表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第1話 これで逢いに行けます

反射鏡で集められた光は、わたしを透かして上へ上へと伸びていく。


じれったいカバーガラス。

埋まらない作動距離。

合わない焦点。


倍率40倍の対物レンズ越し、

ついに彼の目がクリアに見えた。


放射状の筋に溶け込むまだら模様。

それは小さな宇宙だった。


頭の後ろが少し痛む。

心臓はこれまで以上に早くパクパク動き始めた。


水温が上がった?

いや、さっきから温度は変わっていないはず。


それならどうして?


理由は一つしかなかった。



プレパラートの中、わたしはひとめぼれをした。





気が付くと見ず知らずの空間にいた。

さっきまでプレパラートに乗っていたはず。


水の中ではない。

このままだと乾燥しちゃう。


慌ててジタバタしているとどこからか声が聞こえてきた。


「安心してください」


乾燥することはありません、と声の主は口にした。

それを聞いてとりあえず落ち着く。


「本当に可愛らしいですね」


私の天使、と付け加えた。


「・・・あ、」


その時、初めて声を出した。

自分でもどうやっているのか分からない。


「声を出せるようになってきたようですね」


もう少しすると普通に会話ができるようになりますよ、と付け加える。



数分後。



「そろそろお話ししましょうか」

「・・・うん」


どういうわけか、声の主とコミュニケーションをとることができるようになった。


「あなたは自分が何か理解していますか?」

「・・・みじんこ」


そうですね、と声の主は応える。


「直径数ミリメートルの水の妖精です」


声の主はそのまま続ける。


「そんなあなたは身の丈に合わない恋をしました」


その言葉通り、と口にする。


「でももし、彼にあうことができたら、と思いませんか?」

「・・・あえるの?」

「はい」

「あいたい!」


はっきり言った。


本当に可愛い子、と呟いてから声の主は続ける。


「あなたに『魔法』をかければ、彼と同じ人間として暮らすことができます」

「ほんとうに?」

「はい」


人間になれば、あの人と一緒に過ごすことができる!


「でも、これだけは注意してください」


あることを伝えられた。


「・・・これだけは気を付けてくださいね」

「わかった!」


すぐに応える。


ちゃんと伝わっているか怪しいですが・・・と声の主。


対物レンズ越しに見えたあの綺麗な瞳しか、今のわたしの頭の中になかった。


「それでは人間としての生活を楽しんでください」


そういってわたしに魔法をかけようとする。


「あなたはだれなの?」


その直前、わたしは声の主に聞いた。


「私は神様です」

「かみさま?」


ええ、と頷いた。


そして私に魔法をかける。

徐々に記憶が混濁するなか、わたしは口にした。



「かみさま、ありがとう!」



これで逢いに行ける。





高校のある教室。


「・・・それじゃあ、自己紹介してもらえるかな?」


いつの間にか私は二足で立っていた。


集まる視線を気にせず、自分の身なりを確認する。



白に近いボブのハーフアップ。

制服の上にはオフホワイトで少し大きめのカーディガンを羽織っている。


控えめな丈のスカート。

足元にはルーズソックスを身につけていた。




わたしは美少女にうまれかわった!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ