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隠れ無双〜チートですか?いいえ実力です〜  作者: ハヤブサ
太陽暦664年:アミリア大陸編
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25話【ギルガメッシュ】


 目の前にいるのは人と言っていいのかもわからない全身黒の喋る生物。

 ……これもモンスターなのか? いや、それにしては目も口も耳の形もあるし、人間的すぎる……。


 俺がいろいろと考えているとマリーが、聞きたい事をズバッと聞いてくれた。


「あなた……何者?」


 その問いに対して奴は、マリーの方をじっと見据えたと思うと、おどけたように笑い、答えた。


「ふっ、お前がそれを言うのか。聞いていたぞ、お前俺を探してたらしいな。俺はお前が言うギルガメッシュという者だ。まぁこれは思念体だがな……」

「なっ!?」


 ギルガメッシュだと!? 奴は今そういったのか? 

 ……思念体、奴自身ではないということか?


 俺は割と冷静に分析しようと思っていたが、聞いた本人であるマリーは驚きを隠せないようだ。


「あっ、あなたがギルガメッシュ!? 本当にっ!? なぜ現代にいるのっ!?」

「なぜ現代にいるかと言われれば、石板を守るためとしか言いようがないな。それよりお前、なんで今さら俺なんかを過去から連れてこうとしてる?」


 マリーはそう言われると俺らの方を見て、言っていいのかどうか迷った顔をしている。

 だが、決心がついたのかゆっくりと答え始めた。


「……古文書によれば、貴方ギルガメッシュは1人で世界を滅せるほどの強大な力を持っていたらしいねっ。石板の存在を知っていた私たちの組織はそれに目をつけたの。」

「ふん……」


 1人で世界を滅せる……?

 そんな力を持った存在が過去に?

 俺の中のハテナマークが増えていく中、話は続いていく。


「私たちは思ったっ。貴方を現代に呼ぶ事が出来ればこの世界を支配する事が出来るって!」


 支配、だと?

 世界征服って事か? なんか思ってたより闇ギルドの目標が陳腐だな。

 そう思う俺の考えに同調するようにギルガメッシュも疑問を唱えた。


「世界を支配だと……? 仮に本物の俺を現代に連れてくる事に成功したとしても、俺がそんなくだらん事に手を貸すとは思えんがな」


 ギルガメッシュの方もマリーの意見にはあまり賛同的ではないようだ。

 良かったぜ……これでノリノリでギルガメッシュが協力し始めるとか言い始めたら大変な事になってた。


「……くだらないこと、ねぇ? けど私たちは貴方の秘密を1つ知ってるんだよ?」

「俺の秘密……? ほう言ってみろ」


 するとマリーは自分の髪を弄びながら微笑し言った。


「血の三日間」

「……!」


 その言葉を聞いた瞬間、僅かにだがギルガメッシュが反応した。

 血の三日間……? なんだか穏やかじゃねぇ名前だが……。


「ふっ、どこでそれを知ったかしらんが、なるほどな。お前の言いたい事はわかった」

「ふふ。それはどーもっ」


 勝手に2人の間で話が終わりやがった……。

 そういうもったいぶった言い方いいから俺にも教えろよ。


 と、考えているとギルガメッシュが俺の方へと体を向け、今度は俺に質問を投げかけてきた。


「お前たちは別のようだな。お前らはなんのために時を渡ろうとしている?」

「……記憶を取り戻すためだ」

「記憶……?」


 という事で毎度恒例の記憶喪失のくだりをギルガメッシュにも話すことになった。

 まさか過去の人間にも話す日が来るとは……。


 全てを話し終えたあとのギルガメッシュの反応は意外なものだった。笑い出したのだ。


「はははは! 記憶を取り戻すためにか! ……くく、いや失敬。今までそんな事の為に石板を取りに来ようとした者がいなかったからな」

「……シオンはいつだって規格外……」


 な、なんか恥ずかしくなってきたぞ。俺だけスケールしょぼいし、場違い感半端ねぇなこれ。マルロもよくわからんフォローしなくて良いから。


「わ、悪いかよ?」

「ふふ、いや構わんさ。もとより目的が何であれお前らが石板を手に入れる方法はただ1つ、俺と闘い勝つことだけだ」


 え? 世界滅せるとか言われてたらしい奴と闘って勝つしかないの!?

 いやいやいや無理だろ、だって俺世界滅せないし!


「ギルガメッシュ。貴様思念体らしいが、ならば本当の貴様よりは弱いという事か?」


 お、いい質問だぞエリア。

 するとギルガメッシュはニヤリと笑い答えた。


「まぁ実力は本体の俺の1/3ってとこだな。」


 世界の滅せる力の1/3ってどのくらいだよ……。全然あてになんねーじゃねぇか。


「……本当に闘うしかないみたいだねっ」


 マリーがチラッと俺の方へウィンクしてきた。

 え、何? もしかしてマリーと共闘するのか? エリアがそんな事許さなそうなんだが……。


「シオン、どうやらここはマリーと共闘した方が良いみたいですね」


 確かにギルガメッシュの野郎の放つオーラはとてつもない。闘ってなくてもヤバイという事がわかる。

 俺ですらそうなのだからエリアも気づいているハズだ。


 俺がエリアの方を見ると、エリアと目があった。やっぱり彼女も気づいていたようで、やれやれといった表情をした後口を開いた。


「……普通ならあり得ないが、そのマリーのおかげで私の求めていた情報も手に入った。今回は特別に共闘しても良い」

「よし! ならやるっきゃねーな。おいギルガメッシュ、いつでも良いのか?」

「いつでも良いぞ。さっさと来い。遊んでやるぞガキ共」


 おもしれぇ。やってやるよ。

 俺は背中から大剣を引き抜き、構えた。


「ふふ、そうこなくてはな」





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