表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミツルとミチルとミクニとミコロ 〜 Romance Trium Regnorum et nobilis gladius 〜  作者: 硝酸塩硫化水素


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/93

Ep39 Chapter“2” Scene“1” Cut“5” Take“2” ママ扱いは唐突に

 『点眼』


 それは数ある『魔眼』の中でも群を抜いて特殊な力を有している。その際たる所以は複数の能力をその“瞳”の中に宿している事。

 ホルダーである森之木(もりのき) 稜真(りょうま)は学生当時、学園のイベントに参加してその力を使い熟し第二十回目の“チェラビムス”……その栄えある優勝者となった――



 『点眼』は諜報活動にも戦闘にも使える便利な『魔眼』だが、彼はそれに頼りっきりになる事なく自身の腕を磨いた。

 その結果、戦闘にも効力を最大限発揮し得る――



 向上心が人一倍高い彼は学園卒業後に国の統制下にある六年制の“特別”大学校に進学。本人の進路希望は「教職に就く」だったが、卒業を前に「日本」は戦争に巻き込まれ、彼は表向きはそのまま“消息不明”という事にされた。

 しかし裏を返せば、その稀有な『魔眼』故に学園長が手を回し、“国”という歯車で擦り潰される前に“学園”という名の檻に匿われた小鳥になった……とも言い換えられる――



「まったく夕樹菜のヤツは、どっからこんな話しを拾って来たんだ?」


 稜真から送られて来た報告書を読んだ(ゆずりは)は「冗談だろ」の言葉と共に頭が痛くなった。彼女からの提案や、彼からの前情報がなければ()()()()()()()だったからだ。

 “四股”を踏んだだけで局地的にマグニチュード“7”程度の地震を引き起こし、“張り手”の一撃で砂浜から50m先の海へと弾き飛ばす。それを十人に対して瞬時に行った。……と、記載されていた。


 (ゆずりは)からすれば都市伝説も眉唾(マユツバ)もののハッタリにしか聞こえない。

 これならまだ“マッハメリーさん”の方が、夕樹菜という本人がいるので信じられる。


 そして更に昨日の報告で稜真は「丸腰なら」と話した。ここから少なからず何かしらの「武器」を持っている事が推測出来る。

 完全に化け物だ(規格外過ぎる)


「こんな化け物を手懐けるとしたら……いや、あり得ん」


 (ゆずりは)の脳裏に過ぎったのは、教職者でもある学園長にあるまじき考えだ。よって首を横に振り火が消え掛かっている葉巻きをくゆらせていく。


 戦隊ヒーローがこちら側に付くのが先か、国に知られ先を越されるのが先か。

 学園側は“政府の犬”でありながら、国にこの件を報告していない。これはれっきとした背信行為であり国家に対する反逆。

 だからこそ、先を越されればそこに待っているのは破滅。


 だがこんな報告書を渡したところで政府の“老害”達は(ゆずりは)と同じ考えを持つだろう。そうすれば却って立場を失い兼ねない。

 結局、どちらに転んでも自分の首を絞める事になる諸刃の剣だ。


「この“黄”が話しが通じる相手ならいいが……な」


 濃厚なアロマが部屋を満たしていく。「今はまだ、動く時ではない」それが彼の出した結論だった――



 ―― To the Next Cut ――



 今は本来なら夏休み真っ只中。学校さえなければエアコンの効いた部屋でゴロゴロしながら、“推しアニメ(ランポーくん)”という破格の幸せを満喫出来たハズだ。しかしこのご時世にそんな制度はない。よって、普通に登校する毎日だった。


 ミチルは少しだけ憂鬱だった。ランポーくんを見て、眠れば綺麗サッパリ忘れ去る事が出来るミチルが()()()()憂鬱になったのだ。これは由々しき事態だった。


 ――原因其の壱――


 海に行った日から、(ミコロ)の様子が可怪しくなった。いや、()()()()()()()

 ミチルは、困惑するしかなかった――


「ハロお、まいでぃアレスと、ミチ〜ルせんぱあぁぁい。ないストゥ、ミーちゅぅ!(こんにちは、親愛なるミチル先輩。お会い出来て嬉しいですぅ)」


「ふぁッ?!

 ど、どうしたの?突然変な言葉を使い出したりして。変なモノでも食べた?」


 数学以上に英語が苦手なミチルは、(ミコロ)が何を話しているのか理解出来ない。否、恐らくコレは“英会話”などという生易しいモノではなく、新手の言語……そう、『(ミコロ)言語』とでも呼べるようなシロモノだ。

 しかし、その原因()()は理解出来ている。だからより一層、悩ましかった。


 ミチルは声を大にして叫びたかった。「別にアメリカ人が好きなんじゃない!」……と。だが、ソレを言って、再び「じゃあ、誰が好きなんですか?」と問い詰められるのも非常に面倒くさい。

 結果、可笑しくなった(ミコロ)を好きなようにさせる道しか選べなかった――



 ミチルはこの時既に、(ミコロ)が登校中に現れる事が慣れっこになっていた。そしていつもながらに暑苦しい“肉圧”に、コンプレックスを刺激される事も少なくなった。これはまさに「生物に於ける順応」というヤツだ。

 その反面、クラスメイトに見られた事も多々あり、クラスで揶揄われるのもまた、日常茶飯事になった。

 だが、納得がいかない事もある。


 何故だか(ミコロ)が“母親”でミチルが“娘”なのだ。よって新たについたあだ名が、「母親同伴見守られ小学生」だった。これには流石のミチルも黙っていられなかったが、怒れば怒るほど、「ママを呼んで来ようか?」などと言われる始末。

 最終的に「もう、どうにでもなれ」が降臨する結果となった――



 ―― To the Next Take ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ