結婚騒動2
お久しぶりです。
お待たせして申し訳ありません。忙しくて全然執筆が進んでいませんが、出来るだけ早く次話も上げられるように頑張ります。
辺境伯から呼び出された俺は、辺境伯の屋敷に向かう途中でテレサを呼んで一緒に向かった。
元々フィーゲルの街を案内するつもりだったので、外出の準備をしていてくれたから、辺境伯が呼んでいる事を伝えるとすぐに出発する事が出来た。
テレサは街を案内してもらう事を楽しみにしていてくれたようで、辺境伯に呼ばれている事を伝えて、街に向かえなくなった事を知ると、少しむくれてしまったが、何を優先するべきかはちゃんとわかっているようですぐに治まった。
辺境伯との話が終わってからなら、街を案内してもらえそうだというのも大きかったのかもしれないが。
テレサの泊まっている宿屋から辺境伯の屋敷まではそれほど離れていない。高級宿なので貴族の屋敷の建ち並ぶ場所の近くに建っているのだ。
そのため特にテレサに説明するような建物もなく、すぐに辺境伯の屋敷に着いてしまった。
俺達が来る事は前もって知らせてあったようで、待たされる事もなく庭に案内される。
そこには辺境伯とフリーダ、そしてマイラの姿があった。
「よく来てくれたなアーク。隣にいるのがテレサ嬢かね?」
俺達の姿を認めた辺境伯から早速声をかけられた。どうやらすぐに本題に入るつもりらしい。
「ああ、この娘がカレオラのピアソン男爵の娘、テレサだ」
「初めまして、辺境伯様。テレサと申します」
「ふむ、いつもであればようこそフィーゲルの街へ、と言うところなのだが、今回ばかりはそうも言っていられん」
そこまで言うと辺境伯は言葉を切り、テレサをしっかりと見つめた。
「なぜフィーゲルに来たのかは、フリーダ殿から聞いている。個人的には協力してやりたいが、この件に関しては手を貸せん。残念だが侯爵家の者がフィーゲルに来た場合は君の居場所を伝える事になるだろう。
フィーゲルの街はワドル領とも取引がある。私は君よりも我が領の事を優先せねばならない」
辺境伯から伝えられたのは、この件への協力の拒絶。まあ仕方があるまい、辺境伯の言う事ももっともな話だし、取引以外にも口にはしなかったが貴族の柵などもあるのだろう。
さぞかしテレサは落ち込んでいるかと思ったが、顔を見てみるとそれほど落ち込んでいるようには見えなかった。おそらく協力してもらえない可能性がある事をわかっていたのだろう。テレサ自身も貴族の娘だからな。
「辺境伯様のお考えはごもっともな事です。私がこの街にいるだけで、辺境伯様にご迷惑をおかけしてしまう事は重々承知しております。ですのでこれ以上迷惑をお掛けするわけにはいきません。
それに私も無策でここにいるわけではありません。いい方法を考えています」
「ほう?いったいどうするつもりなのだ?」
辺境伯は自分に頼らずに侯爵の手からどうやって逃れるつもりなのか、気になったようでテレサに問いかける。
辺境伯の問いに、テレサは俺の方を向きこう言い放った。
「アーク様、私と結婚していただけませんか!」
「はぁ!?」
想定もしていなかった言葉に、俺も思考が追いつかない。どうして侯爵から逃れるための手段が俺との結婚になるのだろうか?
「なるほど、女神の祝福を受けるつもりですね」
「何だそれは?」
テレサの言葉の意味を、フリーダは直ぐに理解したようだった。
「女神の祝福というのは、アルノミシアの国教であるミリア教において結婚時に受ける事の出来る一種の魔法契約です。契約には審査がありますが、女神の祝福を受けると言う事は、ミリア教に認められた婚姻という事になるので、いくら侯爵といえども無理矢理破棄させる事は出来ないはずです。ただ審査はそれなりに厳しいはずですが?」
「私の母方の伯父がミリア教の枢機卿を務めておりますので、その点は大丈夫です」
「なるほど、確かにその方法が取れれば大丈夫そうですね」
「ちょっと待て」
フリーダは納得したようだが、俺にはこの方法がうまくいくとは思えなかった。理由としては、いくら伯父だとしても審査をパスできるのかどうかとかもあるが、一番の理由は、教会がドラゴンとの結婚を認めるのか、という点だ。
その点を聞いてみたのだが、テレサが言うには俺がテレサを救った事をその伯父は知っており、俺と結婚する事に反対はしないだろうとのこと。また枢機卿の権力を用いれば女神の祝福を一組くらい押し込むのも難しくはないらしい。
権力の乱用についてはどうかとも思うが、他にテレサを助ける手段がないのならそのくらいは目をつぶるべきなのだろう。俺自身テレサを助けてやりたいと思っているし、結婚にしたって形だけにしておいて細かいところは都度相談すればいいだろうしな。
俺も納得し、テレサを救うために協力しようと思ったところで、フリーダが声を発した。
「ですが残念ながらその方法を取るのは不可能です」
「そんなっ、何でですか!?」
急にこの方法は無理だと言い出したフリーダにテレサが詰め寄る。今まで聞いていた限りでは問題無さそうだったが、まだ何かあったのだろうか。
「アークは既に結婚しています。平民では重婚は認められていないので、アークがテレサさんと結婚する事は出来ません」
「「えぇぇーーー!?」」
上がった叫び声は2つ、俺とテレサのものだ。ちょっと待ってくれ、俺が結婚していたなんて知らないぞ。
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