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忍び寄る脅威15

 俺の言うあれとは、カレオラで教えてもらった新しい魔法の事だ。いや、正確にはあれ単体では魔法と呼べるものでもないんだったか。

 その魔法とは補助魔法、範囲(エリア)。魔法を補助する魔法だ。

 その効果は魔法の範囲を広げる事、だ。

 簡単に言うと、単体を対象とする魔法の効果を範囲にもたらすようにする事ができる。使い方は魔法の頭に範囲(エリア)をつければいい。例えば、治癒(ヒール)であれば範囲治癒(エリアヒール)となる。

 これだけ聞くと非常に便利で、魔法を使いやすくしてくれるのだが、当然ながらデメリットもある。その最たるものが、消費魔力量の増加だ。

 使用する魔法にもよるが、10倍以上になる。元の魔法の消費魔力量が多ければ多いほど、範囲化した時の消費魔力量が跳ね上がるのだ。

 俺がこの魔法を教わった時も、この点に気を付けるように言われた。もっとも、ドラゴンの魔力量であれば気にする必要もないかもしれない、とも言われたのだが。


 ともかく実地で試すにはいい機会だろう。丁度アンデッド相手に浄化(プリフィケーション)は特効で、単体を対象とする魔法である事だしな。


「範囲浄化(エリアプリフィケーション)」


 視界に入った適当な範囲に効果が出るように範囲浄化(エリアプリフィケーション)を使用する。


「おおっ!?かなり魔力を持っていかれたが、流石の効果だな」


 この姿になってから魔力に困った事はなかったのだが、そんな俺でも一気に減った事がわかるほどの魔力が減った。これは普通の人間には使う事が出来ないだろうな。

 だがその効果は絶大だった。周囲にいたアンデッドは全て動きを止め、倒れてしまっている。しばらく様子を窺(うかが)っていたが、再度動き出す事はなさそうだ。


「範囲浄化(エリアプリフィケーション)」


 様子を見ている間に、新たにアンデッド達が近付いてきていたため、再度範囲浄化(エリアプリフィケーション)を使用する。今回は先程よりも数が少なかったためか、魔力の消費も少なくて済んだ。

 そろそろフリーダ達も外壁の中に逃げ込んだ頃だろうか。ここまで時間を稼げば十分だろう。

 浄化(プリフィケーション)の効果もわかったし、一度様子を見に行こう。

 その場で飛び上がり外壁の中に戻る。そういえばフリーダはどこに居るだろうか。まあ辺境伯の所に向かえばわかるかな。


 辺境伯の所に戻ると、予想通りフリーダの姿もあった。


「フリーダ、無事に戻れたみたいだな。怪我は無かったか?」

「アーク君のお陰で怪我もなく戻ってこれたわ。ありがとう」

「礼はいい。俺もこれまで何度も助けてもらっている」


 俺の言葉に嘘はない。これまでどれほど助けてもらっている事か。どんなに感謝しても足りない程だ。

 無事だったならそれでいい。次いで俺は辺境伯へと話しかけた。


「辺境伯、フリーダ達を助ける際に、浄化(プリフィケーション)の魔法を使ってみたが、かなり効果があった。範囲化も出来たのでそれを使っていこうと思うが、流石の俺でも休憩を挟まなければ多用するのは厳しそうだ。

 危険そうな場所から対応していくが、俺の休憩中は任せてしまっていいか?」

「浄化(プリフィケーション)を範囲化して使う、か。流石はドラゴンだと言えばいいのか。元々我らだけで乗り切らなければならない困難に、手を貸してもらっているようなものだ。好きに動いてもらって構わない。どれくらいで回復しそうなのだ?」

「1回当たり30分程だな。魔力を回復させる薬でも貰えればもっと早く使えるかもしれないぞ。人間用が俺に効くのかは確認しなければならないだろうが」

「あれほどの魔法を使って30分で回復か。この場合ありがたいが規格外過ぎるな。

 フリーダ殿、マジックポーションの在庫はどれくらいあるのだ?」

「前線の魔法使い達に配布してしまっているためほとんどありません。1本持ってきて効果があるようなら、アーク君に渡した方が効率が良さそうなので、少し回収してきましょう」

「わかった。アーク、時間もあまりない、前線に出てもらえるか。優先順位は君に任せる。後でマジックポーションを運ばせるので休憩場所がわかるようにだけしておいてくれ」

「了解だ。出来るだけ北門の近くに居るようにしておくから、何かあれば連絡してくれ」


 話し合いも終わったので、前線である北門へと向かう。補強がされているとはいえ、元々壁であった場所より、門の箇所が一番弱いだろうと思ったからだ。

 空中から北門の外を見てみると、相変わらず大量のアンデッド達で溢れかえっている。冒険者達も奮戦しているが、中々減っているようには見えないな。


「いくぞ、範囲浄化(エリアプリフィケーション)!」


 相手の数も多いので、先程までよりも気合いを入れて範囲浄化(エリアプリフィケーション)の魔法を使用する。

 少し遅れてアンデッド達の中に魔法の光が立ち上る。その光が消えた時、光の中にいたアンデッドは動かなくなっていた。500体ほどは倒したんじゃないだろうか。


「すげえ!一発かよ」

「これなら何とかなるんじゃねえか」

「私達勝てる?」


 それを見ていた冒険者達から歓声が上がった。圧倒的な数の差を目の前にして、流石の冒険者達も士気が下がりぎみだったようだ。


「次を撃つのに30分程かかる。時間を稼いでくれ」


 折角上がった士気を落とさないように、言い回しに注意して時間稼ぎをお願いする。明確な目標が見えた冒険者達は更にやる気を出してくれたようだった。

 


 

誤字脱字等ありましたら連絡をお願いします。

お読みいただきありがとうございます。

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