↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/112

彼の配慮

 ライルは白い結婚なんて、望んでいなかった。

 それどころかわざわざ高級娼館へ足を運び、初夜の営みについて勉強してくれていた。そして初夜のやり直しを考えてくれていたのだ。


 もっと早くに腹を割って話していたら、焦れ焦れしないで済んだのに。


 そう思うものの。

 思ったところで過去は変わらないし、大切なのはこれからだ。


「あの、ライル。その……初夜のやり直しはいつ……?」


 私から聞くのもなんだかなと思う。

 でもライルは「自分は正真正銘の童貞です!」と、宣言してくれたのだ。


 ここは知りたいことがあるなら、聞いてしまうべきだろう!


「それは……。騎士団はニューイヤー前後も、警備で休みがありません」


「あ、そうですよね。宮殿ではカウントダウンパーティー、ニューイヤーパーティーと連続で開催され、警備の必要がありますよね」


 ライルはこくりと頷く。


「その代わりで、一月の半ばに一週間。まとまった休暇をいただけます」


「なるほど。ではそこで……」


「王都の中心部から少しはずれたところに、こぢんまりとしていますが、素敵なバラ窓の教会があります。そこで結婚式をもう一度挙げませんか?」


 これには「え……?」と首を傾げてしまう。


「まずアイリのウェディングドレス姿は、とても美しいものでした。もう一度見たいという気持ちがあります。次に自分の領地での結婚式でしたので、アイリの友人は、参加できませんでしたよね。あのウェディングドレス姿はみんな、見たいと思うのです。その上で……その日の夜。初夜のやり直しをできたらと思ったのです」


 形式ばった披露宴やウェディングパーティーをするつもりはない。それは時間的にも難しかった。でも教会のそばのレストランは貸し切りにする。ブッフェ形式で料理や飲み物を提供してもらうので、顔を出した私の友人には、気軽に立ち寄ってもらえばいいのではないか。そう、ライルは提案してくれたのだ。


 これを聞いた私は、ぽろぽろと涙をこぼしてしまった。


 ライルの配慮に胸が熱くなって。


「アイリ、この提案、不快でしたか!?」

「違います。嬉しかったのです!」

「!」

「優しいライルが大好きです」

「アイリ……」


 ぎゅっとライルに抱きつくと、彼もちゃんと応えてくれた。


 ミントのいい香り。


 ……初夜のやり直しと言わず、今すぐにでもライルと結ばれたい気持ちになっている。


 その気持ちを一旦静めようとして、気になっていたことを尋ねる。


「答えられなかったら、大丈夫です。でももし答えられたら、教えてください」


「アイリの質問なら、なんでも答えたくなりますが、何でしょうか」


「今、就いている任務は、いつまでかかりそうなのですか」


 これにはライルは「ああ」という表情になる。


「3月迄には終わる予定です。今はあの妹君に振り回され、変則勤務になっています。ですがこの任務が終われば、通常勤務です。……通常勤務に戻っても、タウンハウスが準備できるまでは、騎士団宿舎で寝泊まりをするつもりでいましたが……」


「この部屋にはベッドが二つあります。それにこのホテルを予約してくれたのも、支払いも、ライルがしてくれたんです。堂々と滞在していいと思います。支配人も『ご夫婦で滞在ですよね?』と最初に言っていたじゃないですか」


 私の言葉に、ライルの顔は一気に笑顔になった。


 「ではそうします」と答え、私をぎゅっと抱きしめると、切なそうにため息をつく。


「ただ、アイリと一緒にいると、離れがたくなり、職務放棄したくなるのが問題です」

「いいですよ」

「え!?」


「薔薇石英の取引は、大型案件が多いんです。きっと収益の柱になります。そうなったら商会経営に力を入れ、実務は私が頑張ります。ライルは何なら、騎士団長を引退してもいいですよ?」


 冗談で言ったのに、ライルは真剣な表情で「そういうわけには行きません! アイリがそんなに頑張るなら、自分も頑張ります!」と慌てる。その様子は本当に……。


 可愛すぎる!


「では騎士団長様、明日も任務があるのですから、そろそろ休みましょうか」

「はいっ」


 立ち上がったライルはそのまま私を軽々と抱き上げ、ベッドへ運んでくれる。

 優しくベッドに下ろした後は……。


「アイリ、ゆっくり休んでください」とあくまで紳士的に微笑む。


 ベッドは二つあるし、初夜のやり直しはこれから。

 それでもライルと私は、既に夫婦なのだ。

 そして今日はいろいろなことが明らかになり、誤解も解けた。


「ライル。このベッド、狭いですよね。でも一緒に横になると、温かいと思うんです」

「!」


 その瞬間、ライルは甘えたい大型犬モードに変わり、私に抱きつき横になる。

 でもその後は本当にお行儀よく。

 可愛らしく唇へ一度だけキスをすると、素直に目を閉じる。


 ライルの鼓動は、もう爆発しそうな状態なのに。

 初夜のやり直しまで我慢するという決意が伝わって来る。


 本当に真面目。

 でもそんなライルが、私は大好きでならない。


 誠実なライルの胸の中に抱きしめられ、私も大人しく眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●胸キュンな恋物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。