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番外編 プレゼント 3

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離れで新婚生活を送っているみふゆと京司朗は、夕飯を屋敷本邸でとり、貴之らと時間を過ごしたあとに離れに戻った。


京司朗は明日から出張に出る旨をみふゆに伝えた。


「明日から・・出張・・」

「三十日には帰ってくる。今片づけないと年末年始がつぶれるからね」

「三十日・・・」

毎年ひとりきりだったクリスマス。今年はみふゆにとって新しい家族みんなで過ごせると思っていた。

二十七日の誕生日にはプレゼントのほかにガトーショコラを焼こうと思っていた。京司朗の笑顔が見られたらいいなと今からドキドキワクワクしていた。

しかし、仕事なら仕方ない。


しょぼーん(´・ω・`)と俯いたみふゆに、京司朗が

「寂しい?」

と、問いかけた。

みふゆは顔をあげて、

「いえ、大丈夫です!わたしは惣領家の娘として、きちんと留守を守ります!」

と強がった。


「・・・」

━━━━相変わらず素直じゃないな


口先は強いが態度がしょぼーんなみふゆに苦笑いをこぼすと、京司朗は両手でみふゆの顔をむぎゅっと挟んだ。


「な、なにふうんれふは!(なにするんですか!)」

みふゆの抗議に、

「こういう時は“寂しい”と言うものだ」

「はみひふはひまへん!(寂しくありません!)」

「そうか、それじゃあ“寂しい”と言わせてやろう」

京司朗がみふゆを抱きあげ、例のごとく(ちから)ワザで攻勢をかけた。





翌朝、午前八時。

京司朗は三上を始めとする部下を引き連れて奈良へ向かった。


みふゆは手を振って見送った。

京司朗も手を振ってくれた。


プレゼントは誕生日当日には渡せないから帰ってきてから渡そう。

当日は電話かメールでお祝いを伝えよう。

メールの方がいいかもしれない。仕事の邪魔にならないように。


京司朗を乗せた車が門から出て見えなくなった。

みふゆは見送りのまま門を見つめている。


「すぐに帰ってくるさ。さあ中に入るぞ」


父・貴之が優しく声をかけてくれた。みふゆは「はい」と返事をした。


そうだ。これまでだって出張はあったじゃないか。一週間なんて“たった一週間”だ。時間はすぐにたつだろう。あっという間に三十日になるはずだ。


みふゆは自身に言いきかせていた。


それでも━━━━


『こういう時は“寂しい”と言うものだ』


昨夜の京司朗の声が聞こえた気がして、みふゆはまた車が出ていった門を振り返った。


京司朗がしばらくいないので、みふゆは屋敷本邸で過ごすことになった。部屋は藤の間だ。屋敷にはみふゆの部屋も京司朗の部屋もそのまま残されている。

京司朗の誕生日プレゼントも持ってきた。

誰もいない離れに置きっぱなしにしたくなかった。


ベッドの端に座って天井を見上げた。 


もやもやする気持ちを払拭したい時、以前なら春夏秋は自転車で走り回り、冬はただひたすら歩いた。けれど、今はもうできないんだと自覚した。

歩けるようになっても、足元は不安定だ。


「・・他の方法を探さなくては・・・」


気分を変える方法を。



「あ、いたいた!みふゆさーん、ゲームやろう!」

冬休みの山斗(やまと)がひょこっと顔を出した。


「・・ゲーム・・・」


気分を変える方法が現れた。





「会長、準備ができました」

黒岩正吾が貴之の私室の廊下、障子の前で膝をおり貴之に声をかけた。

障子の向こうから「おう!」と声がして、貴之が出てきた。

「みふゆはどうしてる?部屋か?」

と、藤の間の方を見た。

「リビングで山斗とゲームをしています」

「そうか」

「声をかけますか?」

「いや、裏口から出る。聞かれたら急な仕事で出かけたと伝えるようにしてくれ」

「はい」

貴之は足早に屋敷の裏口へと向かった。




惣領家の屋敷と道場は専用通路で繋がれている。複雑な通路は間違えると警備室や常駐組の詰め所などに出てしまう。使用できる人間は限られている。

「え?会長出かけたの?」

通路を歩きながら永斗が海斗に訊いた。

海斗(かいと)永斗(ながと)も冬休みだ。

二人はこれから剣道の稽古に入るのだ。

「ああ、さっき出かけたってさ」

「なーんだ。今日こそ会長に挑もうと思ってたのになぁ、残念!」

ぜんぜん残念そうじゃない永斗が指を鳴らした。

「そんなに残念か。そーか、そーか、会長が帰ってきたら伝えといてやるよ」

「や、やめろよ!会長が本気にしたらどうすんだよ!」

「お前はいっぺん死にそうになるまでしごかれろ」

海斗はすでに体験済みである。 

スマホが鳴って永斗が立ち止まった。

「おい、海斗!言うなよ!絶対言うなよ!」

電話をとった永斗をおいて、海斗は道場に足を進めた。

海斗は裏口へ向かった貴之と父の黒岩正吾を見ており疑問を抱いていた。


━━━━裏口から出るのはきっとヘリを使うためだ。そんなに急ぎの用なんだろうか?それとも・・、何かが起きたのか・・・。


海斗は思いながら道場の扉の鍵を解除した。








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