3-11 見た目だけを誤魔化す魔法、その逆利用法
戦闘では必ずしもゴブリンメイジ2体と遭遇するわけではない。
余裕がある敵編成であれば黒字になることもある。
しかしオークが魔石回収での銀貨1枚にしかならない以上、戦闘で採算を取るのは難しい。
毒状態のまま戦闘に突入し、場合によってはその毒状態のまま戦闘を終わらせて、引き続き毒状態を引っ張る事もある。
どこまでも毒消しポーションをケチった行動手段だ。
それもこれも、トレントの遭遇率が高く、治した所ですぐに毒状態にさせられるんだから仕方ない。
毒状態のまま歩き続け、戦闘し続けるのは身体的にも精神的にも、正直かなりキツイ。
しかし、こういった苦行にもこれからは慣れていかなくちゃいけないだろう。
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この採算の取れない戦闘の中で、私がアテにしているのは魔力草の回収だ。
しかし森の中を探索してみたが…… 魔力草は未だに1つも見付からない。
Cランク下位の森、魔法系統のモンスターはゴブリンメイジだけ。
この条件下では、中々発見も出来ないのかもしれない。
しかし、この森に魔力が無いわけではない。根気よく探索範囲を広げていけばその内1つ2つは見付かるはずだ。
だけど現実問題として、私は今日の分の稼ぎを確保しておかなくちゃいけない。
ゴブリンメイジとの戦闘では赤字になってしまう。
なので私は、それ以外の敵との戦闘で稼いでおく事にする。
周辺にはそれらしき足跡などの形跡が見当たる。
この森の中の方まで来たのなら、そろそろアレの縄張りに踏み込んだはずだ。
▽ 私は闇魔法を唱えた! 闇が周囲を覆い、姿が見えなくなった!
この魔法は隠れる事にだけ効果がある魔法だ。
ゴブリンメイジから隠れ、他の敵からも隠れ、そのまま動かずに、静かにその場で留まる。
感覚が鈍くさいオークが気付くはずもなく、もちろん動かないからトレントも関係ない。
ただその場で静かに、ひたすら待ち続けるだけ……
お金も掛からないし、使うのはただ時間だけ。
見た目だけしか誤魔化せない魔法であっても。
逆に言えば、“見た目以外”で気付くモンスターだけに絞って引き付ける手段にもなりうる。
──ウオオオオーンッ!!!!
遠くから遠吠えが聞こえて、奴らが気付いたのが分かる。
嗅覚に優れ、遠くの敵を察知して集団で近付いてくるアレが。
待っていれば向こうの方から近付いてくれるんだから、本当に楽なものだ。
▽ フォレストウルフの群れが現れたっ!!
さあ、この森でのボーナスモンスターの登場だ!
物理攻撃しかない奴らは、今の私にとっては格好の的だ。
私は既に戦い易い地形でスタンバイして待ち構えている。
それなのに、わざわざ集団で現れてくれるとは有難い。
ここで森での赤字を回収して、一気に稼いで黒字への転向を計るっ!




