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5雫目・細やかな主張
一話完結です。
2014年に書いたお話です。
若干、季節外れです。
…この話のモデルの木、花が散ると枝を切られてしまうので、実が手に入らない…_| ̄|○
ふわふわ舞う花びらが、周りを白く彩る。ほんのり薄紅色の花びらは風が吹くと、あちこちに異動しながら、どこか遠くに消えて行った。上を見ると、まだ若い(でも20年は生きている)桜が建物の隙間に覗く空に、精一杯に枝を広げていた。
殺風景な景色の中に、ちょこんと飾られた桜。
いつも見かける桜たちと違って一斉に花手毬を作ることもせず、朱色の若芽を花と同時に開せて、わたしはここにいるよ、と細やかな主張をする。
地面に落ちた花びらを手に取ってみた。他の桜たちより一回り小さい花びら。見上げた枝も横より若干、上に向かって伸びている。どの桜たちより一足早く春の訪れを告げ、ひっそりと咲くこの桜は…。
ああ、山桜。
納得した。
夏になれば、今度は他の桜たちより大きな実を、その細やかな枝に付けるのだろう。
その日を楽しみに、桜の木から離れた。
ありがとうございました。




