真名開放!ぺるばっと
キィンと寺の階段の少し広いところで金属音が鳴り響いた
ぺるしぃVS侍である
「お主そんな小刀でよくもまぁここまで戦えるものだ」
そうぺるしぃは何の変哲もないただの小刀で戦っているのに対して
侍は刀である
「あいにく僕にはこれ以外の武器はないんだ…よっ!」
キィンとまた金属音が鳴り響く
「ふむ面白いのぉ、その威勢どこまでもつのかのぉ」
「うるせぇ!」
フッと風切りの音が聞こえた
侍は小刀を避け攻撃に切り替えた
まずい!
思った時には遅かった
ブシュっと音をたてながらぺるしぃの右手が切り落とされた
「うっ…ウア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
「どうだ?痛いじゃろ」
手首の辺りから血が流れ出ていた
死ぬほど痛い痛みだ
意識がぶっ飛びそうなくらい
「再生…」
と言うとぺるしぃの手が元に戻った
「なんと再生能力か」
「これは僕の会ってきた動物達の力だ」
右手に小刀を持ち直して再び侍と向き合った
「面白い男じゃ、このままずっと戦っていたい」
「僕はこんなの早く終わらせたいけどね」
そう言うと侍がハッと笑った
「剣技 三枚下ろし!」
「鷹の目!」
そうすると侍の動きをゆっくり捉えることができる
はずなのだが
侍の刀の動き3つ同時に斬りかかってくる斬撃は
見切ることが出来なかった
(どうしてだ!?なんで見きれない!?)
ぺるしぃはバックステップしかとれなかった
「ほう、避けるかお主いい目をしてる」
「あぁ、いい眼だろ?」
とは言ってるがぺるしぃは余裕が無い
というよりもスタミナが切れ始めた
ぺるしぃは簡単に言うと太っているのだ
最大の弱点はスタミナにある
「バックステップをとるなら次は突っ込んでいこう」
と言うと剣を構え直した
「剣技 三段突き!」
「ぐっ…鷹の目!」
再びスローで流れてるかのような映像が目に入ってくる
しかし
「なんでだ!?どうして3つ見きれないんだ!」
今度は上に逃げた
「いつまで逃げてるつもりじゃ」
侍は呆れたように言った
「仕方がないだろ!」
僕はヒマコレXの中でも最下位クラス
他の人には到底敵わないそんな力
スタミナもなく何も出来ない
「そんな僕でも…居場所をくれたんだよ…タヌピスは…」
だから足止めくらいには…
ーぺるしぃここで諦めんのか
脳内にタヌピスが思い浮かんだ
ーお前に敵を託したんだ
ーお前に希望は託してある
ー自分がダメだと思うな
ー今は前を向け、敵を見ろ
「そうさ、僕はヒマコレXNo.2ぺるしぃなんだからな」
「何を1人でブツブツ言っておる」
そのぺるしぃの顔にはもう苦しみなんてなかった
「僕はヒマコレXNo.2ぺるしぃ今からお前を倒す」
「戯言はよせ、負けるのはお主じゃ」
ぺるしぃは右手の小刀を敵に向けた
「まぁよい何を悟ったかは知らぬがワシの一撃を受けるがいい」
そうして侍が剣を構えた
「剣技 三枚下ろし!」
ー今度は避けるんじゃない
ー攻撃するために使う!
「鷹の目!」
ゆらぁっと侍の動きが遅く見える
ー見るのは剣先だけ!そのほかは捨てろ!
それでもまだ捉えることが出来なかった
ブシュとぺるしぃにダメージが入った
だがぺるしぃは諦めなかった
「まだまだァ!」
「面白いなお主」
ークソっ…どうすれば…
『力を望むのですか?』
え?
自分の中から声が聞こえた
おそらく女性だ
『貴方は彼を倒すために力を望むのですか?』
あぁ、そうだ僕はあいつを倒したい!
『この力は強大なもの暴走して貴方の仲間に危害を加えるかもしれないのですよ?』
そんなもの僕が使いこなしてやる!
『この力を悪用しないと誓えますか?』
あぁ!誓うさ!
『よろしい!では私の力を使いなさい!私の名はグリフォン!貴方の力になりましょう!』
「行くぞ!真名開放!我が名はぺるばっと!」
ゴウッと轟音が鳴り響いた
「何事じゃ!」
音が止むとぺるしぃの体が変化していた
まず最大の変化が痩せて
いい感じに筋肉がついている
そして背中に羽がついた
その姿はまるで天使のようであった
「これが僕の本当の力…」
『感心してる場合ではないですよ!来ますよ!』
ハッと侍と向き合う
「貴様はワシの最大の奥義で葬ってやる」
『いいですか?よくやつの剣技をみるのですよ?』
ーあぁわかってる今の僕なら…
「秘剣!つばめ返し!」
「神の目」
鷹の目と同じように侍がゆっくりになる
ー神経を集中して剣先を見る
「見えた!」
キィン!と金属音が鳴り響く
「何じゃと!」
「見切ったぜお前の剣」
そう剣が3つになった訳ではないのだ
斬る瞬間に上下に高速で振って
残像を残し剣を3つに見せるよう錯覚させたのだ
「剣が見切られただけでワシが負けると思うなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『怒りで我を失ってます、今が好機!』
「よし!」
「秘剣!つばめ返しいぃいいいい!!!」
「ヒマコレ式剣術!」
するとぺるしぃが3人に増えた
「何じゃと!?」
「幻影斬!!!」
ぺるしぃの剣は侍を捉え切り伏せた
「見事だ…」
「お前から教えてもらった技術だよこれ」
「だがしかし…傷は3つ…」
「それはうちのリーダーの剣さ」
侍はそれを聞くとハッと笑った
「あいや見事なりワシをこんなにするとは」
すると侍が光をまとって消えかかっていた
「お前…いったい何者だよ…」
「ワシは違うところから召喚された上の奴らの使い魔みたいなもんじゃ」
「…最後に名前を聞いてもいいか?」
「ワシの名前は武蔵じゃ」
「武蔵…ありがとうな」
「いや、礼を言うのはワシじゃ。楽しかったぞ」
そう言うと武蔵は消えていった
それと同時にぺるしぃの体が元に戻り
その場に倒れた
『主よ!大丈夫か!』
「うぅ…お腹が空いた…疲れた…」
ぺるしぃの力が完全に開放された訳ではないが
新しい力を得ることができた
「これでみんなに追いつけたかな?」
そうして倒れながら空を仰ぐのであった