他者視点
他者視点です!
なんか、完結ブーストで想像していたよりたくさんの人に読んでもらっていて、びっくりデブ、、
日間ランキングとか乗った時にはスクショしちゃったデブ!
えーと、謝罪を先に、、悪役令嬢ものも、ちゃんと更新するデブ、、
感想とかレビューとか感激したデブ!
ありがとうデブゥゥゥ!
※ちなみに他者視点には語尾にデブはつきません
そして、普通に書いたので期待しないで読んでください!コレ大事!
私はしがないメイド。
貴族の生まれではあるが、貧乏であり、父の借金に明け暮れていた時にエイーンバーン家の当主ルカリオより声をかけていただき、エイーンバーン家のメイドをしている。
お坊っちゃまが生まれた時には自分の事のように喜んだ。坊っちゃまはストレスが溜まると食べて全てを飲み込むようで、食事量がすさまじかったが、小さいうちはよく頑張っていることもあり、膨よかでも可愛らしかった。
その後も坊っちゃまの過食は収まらず、どこで覚えたのか屁理屈をこねるようになった。まずいと屋敷の者も気づいた時には手遅れの状態であった。しかし坊っちゃまは屁理屈は言うものの、やらねばならないことはしっかり文句も言わずこなしていた。幼い頃より坊っちゃまを見ていた屋敷の者たちは坊っちゃまの「現実不安を食べ物と一緒に飲み込む」と言うところをよく知っており、わがままはあれど、仕事や本当の不安に対しては何も言わない坊っちゃまを心配し、何も言えない状況であった。
そんな坊っちゃまも年を追うごとに、婚約者を、との話が上がる。
坊っちゃまは目をキラキラさせ、自分で紅茶やお菓子を作り、掃除をし、普段は嫌がる散髪もしてワクワクと令嬢を待っていた。
伯爵令嬢の娘は坊っちゃまを一目見て、1週間放置した生ゴミを見るような目で蔑んだ。
坊っちゃまは大層悲しんだが、そんな素振りを見せないように努力し、それも飲み込むように主食量が増えた。
その後もお見合いは続き、坊っちゃまは辟易しつつも淡い期待を乗せて令嬢たちを受け入れた。
ある令嬢は金目当てと言い切り、またある令嬢は権力目当てと断言し、坊っちゃまは自己肯定感が皆無となった。それに伴って坊っちゃまの卑屈な発言が増えていく。
屋敷の者も、当主もそんな令嬢を受け入れることはなかったが、坊っちゃまが令嬢不信になるのには十分であった。
「甘いもの!甘いものをよこせぇぇ!」
と言う坊っちゃまには大量の甘いスイーツを届け、
「肉だぁぁ!今僕の身体が肉を欲しているのだ!!」
と叫べば、分厚いステーキを用意した。
時には
「僕なんて太っているのだからデブをつけるべきなんだ、、、」
と語尾にデブをつけるようになり、
坊っちゃまの心の傷を思う屋敷の皆は坊っちゃまの行動の1つ1つに坊っちゃまの傷つきを感じ、労わることしか出来なかった。
しがないメイドは、坊っちゃまの部屋に落ちていた「デブの極意」と書かれた本を見て見ぬ振りをした。
ある日王家より、婚約の命令が下った。
これまでと違い、婚約の確約がされているこの命令に今までの令嬢を見てきた屋敷の者たちは、断ることが出来ないと嘆いた。
しかし当主夫妻は涙を流し喜んでいた。
なんと、婚約者の名前は今までアシュラ王子の婚約者であったシルヴィア嬢というではないか!彼女の人柄も有名で、屋敷の者たちも彼女なら、と期待に胸を膨らませた。
一方で今までの令嬢たちから受けた坊っちゃまの仕打ちを思い、噂ではいい人そうだが、いつも坊っちゃまと2人になると言葉の毒を突きつける今までの令嬢たちを思い出し、坊っちゃまを傷つけるのであれば容赦せぬと確認しあった。
婚約の命令から素早くシルヴィア嬢は挨拶にきた。
屋敷中の人間が彼女を一目見ようと何かしら理由をつけて、花や、紅茶やお菓子を部屋に持っていく。
もちろん私はその部屋のメイドとして常に在住出来る権利をもぎ取った。
これでも私、メイド長でございますのよ。ほほほ。
目を疑うような銀髪碧眼の美人がきた時には、思わず坊っちゃまをそっちのけで、もっといい人が彼女の婚約者になれるのでは、、!とお止めしようかと思った。
彼女は当主夫妻と面識があるようでとても話が弾んでいた。
その後坊っちゃまと2人になっても彼女は坊っちゃまを蔑むことはなく、真摯であった。
私は涙が溢れそうな目にぐっと力を入れ、代わりにくしゃみが出た。
そんな私にも叱咤などなく、気にも止めないシルヴィア嬢に感銘を受ける。
そこから坊っちゃまは変わった。
シルヴィア嬢、否、シルヴィア様の指導によりどんどん自信をつけていく姿には屋敷中の人間が涙を流した。
シルヴィア様は坊っちゃまの恰幅がいい体型にも嫌悪を表すことはなく、むしろ三段バラになったお腹を嬉しそうに突いていた時には目を疑った。
坊っちゃまが寝ている時に怪しげな薬を飲ませているのを見た時には焦ったが、私が焦るのと同時に坊っちゃまから大量の汗がでて、坊っちゃまは無事に目を覚ました為、胸を撫で下ろした。
あとで聞くと発汗作用の強い薬だそうだ。
やはり坊っちゃまが寝ている時にバリカンをブイブイ言わせながらにこやかに近づく彼女を
しがないメイドは見て見ぬ振りをした。だってしがないメイドだもん、、
次の日坊っちゃまの叫び声が聞こえたが
さっぱりした髭と髪の毛は坊っちゃまをすっきりさせ、皆で褒め称えると坊っちゃまも納得した。
ちなみにシルヴィア様は坊っちゃまに
「あら、ルシュド様いつのまに散髪なさったの?妖精さんのイタズラかしら、でも爽やかでとっても素敵ね♡♡♡」
と言っていた。
しがないメイドは何も言わなかった。
坊っちゃまは見る見るうちに痩せ、ご自身で筋トレをなさった。
筋トレは素晴らしい。
素晴らしいのだが、
長身大の姿見を屋敷中に増やし、屋敷の者の前で筋肉ポーズを取り、感想を欲しげに「ふん!これが僕の筋肉か!」
とチラチラこちらを見ながらいうのはやめて頂きたい。切実に。
1日の中で屋敷の者が通るたびに動きを一旦止めマッスルポーズをとる坊っちゃま。
正直面倒くさい。
そして坊っちゃまの部屋にやはりある「筋肉の極意」という本は見て見ぬ振りをした。
シリーズ物なのだろうか。
坊っちゃまは現在は「ストレスが溜まると筋トレをする」になっている。
まぁそれも暴食を始めるとシルヴィア様がとてもとても、とっても嬉しそうに悪い顔で笑うからなのであるが。
そんなシルヴィア様の笑顔も素敵である。
この国の皆が認める美男美女の夫婦となった坊っちゃま夫妻。
そんな坊っちゃまの部屋には「より良い夫婦の極意」の本があった。
しがないメイドはその本の作者が気になり、手に取ってみると、
カール・リオ
と書いてあった。
カール・リオ、カールリオ、、
ルカリオ!?
側を通った当主様であるルカリオ様はしがないメイドをみて
ニヤリと笑った。
そんな当主様と共に歩くシルヴィア様もしがないメイドを見て
不敵に笑った。
しがないメイドは思った。
メイドは見た!
と。