23話
物語の始まりを読み返すと、私は子どもの幽霊に縁があることがわかった。
これから話すことは幽霊の話ではないが、子どもが関係する不思議な出来事です。
ある日のことでした。青森県には温泉がたくさんあり、私はいつものように十和田市にある温泉を訪れた時のことです。
その日もいつものように駐車場に停め、施設の中に入ろうとした時。
ちょうどタイミングが合い、中から人が出てくる時でした。
扉を開けたまま、私が入るのを待ってくれる。
よくある出来事。だけど、この日だけはいつもと違っていた。
扉を開けて待ってたのは子どもだった。低学年の小学生くらいの女の子。
「ありがとう」
私は一言お礼を言って、中に入ってから、その違和感に気がつきました。
あの女の子の前にも後にも親の姿はなかった。
駐車場から施設に入るまでに誰かとすれ違うことはなかった。もちろん、女の子の後ろから大人が来ることもなかった。
低学年の女の子が一人だけで温泉にくるほど、ここは都会ではない。
だけど、たまたま起こった出来事だろう。偶然だと思い、私は普通に温泉に入ることにしました。
一時間ほど温泉に入り、帰ることに。
男湯の入り口から玄関に向かうと、低学年の女の子が私の目の前を歩いていました。
入る時の光景がフラッシュバックし、一瞬足が止まる。
親の姿が見当たらない。またしても、女の子が一人だけなのだ。
だけど、ずっと立ち止まるわけにはいかず、私は玄関に向かい、施設から出ることにしました。
そして、女の子は扉を開けたまま、私が出るのを待ってくれていました。
「ありがとう」
私はお礼を言い、その女の子の先を歩いて、自分の車に戻ることにしました。
だけど、この時絶対後ろを振り向いてはいけない。なぜかそう思ってしまい、車に乗り込んでから、辺りを見渡しました。
その時にはすでに女の子の姿は見当たらなかった。
しばらく待ってみたがどこかの車に乗り込んだ様子もなく、出て行く車もない。
入る時と出る時の女の子は違う女の子だった。それは幽霊のような感じではなく、実際にちゃんとそこにいる人間だった。
小さな女の子が一人で温泉に来ることすら、自分にとっては初めて見る光景だった。
それが、同じ日に。しかも入る時と出る時のタイミングが偶然合って、私のために扉を開けててくれた。
帰宅した私は妻のアキコにこの事を話しました。
「それって座敷童子だったんじゃないの?」
この言葉が今現在の私に大きく関わってくることになりました。
今住んでいるところに座敷童子を呼び込もう。
私にはきっとできるはずだ。そう思う理由がある。
今現在私が住んでいる中古の家。前の持ち主はここで、駄菓子屋をやっていたと近所の人から聞きました。
私の住む家からは廃校になった小学校が見える。
きっとこの家には何百、何千もの子ども達がお菓子を買いに来たのだろう。
楽しい気持ちの子ども達の思いをこの場所に呼び込もう。
座敷童子の出る事故物件にしよう。定住までは望まない。駄菓子屋だった時と同じようにフラッと立ち寄ってくれるだけで良いのだ。
ほんの少しの幸せを運んでくれる座敷童子が出る事故物件にしよう。
そう願いを込めて、私はこの事故物件の小説を書き始めました。
そして、この最後の話を書き終える前の日の朝のことでした。
男の子二人の話し声が聞こえてきました。まだ私は布団の中に入っていて、寝ぼけていたのかもしれません。
でも、その声はこの家に住むようになって初めて聞こえてきた子ども達の声でした。
「あぁ、ようやくこの家も事故物件になったんだな」
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これはYouTube配信者、4月1日生まれのマコト(ペンネーム、鳥山正人)が実際に体験した事故物件のお話です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ウソなのかマコトなのか。
信じるか信じないかはあなた次第です。
~ 完 ~




