまでに路銀をためるため自身の歴史の知識を活かしてここ「文楽堂」というそこそこ大きい書店で働くことができた。

 「最近、老子や仏教関係の本が良く売れるなぁ」

 「こんなご時世だ。隠者にでもなって世俗から離れたいんだろうさ」

 「そう考えると、今接客しているあの坊主は整理やらおすすめの本の紹介やら一人でこなしてて、たいしたもんだなぁ」

 「まったくだ」

 一緒に働く従業員たちが雑談しているとき、奥から店主がやって来た。

 「おまえたち、雑談している暇があったら入り口の掃除でもしてこい!!」

 そう怒鳴った店主に、従業員は慌てて箒を持って入り口に向かった。

 朱慈煥はそんなことをよそにこれからの行き先を考えていた。と言っても行き先は決まっていた。

 (目指すは福建省泉州府堂安県。そこでどうしても会いたい人がいるんだよなぁ)

 その人物は今は無名であるがのちに台湾で鄭氏政権を築き上げる鄭成功から「今の臥竜(諸葛孔明のこと)なり」と褒め、鄭家麾下の参謀や鄭氏政権首席文臣となる陳永華だった。

 

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