「プロローグ8」
『貴族、Viviage家当主、入院。原因は娘とのケンカ!?』
そんな噂があっと言う間に世間へ広がった。
ただでさえ、貴族と言う事もあり目立つ喜希がさらに視線を集め、困り果てている。今も気を失っている父親の代わりに話を聞こうと、マスコミやパパラッチが病院の前で待ち伏せしているのが、喜希の病室から見える。
「あの人達は誰? そしてここはどこ?」
喜希は病室に入ってきた医者に外で待ち伏せしている人の事を聞く。
医者は喜希に刺さってる注射針を抜き、吊らされている空になった点滴を外しながら、その問いに答える。
「あの人達はね、このようなスキャンダルに趣味や興味本体で群がる、君と同じ学園の生徒。君も薄々気付いていると思うが奴らの目的は君たち、Viviage家だ。そしてここは貴族専属の病院。ここの世話になった事の無い君には病院と言う単語は珍しいかも知れないが、平たく言うと貴族だけを癒す為に作られた、最新医学が置いてある所だよ。だからここには貴族しか居ない。」
「普通の人たちは怪我をしたらどこに行くの?」
「彼らは学園の保健室にでもお世話になるじゃないかね。学園の保健室と言えど、ここの医療装置とほとんど変わらないよ。病院の方が丁寧に介護してくれると言うだけの話さ。そして君がこの病院に居る限り、外に居るハエ達を君に近づけたりはしないよ。それだけは約束しよう。」
「うん……それと、お父様は……」
「隣の病室で重体で眠りこんでいるよ。彼は君を守る為に使って行けない量の魔力を消費したんだ。その結果、彼は急激な魔力不足に陥っている。まぁ君も同じような状態で運ばれ来たのだが、どう言う訳かあっさり回復してしまってね……」
「運ばれてきた?」
「あぁ……君のお父さんの体には、命の危険を伴う重体になると、こちらに信号が送られてくる装置が埋め込まれているからね。それと一つ気になる事があるのだが、この病院に運ばれてきたのは、君たち2人だけでは無いんだ。男の子が君と一緒に運ばれてきたのだが、この子の正体が分からなくてね……」
「え? 身分証明の紋章は?」
身分証明の紋章とは、この世界の住民が生まれて来ると同時に体に刻まれている紋章の事だ。その紋章には、刻まれている人の身分証明となる事が表記されている。つまりそれを見ればどこの誰かか分かってしまうと言う事だ。
医者は新しい点滴を吊らすと、困り果てたように言う。
「それがその子には、その紋章が無くてね……さらには魔力も流れていない。私たちの先祖は元々、魔力を持たない生き物だったんだが、なんか原始人が蘇った様な気分なんだよ。そしてその子は無傷でね……今ここに呼んでみるから心当たりないか判断してくれ。」
そう言って医者は病室の扉を開ける、そこに居たのは……
新たな展開と、お馴染みの説明お疲れ様です。