表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/112

あの日の夜

 焦れ焦れ作戦まで行い、慎重に動いていたはずなのに。

 お互いの気持ちを赤裸々に語ったこの瞬間。

 私は……思わず感情のままに気持ちを口にしていた。


「むしろ私の方こそ、ずっと心配でした。本当に私で良かったのか。ユーリと私を間違えて求婚してしまったのではないか。だから初夜で私を……抱かなかったのかと」


 あ、言ってしまった……!


 だがもう遅い。

 ライルはハッとした表情で私を見て、なんて不躾な質問をするのかと不快そうになるかと思ったら……。


 違う。


 顔を赤くし、視線を伏せ、とても恥ずかしそうにしている。

 この反応はあまりにも想定外で「???」と固まってしまう。


「自分は……女性と付き合ったことがありません」

「!」

「母親以外で触れたことのある女性も……エスコートぐらいで……。とにかく女性に関しては経験不足なんです」


 それは想定内というか、そうだろうと思っていた。よって改めてそう言われるのは、なんだか不思議だった。だが次の話を聞くと、ライルのこの発言の意図を、じわじわと理解することになる。


「自分は最初、アイリと二人きりになり、二人で会話することに、とても緊張していました。緊張しているとバレないよう、騎士団の団長として振舞っていたのですが……。あっさり見抜かれましたよね」


 それはそうだろう。

 団長モードの時のライルは、これから結婚する相手への態度とは思えない程、堅苦しかったのだから。そこをやんわり指摘すると……。


「な、なるほど……。確かにそれは結婚相手への態度には……思えないですね。そうでしたか。バレて当然だった……。そう、アイリにバレてしまい、でも君は有益なアドバイスをしてくれました」


 つまりは私と二人でいると緊張するのは、場数を踏んでいないからではと、指摘したのだ。そしてこんなことを言った。


「女性と二人で話すことに慣れていなければ、話す機会を増やし、慣れればいいのです。騎士の訓練や練習と同じかと。いくら騎士団の団長といえど、剣を完璧に扱えたわけではないですよね? 何事も練習かと」


 私にこう言われたライルは、練習の必要性に気が付く。さらに。


「アイリは『要は初めてでは緊張して当たり前。失敗しても仕方ないかと。二度目、三度目と回数を重ねることで、どんなことでも慣れるのではないですか』と言いましたよね。これを聞いた自分は、結婚式も事前に練習が必要なのでは?と思い至りました」


 あの時は突然、練習の必要性を説いたと思った。

 でもちゃんときっかけがあったのね……。

 そのきっかけは、私の発言だった。

 そうとは知らず、私達はライルの提案で、前代未聞の結婚式の事前練習を行ったのだ。


 結果的に、練習はしてよかったと思う。これまで練習なしで、結婚式を乗り越えた先人には……尊敬の念を持つばかりだ。


「結婚式に練習の必要性を感じましたが、その中でも誓いのキスは……。額や頬へのキスでも、誓いのキスと認められる。よって練習では、額へのキスで済ませましたが……」


 そこでライルがまたも乙女のように顔を赤くするので、私も必要以上にドキドキしてしまう。


「アイリの唇にキスをしたいという気持ちは、自然に沸きあがりました」


 これには一気に全身が熱くなり、心臓の鼓動も激しくなっていた。


「キスについてはベルナードに教えてもらっていたので、理論的には理解できていました。ただ実践したことがないので、上手くできるのか。不安でした。でも挙式で実際にアイリと向き合うと……。唇へのキスの衝動が、止められませんでした。そして実際にキスをしたら、もう夢中になってしまい……」


 あの時のキスは、私だって頭が真っ白になり、すべてをライルに持っていかれた気がする。司祭の咳払いがなければ、延々とキスをしていたと思う。


「キスはなんとか乗り越えられました。でももう一つ。全くの未知の世界であるのに、男性が主導することを求められる慣習がありますよね」


 これは私もピンと来る。それは間違いなく、初夜のことでは?と。


「初夜について書かれた本があると、ベルナードから受け取っていました。でもそれは文字でびっしり情報が書かれており、分かるような分からないような……。でも失敗は許されません。それではなくても私との結婚。アイリは本心で納得してくれているのか、分からないのです。不安でした。その気持ちをベルナードに話すと……」


 ライルに相談されたベルナードは「とにかく実践あるのみだ。相手の反応を見て、嫌がったら止める。気持ちよさそうにしたら続ける。ただどうしたって血が流れるものだ。痛みはあるだろう。そこは相手を思いやりながら進めていくしかない」と、抽象的なアドバイスしかない。


 初夜に関しては、ベルナードか本を渡すと言っていたので、それで大丈夫だろうと思っていた。練習の必要性に目覚める以前のライルは。


 だが練習に目覚めると、本とベルナードのざっくりしたアドバイスで本当に問題ないのか。不安になる。だがもう時間がない。待ったなしで、結婚式の日を迎えてしまう。


「いよいよその時になってしまい、緊張しながら夫婦の寝室へ向かいました。でもアイリは朗らかに歌い、踊っていて……。それを見たら、落ち着かない気持ちは消えました。代わりに天真爛漫とも言えるアイリに見惚れ、自然と抱きしめたい、キスをしたいという思いが強まっていたのです」


 その沸き上がった感情そのままに、初夜へ突入する。そう思われたが――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ