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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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負けた者勝ち?

 昼食を摂った後。


 ライルは雪が散らくつく中、ベルナードと共に外出した。

 従者には寒い思いをさせてしまい、申し訳ないが、尾行を頼み、送り出す。


「フィオナ、従者の子、まかれないかしら? ライルは騎士団長よ。そしてベルナードは従騎士だけど、騎士と遜色ない雰囲気があるわ。もし尾行に気付かれたら……」


「大丈夫ですよ。ちゃんと変装し、街の中にいそうな少年の姿です。見かけても印象に残らないですよ。信じて帰りを待ちましょう」


「そうね。そうするしかないわよね」


 ティータイムまでは、侯爵家の一員としてすべき事務処理を、ヘッドバトラーのジェフから習う。そしてお茶の時間になると、義母と共にお茶とお菓子と会話を、楽しむことになった。


 そのティータイムが終わり、自室に戻ったタイミングで、従者が帰って来た。

 ソファに座り、フィオナが控える中、従者は私に向き合うと……。


 なんだかもじもじしている。


 どうしたのかしら?


「もしかしてレストルームに行きたい?」


「! いえ、そうではありません。その……若旦那様が向かった場所なんですが……」


「どこに向かったのかしら?」


 そこで従者は被っていたハンチング帽をとると、手にぎゅっと握りしめ、私を見た。


 よほど言い出しにくい場所へ向かったようね……。


「若旦那様は、街で一番と言われる高級娼館へ行かれました」


 そう従者が口にした時。

 私もフィオナも、まさに目が点になっていたと思う。


 なぜって。


 ライルと高級娼館がまず、結び付かない。


 真面目で誠実さの塊のようなライル。

 快楽と享楽が饗宴する高級娼館。


 真逆の存在としか思えないのだ。


「もしや建物を見間違えたのではないですか?」


 フィオナが優しく従者の少年に問い掛けると、彼は首を何度も振る。


「僕も自分で見たことが信じられませんでした。そこで確認の意味を含め、何度か通りを往復して看板を見たんです。間違いありません。高級娼館ルコットという名称でした」


 これにフィオナは「信じられません」と絶句する。

 でもそうだろう。

 私と結婚したばかり。

 昨日、今日と私と夜を過ごしている……と思っているのだ。


 夜は新妻と過ごし、日中は娼婦と過ごす。

 どれだけあちらの欲求が強いのかと驚愕しているのが現状だ。


「英雄色を好む……と申しますが、若旦那様は一見すると貴公子です。ですがその実、騎士団長であり、戦場では“野獣”(ビースト)と呼ばれた方。その戦闘ぶりはすさまじく、一人で五十人の相手をしたとも言われています。それだけの敵を一人で倒すということは……スタミナも相当あるのでしょう。ゆえにあちらへの欲求も強いのかもしれません。若奥様と結ばれることで、眠っていた欲求に火がついてしまった……可能性があります」


 フィオナに真剣にそう言われると、もう話すしかないと思った。

 ひとまず従者には御礼を言い、ご褒美代わりでスイーツの盛り合わせの籠を渡し、退出してもらうと……。


 部屋にはフィオナと私だけになった。


 そこで私は打ち明けることになった。ライルとの白い結婚のことを。


 これを聞いたフィオナは先程以上に驚愕し、「そんな、まさか……」と絶句してしまう。


 私の考えた白い結婚になってしまった理由を離すと、フィオナは「違います、そんなことは」と否定する。


「初夜に対し、不安や心配になる女性がほとんどです。それを口にしたことで、面倒な女と思うだなんて。あの若旦那様に限って、あり得ないと思います。それに若奥様とそういう関係に至っていないから、そのはけ口で高級娼館へ行くなんて……。そういう男性もいると思います。いると思いますが、若旦那様に限っては、そういう男性には思えません!」


「でもそうなると高級娼館へ行く理由が分からないわ。まだ若く、騎士団長として、あちらの欲求を持て余していると考える方が、妥当に思えてしまうの」


「そうですが……」


 結局。


 夕食のためのドレスを着替えている間も、なぜライルが高級娼館へ足を運んだのか、フィオナと考えることになったが……。答えは見つからない。


 メイドは呼ばず、フィオナだけでドレスに着替え、髪をアップにしてもらっていた。つまり今も二人きりだったので、私はもう一つの出来事についても話すことにしたのだ。


 あの情熱的なキスの件を。


「チェスで負けたら好きな場所にキスをする……それって負けた者勝ちではないですか!? 若奥様は若旦那様にすっかり騙されている気がします。若旦那様はキスをしたくて、わざと負けたのでは?」


「まさか、そんな。白い結婚状態なのに、どうしてキスをしたい、だなんて……」


 驚く私にフィオナは「あらゆる可能性を考えるべきです!」とぴしゃり。


「今晩もきっと夫婦の寝室に呼ばれ、チェスをするのですよね? 今度はあえて負けて、キスの主導権を若奥様がとるんですよ。そこで試してみたらどうでしょう?」

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