遥か東より来た騎士1
アーサー王がローマより帰還してしばらくした頃の話である。王が普段通りキャメロット城の広間で様々な人々の訴えを聞いていると、円卓の騎士の1人であるガーエリス卿が帰って来た。ガーエリス卿は昨年の春に冒険に出てクリスマスにも戻って来ないまま1年近くが過ぎていたので、仲間の騎士たちは心配していた。ガーエリス卿の叔父に当たるアーサー王は尚更のことであった。
「おお、ガーエリス卿よ、よく戻った。音沙汰がないので心配していたぞ」
農民との話を中断した王が声をかけると、ガーエリス卿は恭しくお辞儀をして答えた。
「王よ、ご心配をおかけして申し訳ございません。話せば長いことながら、こうして無事に戻って来られました。こちらの騎士の助けもあって」
ガーエリス卿が手のひらで示した先には、細長い小札を赤と黒の糸で縫い付けたような、風変わりな鎧を着た男が控えていた。黄色い肌に切れ長の目をしており、長髪を後ろに縛っている。ブリテンはもちろんローマでも見かけなかった風貌であった。
「こちらはヨシタカ卿と申します。遥か東の国より武者修行の旅を続けてこの地にまで辿り着いたとのよし。卿の助けがなければ、私が戻って来ることはなかったでしょう」
ガーエリス卿が軽く紹介すると、ヨシタカ卿は頭を下げた。
「ヨシタカと申します。アーサー王に於かれましてはご機嫌麗しゅう存じます」
「ヨシタカ卿、よくぞ私の騎士を助けて下さった。詳しい話を聞きたいが、訴えに来た者たちを多数待たせておるのでな。夜に宴の席を設けるゆえ、そこで聞かせてはもらえまいか」
「御意」
ヨシタカ卿の返事を聞くと、王はガーエリス卿を見て言った。
「ガウェイン卿は城にいるはずだから顔を見せてやるように。1年経っても戻って来なければ探しに行くと言っていたから喜ぶだろう」
「そのつもりではおりますが……兄の口から出るのは小言でしょう」
ガーエリス卿が苦笑すると、違いない、と王も笑った。




