失敗を無理に正当化する必要は無い。失敗は失敗でいいし、それも素敵な1つの出来事なんだから
三階から急な階段を駆け降りる。
今日は早番だった。この後、サークルの飲み会があるから、早く行かなきゃ。
上野の屋台でみんなで飲んで、歩いて、それで。
私って、コミュ力ないんだなとか、やっぱりブスなんだなとか、これまでさあ告白されても、断ったの馬鹿だなとか、私だって、私だって、過去たくさん嫌な思い出あって、それを、なんでだろう、どこかにしまっておけない性格、少しだけ、自分のことが嫌い。
「遥斗くん、私は生きていてもいいのかな……」
そんな相談を持ちかける私も、遥斗くんだって、私も、とっても嫌になってくる。
遥斗くんは私にジントニックを渡す。
「頑張って生きてるりさちゃんは素敵だよ。りさちゃんは、過去にいろんなことがあったんだね」
遥斗くんは色々、話してくれた。
私は多分、過去が今に繋がっているって、過去嫌なことがあったとして、うう、今、その選択を間違えなければ、上手く、今もっと上手くいってたのにとか。そんな思いを透明な青春のサイダーのようなジントニックに。
「未来を、前を、ってみんな言うけど難しいと思うよ、俺は本当にそう思う。俺だって……りさちゃんはさあ、でも、多分、なんだろう、分からない、俺も、分からない、泣きそう……」
遥斗くんと乾杯して、チェキを撮った。そのチェキを楽しそうに落書きしている遥斗くんを見ていた。私だって、落書き出来るもん。メイドさんなんだから。私、メイドさんなんだから。
メイド……うう……沢山、涙が出てきた。どうしよう、痛客みたいになってる……。
「はい」
チェキには顔を少し隠した私と無邪気に笑う遥斗くん。
「この写真は、この時を、この瞬間を切り取った君と僕の記録だよ。過去の選択は間違いだったかもしれないし、未来もたくさん間違えるかもしれないけれど、1個この写真はさ、チェックポイントみたいな感じで、大切に、とって置いてみてもいいんじゃない? 悲しい思い出も、失敗も辛いことも今日も俺とツーショ撮る瞬間も、その全てが、君を作っているんだよ」
送りが終わって、エレベーターでチェキの裏を少し見た。
「りさちゃんの人生はまるでドラマみたいで素敵だね」
って書いてある。バッドエンドも、失敗も嫌なことだって、素敵な物語の1ページで、遥斗くんから見たら私の人生はドラマみたいで。
大丈夫。明日も、一コマ一コマ、撮影していけばいいの。ずっと続く私だけのドラマを。
そうすれば、前に進める、のかもしれない。




