モブNo.223∶『そこはそれツテがあるんだよ。いいか! 今回の仕事は俺達『マラグマンタ海賊団』にとって初の大仕事だ! 気合いれていけよおまえら!』
発信器が無双だと指摘されたので、
大幅にナーフしました
実際これくらいですよね
『チキンと酒のみせ』は、様々な鶏肉料理とアルコール・ソフトドリンクを出す店で、名物は『骨付きローストチキンレッグ』。おじさん達のテーブルにもあったやつだ。
この『骨付きローストチキンレッグ』は、照り焼きと塩胡椒があり、通は塩胡椒らしいが、初めてなら照り焼きがいいらしい。
まあ、全部『食いログ』の受け売りだけどね。
店内はいっぱいだったので、まだ空きがあった外のテーブルに座って、『骨付きローストチキンレッグ』の照り焼きと烏龍茶を注文した。
そうして『骨付きローストチキンレッグ』の照り焼きを楽しんでいると、作業服のおじさん達の会話が耳に入ってきた。
「かし……じゃない、社長! この宙域は『お客』が多くていいですね!」
「そうだな。『ライバル会社』も多いが、『お客』はそれ以上に多いからな!」
「『クレーマー』も少ないですからね」
「仕事してんのかって感じですよね!」
「ちげえねえ!」
こんな会話をしながら、ゲラゲラと笑っていた。
僕はその会話になんとなく不穏なものを感じたので、少し前に買った『マイク付き発信器』を、小銭を落としたフリをして、1人のおじさんの作業服のベルトを通す穴に仕込むことが出来た。
このマイク付き発信器は、本体を中心に100kmまで電波発信と音声盗聴ができるという優れもので、稼働時間は48時間、付属の地図付きの受信対応のチップを汎用端末にセットすれば、汎用端末の画面に地図と発信器の位置が表示される。
僕は自分の料理を食べ終えたあとは、近くの公園に行き、発信器の行方を見守っていた。
それからおじさん達は5時間ほど飲み続け、それなりに暗くなった頃には、全員がベロベロの状態で代金を払い、店を後にしたのが、マイクからの音声で推測できた。
相手が酔っている状態なら尾行も楽だろうけど、見つかった時がヤバいし、僕は尾行は上手じゃないからね。
そうしておじさん達が動きを止めたのは、発信器の範囲ギリギリの、漁港にほど近い海の上だった。
おそらく海上船だろう。
それから1時間ほど見張っていたけど、動きがなかったので、マイク機能を切り、腕輪型端末のアラームを発信器が動いたら鳴るように、設定しておいた。
翌朝。
怪しまれないように宿泊したシティーホテルで目を覚まし、発信器を確認してみると、全く動いていなかった。
もしかして、バレて捨てられたのだろうか?
それとも罠に使っているのか。
どちらにしろ確認に行かないといけない。
観光客を装っていけばなんとかなるだろう。
尾行はしない近くを通るだけだ。
ホテルにタクシーを呼んてもらい、発信器のある漁港に向かった。
ビーコンのある漁港『ゲアッジ漁港』に到着すると、まずは港内の市場がある方に向かった。
当然だが、場内の卸売市場は関係者以外立入禁止だが、場外市場なら一般人でも入ることができる。
食べ物の店もあるから朝食でも食べながら聞き込みをしていこう。
業者や仲卸の人はもちろん、僕以外にも早々と来ている一般の人もいて、場外市場は朝から賑わっていた。
そして所々から焼いた魚やら出汁の匂いやらが漂ってきて、非常に美味しそうだ。
そんなこんなで、白米・色々な魚のアラの味噌汁・キンメの煮付け・漬物という朝食をいただきつつ、お店の人や、そこに食べに来た業者の人達に色々と話を聞いたところ、あのおじさん達の船は半年前からその場所を契約して借りている貨物輸送業者で、乗っているのは宇宙船なのだそうだ。
貨物の積み下ろしをしているのを見たことがあるそうだから、間違いないという。
海上に宇宙船があるのは、開拓当初この惑星アスティトアはデコボコの荒れた岩地だらけで、水平の土地がほとんどなく、それらは市街地・住宅地になるため宇宙船の発着場不足になった。
その時、臨時の宇宙船の発着場になったのが海だった。
始めは着水寸前にフロートを展開したりしていたが、後に水に浮く設計の宇宙船が開発されたりした。
地上と違って着陸に失敗しても火災が発生しにくい、停泊キャパが広い、というのもあり、整地が進み、十分な発着場が確保できた今でも、水に浮く設計の船を好み、海上発着をしている船もあるそうで、あのおじさん達もそういうタイプらしく、宇宙船も水に浮く設計の宇宙船なのだそうだ。
ゴンザレスの情報にも、惑星アスティトアの水に浮く設計の宇宙船のことは書かれてはいた。
その貨物が奪ったものでなければだけど。
とにかくその船がある方に行ってみることにした。
散歩に来た感じで通り過ぎるなら怪しまれないだろう。
そうして波止場を歩いていると、件の船が見えてきた。
情報通り、見た目は民間用中型貨物船で、改造したというのは、海上発着が出来るようにしたためだろう。
シルエットが海上船に近似したものになっている。
材質なども違ったりするのかも知れないが、見ただけで見抜いたりは出来ないので何ともいえない。
もちろんこれだけでは、おじさん達が海賊だという決定打にはならない。
似たような機能や外見の船はいっぱいあるだろうからね。
ぱっと見、兵装は見当たらないから、もし当たりなら、上手く収納なりカモフラージュなりしているのだろう。
僕は腕輪型端末の発信器の地図画面を出し、拡大をしてみた。
広範囲の地図では動いていなかったが、拡大すると、船の中を歩き回っているのがわかった。
そうしていると、不意に動きが止まったので、マイク機能を復帰させてみた。
するとこんな会話が聞こえてきた。
『……ようしお前等! 今日もしっかりと稼ぐぞ!』
『親分。狙いはなんです?』
『今回は初の大物だぞ。正午頃に出発する客船『サザンクロス号』だ!』
『客船を狙うんですが?』
『客船ったって絶対に荷物を載せられないわけじゃねえ。なにより客の荷物があるんだからな』
『たしかに』
『その荷物のなかに、工業製品用の金塊がある。しかも24金が100kgで約26億クレジット。それをいただこうってわけだ! 工業部品としかかいてないから、怪しまれないってわけよ!』
『頭。そんな情報どっから手に入れたんです?』
『そこはそれツテがあるんだよ。いいか! 今回の仕事は俺達『マラグマンタ海賊団』にとって初の大仕事だ! 気合いれていけよおまえら!』
『『『『『『『『おう!』』』』』』』』
まるで主人公みたいないいタイミングで、おじさん達が正体を話してくれた。
なので、ものすごく不安にかられてきた。
しかしこのままにするわけにもいかないので、今から宇宙港にもどり、その情報を宇宙港に通報しておいてから、パッチワーク号にもどり、正午にサザンクロス号が出航するかしないかを確認してから出発することにしよう。
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