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「きっと、魂ってとても重いもの」
何者かが扉を叩く音がする。
舟で遭難した祭司であった。
みすぼらしい小屋に似合わぬ
美しい少女と身分の高そうな
騎士に戸惑っている様子だ。
騎士は自分と少女のため、
式を挙げてくれとたのむ。
式が終わるまでのウンディーネは、
ひどくおとなしかったが、
それがすむと手のつけられない
いたづらをしはじめた。
眼差しでたしなめてもきかない。
それがふいにふさぎ込み、
自分の肩を抱いてふるえだす。
「これ…なに、
こんなのが、魂なの?
まるで底なし沼に、
呑まれてくみたい。
なにかが入ってきて、
わたしが変わってく。
もうもとに戻れない。
これから先おこる
かなしみや不幸が
いっぱい視える」
よく癇癪をおこしたが
よく笑う少女だった。
けれどもいままで何かを怖れたり、
涙をみせたりしたことがなかった。
それがおびえて泣いていた。
「魂って、きっと
とても重いもの」
少女は頼りなげに哀しげに、
あてどない眼をさ迷わす。
「捨てないで下さいましね」
「無論だとも」
騎士は少女を抱きすくめた。
「これから水がひくわ。
そうしたら、あなたが
いくのをとめられない」
ウンディーネが呟く。
「連れていくさ」
騎士は笑みを含んでそう応えた。
――俺はそうすべきではなかった。
彼女をおいていくか、
身分地位を捨て去り、
とどまるべきだった。
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