表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/57

忍び寄る脅威16

今話で100000文字突破しました。

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

 北門から続く大通り。今俺はそこで魔力の回復を待っていた。

 辺境伯は居場所がわかるようにしてくれと言っていたが、俺の体で休めるスペースを考えると大通りくらいしかなかった。

 だがそのお陰で直ぐに俺を見つけたのだろう、後からマジックポーションを持ってくると言っていたフリーダがやって来た。


「お疲れ様。大活躍みたいね」

「そうでもない。想定外を考えなかったら、もう少し連発できるからな」

「そうなの?流石ね。とにかくマジックポーションを持ってきたわ。飲んでみて」


 そう言ってフリーダが見せてくれたのは緑色の液体の入った小瓶だった。


「思ってはいたが小さいな」

「まあ人間用だしね。ほら口開けて」


 口を開けると、フリーダが小瓶の蓋を取って中身を注ぎ込んだ。流石のフリーダでも、この非常時には自分を口の中に入れるマネはしないらしいな。

 さて、口の中に入れられたマジックポーションだが、あまりに少なすぎて、ちゃんと口の中に入ったのかどうかもわからない。なんとなく苦味を感じるのでそれがマジックポーションなのだろう。

 飲み込んでみると確かに魔力の回復を感じる事が出来た。出来たのだが……。


「どう?回復した?」

「回復したのはしたんだが、回復量が少なすぎる」

「どういうこと?」

「普通の人間の魔力量で考えると1割くらい回復するのかもしれないが、俺だとほとんど回復しないな。量対効果が悪すぎる。マジックポーションは、前線の魔法使いに使ってもらった方が効率的だな」

「あぁなるほど」


 きっとポーションと言うものは回復量が固定値なのだろう。割合回復であれば俺でも十分な量回復するのだろうが、これでは焼け石に水だ。

 そんな話をしているうちに大体30分が経ち、俺の魔力もほとんど回復した。そろそろ前線に向かうとしよう。


 大通りから飛び立ち北門を越えると、外壁の外には30分前と変わらないアンデッドの大群の姿があった。

 冒険者達の攻撃でも数は減っているはずなのだが、見た目には減っているように見えないから、士気を保つのは大変だろう。

 幸いなのは、外壁や門が壊されそうな雰囲気はしない事だろうか。アンデッドの攻撃力はさほど高くないので、傷をつけるにとどまっているようだ。


範囲浄化(エリアプリフィケーション)


 攻勢の激しい場所というのも特に無さそうなので、先程と同じように北門の正面に範囲浄化(エリアプリフィケーション)を放つ。同じように円形にアンデッドが倒れたが、後ろからアンデッドが押し寄せてきて、直ぐに穴は埋まってしまった。

 はあ、まだまだ先は長そうだ。



 俺が参戦してから5時間余り。夕日が辺りを紅く照らす頃、中々数の減らなかったアンデッドだったが、ようやく終わりが見えてきた。

 平原一面を覆っていたものも姿を消し、今では街の外壁を取り囲んでいるもの達だけになっている。

 アンデッドと言うものは総じて夜になると力を増すそうなので、日が沈む前にここまでこれたのは行幸だろう。

 アンデッド達の数が減ったこともあり、今は冒険者達による白兵戦の計画が立てられている。数で押し潰されるだけの差が無くなった今、一気に討伐してしまおうという心積もりらしい。

 もちろん俺もその計画に参加している。回復などの援護を中心に立ち回るつもりだ。

 悠長にしていると夜になってしまい、アンデッドの力が増すので、簡単な打ち合わせのみで、作戦が決行されることになった。


 北門に冒険者達が集まりだす。このまま門を開けるとアンデッドが侵入してきてしまうため、開けると同時に俺が範囲浄化(エリアプリフィケーション)を使い、スペースを確保することになっている。


「作戦を始めるわよ。怪我をしたらアーク君の元に向かって回復してもらうこと。アンデッドを街の中に入れないようにね。開門!」


 フリーダの掛け声と共に作戦が開始される。ついさっき命の危険にさらされたにも関わらず、フリーダもこの作戦に参加している。個人的には心配なので、後ろに下がっていてもらいたいのだが。

 門が開かれると同時に、門に押し寄せていたアンデッド達が街の中に侵入しようとしてくる。俺はその姿を確認した後に範囲浄化(エリアプリフィケーション)を使った。

 押し寄せていたアンデッド達の姿が消えて、門の前に広い空間が出来る。ほうっておけば新たなアンデッドが押し寄せるのだろうが、今回は違う。

 押し寄せるアンデッドを押し返すように冒険者達が飛び出していく。


「脇を抜かれるなよ」

「わかってる。そっちこそ背中を取られるなよ」


 パーティーの枠を越えて、打ち合わせ通りに戦っていく。怪我をした者には俺が治癒(ヒール)を飛ばし、疲労の溜まった者は後ろに控えていた者と持ち場を代わり、休息を図る。

 アンデッドが襲いかかってきた当初にこの作戦を実施していたら、数で押し潰されていただろうが、今なら終わりが見えている。

 このままなら押し切れそうだ。誰もがそう思っていた時だった。

 

「くっ、なんだこいつは!?他のやつらとは比べ物にならないくらい強いぞ。気を付けろ!」


 そんな声と共に、冒険者の囲いの一部が崩れる。そこに姿を現したのは、他のアンデッドと比べると、3回りくらい大きな巨体を誇るアンデッドだった。









誤字脱字等ありましたら連絡をお願いします。

お読みいただきありがとうございます。

作者のやる気につながりますのでよろしければブックマーク登録をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ