最終回:パート1の終わり
017
フゥ……黒い鎧から煙が立ち上った……村人たちの見ている前で……
全員がすぐに悟った。すべての戦いが終わったと……
「念のために……」
ウィリアムは国王のヘルメットを開けた……中の状態はまるで、焦げた肉を叩いて細かく砕いたようなものだった……
「…………………」
姫と三人の少女はあまりに凄惨なため、すぐに顔を背けた……
「ゼングラフは粉々……体も残っていない……勝ったぞ!!!!」
ウィリアムが勝利を宣言した。全員が手を挙げて喜びの声を上げた……
みんなが抱き合った。本当に嬉しい勝利だった……
クロエはルイスのもとへ走り、彼は彼女を抱きしめて深くキスをした……
「うえっ……」
三人の少女はそれを見て思いっきり顔をしかめた……
「…………チェンジ」
メグミ姫は元の姿に戻った……そしてグラハムのもとへ歩み寄った……
「行きましょう、グラハム……」
「どこへですか?」
姫は今も避難を続けている市民たちを見渡した……
「市民を助けに行くのよ……」
彼女はどすどすと歩いていき、非力な自分の手で瓦礫を持ち上げ始めた。もちろん魔法少女に変身すれば済む話だった……
しかしそうはしなかった……
これは票集めでも信頼の演出でもなかった……王者としてあるべき姿で、できる限りのことをすることだった……
たとえ玉座を奪って得た地位であっても、手に入れた以上は最善を尽くさなければならない……
「手をこちらへ……」
「ありがとうございます、姫様……」
彼女は血だらけの村人を抱えた。高価な衣装がどれほど汚れようとも構わなかった……
「あっ! 私の血が……」
「服のことは後でいい……洗えばいい……まず命を助けなさい……」
グラハムはその光景を見て、これは夢なのだろうかと思った……
しかしこれは夢ではなかった。現実だった……
「グラハム様……」
クーデターに加わっていた兵士たちと、クロエの銃撃で気絶していた兵士たちも戻ってきた。
残りの者も状況をすべて把握した……そしてグラハムの側に戻ってきた……
「罪の話はあとでいい……姫様を……いや、女王陛下を助けて、被災した市民を避難所まで運んでくれ……」
「了解!!!」
クロエはロイヤルリボンをルイスに手渡した……
彼はそれを手の中で受け取った……
「傷一つない……」
「ありがとう、クロエ……でもどうやら……これは元の持ち主に返さなければならないようだ……」
ルイスはウィリアムを見た……クロエはこの宝石はルイスのものではないのかと首を傾げた。
「かつてはそうだったが……死んだとき……わしの友のダリウスが預かってくれていた……まさか奴がわしの妻のイヤリングを家宝にしてしまうとは……なんとも食えない奴だよ」
「え?」
「ということは……うちの一族の始祖は、この五百歳の戦士と知り合いだったということか……」
「五百歳の戦士……」
彼女はまだ混乱していた。ウィリアムがその疑問をゆっくりと解いてやった……
「わしはマルガムに蘇らせられたんだ……それとこの前お前を追いかけたのは、制御されていたからだ……すまなかったな……」
「ああ……大丈夫ですよ……」
「それでこの宝石だが……わしが妻のケイシーに贈ったものだ……しかし最後は王に殺されてしまった……」
それを聞いて、クロエは宝石を取り出してウィリアムに差し出した……
「それなら貴方が持っておくべきですよ……」
ルイスも同意した……妻のイヤリングだった……妻がまだそばにいると感じさせてくれる繋がり……
しかしウィリアムは……
「お前たちが持っておいてくれ……」
「え?……なぜ……」
「お前たちが持っていた方が安全だと思う……それに……二人への結婚祝いとして贈るよ……」
「ははは、何を言ってるんですか……前はあなたのものだったとしても、これは……ははははは」
彼女は声を上げて笑った……ルイスも思わず微笑んだ……
ウィリアムはクロエを見た……
本当に美しい……わしたち二人の子孫……
お前にそっくりだよ……ケイシー……
「何かありましたか?」
ウィリアムは首を横に振った……この子はずっと、自分が自分の祖先だと知らないままだろう……
持っていても過去を思い出すだけだ……たとえ宝石がなくても、彼女はいつも傍にいてくれる……
自分の子孫に引き渡す方がよかった……
数週間が経ち、傷ついた街も再建を始めていた……
しかし王宮の修繕はあまり進んでおらず、今はかなりくたびれた姿のままだった……
「さて……本題に入る前に、まず座ってもらえるかしら? 床に座って……もっと打ち解けた雰囲気にしましょう……」
魔法使いたち、貴族たち、そしてあの日の出来事に関わった全員が……
クロエが設計を教えたタイル職人が作った床の上に座った。もう汚れたレンガの床ではなかった……
新女王メグミが長い紙を手に持ち、全員に読み上げた……
「当然ながら、私がクーデターを起こしてから数週間が経ちました……説明しなければならないことがたくさんあります……」
全員が女王の話に耳を傾けた……
「まず先代国王の罪について……罪状は多岐にわたります。他国の王女の誘拐、強姦、無数の無実の人々の殺害、遺跡からの略奪、禁断の儀式、その他二千百二十件……多すぎて読む気にもなりません。よって数十人の貴族の意見をまとめた結論として、次の王は善良な人物でなければならず、公正さをもってこの国を変えなければならない、ということになりました……」
全員が女王の言葉に頷いた……
「候補は二人……私とお兄様です。偏りを防ぐために、今回の国王選出は選挙で行います。誰が先に生まれたか、誰が一番見目麗しいかではなく、実績と信頼性で測ります……私の妹、クロエに感謝します……」
全員がクロエに大きな拍手を送った……クロエ・アンダーソン、私に……
「ありがとうございます、女王陛下……」
「結果として……私が勝ちました……それも圧倒的に……」
もちろん不正などなかった……女王はそう付け加えた……
「女王陛下……」
一人の貴族が手を挙げた……
「申し上げよ……」
「その……もちろん陛下が新たな統治者ではありますが……宮廷の慣例では、統治するためには共に国を治める伴侶と婚姻を結ばなければなりません……」
「つまり……私は完全に統治するために夫を見つけて結婚しなければならないということね……」
「左様にございます……」
彼女はしばらく考えた……そしてグラハムに手招きした……
「何でしょうか?」
「お前は……妻子が亡くなったと言っていたわね……」
「はい……なぜそのような御下問を、女王陛下……」
女王は何も答えなかった……グラハムの襟元をつかんでそのまま深くキスをした……
「うわっ!!」
当然、全員が唖然とした……クロエも唖然とした。グラハム本人まで唖然としていた……
五秒間キスをした後……彼女は件の貴族の方に向き直った……
「これで解決したわ……夫を見つけました……統治の問題はなくなりました……」
まあ……このマンガにも脇カップルはいた……しかし身分が違いすぎるもう一組がいるとは思わなかった……
「次はお兄様についてだけど……私はそんなに心が鬼ではないから処刑まではできない……しかし優しくして宮殿に戻らせるほど甘くもない……だから……長年性的欲求不満の屈強な男たちがいる遠い牢獄に閉じ込めることにしたわ……」
全員が女王を複雑な表情で見た。クロエはもちろん笑いを必死にこらえた……
ありがとう、この最高に笑えるお仕置きを……メグミ姉様……
「これは私怨だけど……彼には反乱する権利があったから、そこに一生閉じ込めておくことにするわ……妹として、彼がお風呂でソープを落とさないよう祈るばかりだわ……」
「母上については……」
女王は先代の王妃……今は太后となった方を振り向いた……
「先代国王のしたことには無関係だったため……引き続き宮殿に留まり、私の母として、また顧問として今まで通りいていただきます……」
彼女は涙を流しながら微笑んで頷いた。
「ウィリアム・クレイ・レイホワイト……」
その場に座っていたウィリアムも女王を見て微笑んだ……
「はい……女王陛下……」
「これまでの功績から……貴方は過去にこの王国を救った方です。そして強制的に蘇らせられた……それをしたのは、すでに頭を潰されたマルガムです……」
「…………………」
「それゆえ……ウィリアム殿には、現在の法律のもとで合法的な引退後の生活を送る権利があります……ウィリアム・クレイ・レイホワイト、女王の私が、貴方を王国の戦士として正式に除隊することを命じます……」
ウィリアムは女王の前に片膝をついた……
「はっ……ありがとうございます……」
「そして三人……血筋で言えば……三人は私の姉ということになるわ……」
彼女はリボンたちを見た……
「でも現実問題として……三人は数多くの窃盗を犯してきた。そして重要なことに、魔法使いを四人殺している……」
「えっと……」
「否定しません……」
「弁解の余地もありません……」
しかし女王は微笑んで三人への刑を言い渡した……
「しかし、父上の悪の権力を打倒するために私たちを助け、この数週間市民を助け続けてくれた功績から……刑を減らします……二年間の禁固刑のみとします……」
わかりやすく言えば服役ということだが……なぜわざわざ禁固刑と言うのだろう……
「その間、三人を見張り面倒を見てくれる方が必要です……お願いできますか? ウィリアム殿……」
三人が勢いよく彼の方を振り向いた……
「承知しました……この三人のやんちゃ娘を自分が見張りましょう……」
「パパ!!!!!」
三人は大喜びでウィリアムに駆け寄って抱きついた……
「クロエについては……」
「はい……」
「マルガム……第二位の宮廷魔法使いが逝ったことで、宮廷魔法使いの序列が繰り上がり、第六位だけが空席になっています……その役割を担ってもらえますか?」
クロエは笑顔を向け、大きな声で答えた……
「はい!!」
「父上の件に関わった兵士たちの刑については半分に減らします……全員で……二年間の服役とします……」
「えっと……それは短くないですか?」
クロエが聞いた……
「だって……権力者が不正をしやすいよう抜け穴だらけの法律を作った国に、何を言えというのよ……」
ごもっとも……
「だから法律を改める前に……旧法で裁かれてもらいます……」
そして彼女はグラハムを見た……
「そして収監中……お風呂でソープを床に落とさないようにね……旦那様……」
「はっ……」
全員が笑い声を上げた……
「さて……最後に……婚礼について……小さな規模で行います。豪華にする必要はないわ。今は常に市民の食い扶持が最優先ですから……あと、その日はダブル婚礼にします。私とグラハム……そして妹のクロエと聖騎士様……」
全員がどよめいた……
「何を驚いているの……二人の式を同時にやれば予算が節約できるでしょ……わかった?」
「わかりました……」
「さて……もういいわ……仕事の時間です……」
女王が立ち上がり、残りの仕事に取り掛かるために向かった……
クロエとルイスはただ笑い合い……これから幕を閉じようとしている物語に微笑んだ……
シルバーウィングストン邸……
「まあ……素晴らしいですね……もう手洗いしなくて済む……」
「そう……このマニュアルに書いてあるボタンを押せば使えるのよ……」
時が流れ……クロエはルイスと結婚し、ついにシルバーウィングストン夫人となった。正直、ご令夫人と呼ばれると今でも落ち着かないけれど。
もちろん秘密の宝庫について知ることになった。リボンたちが現代のものを売りに来ていた場所。宝庫のものを屋敷に持ち込み、魔法で改造して使えるようにした……
「クロエ様は本当にすごいですね……別の世界からいらしたと聞きました……その世界を見てみたいです……」
「あっちの世界の本があるの……貸してあげましょうか?」
「ありがとうございます!!」
きっと泥臭く生きてきたせいだろう……屋敷のメイドたち全員と仲良くなってしまった。ありがたいことに、ルイスの父上も母上も、そのことを全然気にしなかった……
あ……言い忘れていた。マンガでもこの世界でも、シルバーウィングストン家は少しも格式張らない一族だった。一家全員がお互いを尊重していた。だからこそ一族以外の人々もこの家が大好きだった……
「ああ……この匂い……カレーね……」
クロエはキッチンへ向かった……
「クロエ様……そうやって来られたら驚きがなくなってしまいます……」
女の子たちが笑い声を上げた……
「そういえば……ルイス様は深い森の中のダンジョン探索に出かけましたよね、クロエ様……」
「そうなの……でも心配しないで……ずっと目を離していないから……」
「まあ……本当に仲がよろしいこと~~~~」
「そうですよね!!」
こんな素晴らしい暮らし……本当に最高だった……
ね……クロエ……
街外れの広大な草原で……
「さあ!! みんな中に入っておいで……夕食にしましょう……」
「はーい……」
ウィリアムもまた、妻と夢に描いていた緑の草原での穏やかな暮らしを、女王から授かった財産で実現できた……
「ねえねえ……今日、秘密の宝庫でこんなもの見つけたよ……このボタンを押すと時間を凍らせることができるんだって……」
どうやら今日もリボンは秘密の宝庫から何かを持ち帰ってきていた。今日のは一台のスマートフォンだった。元の持ち主は他の誰でもない……前世のクロエだった。そして何かの理由で……バッテリーは永遠に切れることがなかった。
「本当に!?……見せて……」
リボンはカメラを女の子たちに向けた……
パシャ……フラッシュが目に入った。当然、何それ、と大騒ぎになった……
夕食の準備をしていたウィリアムも、いつものように台所でこっそり笑っていた……
「あれ……これに止まった時間がたくさん入ってる……」
女の子たちはギャラリーアプリを開いた。それは前世のクロエが撮っていた写真だった。思いがけず……目が輝いた。
前世のクロエは自撮りが好きではない日本の女の子だったため、自分の顔ではなく周りのものを撮っていた……
「これって……クロエがいた世界じゃないの?……」
「そうかもね……」
「だとしたらとんでもないわ……すごく美しい……」
夕食の準備を終えたウィリアムがみんなにテーブルの支度を呼びかけた……
「さあさあ……後で見ればいい……まず食卓の準備を手伝って……」
「はーい……」
四人が暮らすのに十分な中ぐらいの家……青々とした草原と温かな気候の中で……これほど穏やかな場所はどこにもなかった……
刑務所の中で……
「さて……今日はお前たちを別の区画に移す。いいな……」
グラハムたちが収監されている刑務所の看守がそう言った……
「どの区画ですか?」
テガが聞いた……
「レギュラー王立刑務所だ……喜びなさい……」
看守は皮肉交じりに言ったが、グラハムたちにとってこれは本当に喜ばしいことだった……
なぜか?
「さあ……新しい囚人が来たよ。あの五人の屈強な男たちはもう区画を変わる時だ。ついてこい……」
数十人の兵士たちが新しい区画に入った。当然、誰も関わりたがらなかった……
そして彼らが喜んだわけは……
「こんにちは……ヘレン王子……」
グラハムが顔見知りに手を振って挨拶した……
まあ……あの人は相当な悪夢を見ることになるだろう……本当に気の毒だ……
「お茶をありがとう、ユイスカ……」
王宮の花園で……花園といっても豪華なものではなかった……
「はい……」
今日も新女王は先代国王が残した問題の後始末に追われる一日だった。ようやく時間を見つけてお茶で一休みしていた……
しかも一人ではなかった……
「こうして二人でお茶を飲むのは久しぶりね……」
太后が先に口を開いた……
「本当に……何か月も経ちましたね……最近はずっと忙しくしておりまして……でも……母上と一緒にお茶を飲む時間を作れてよかったです……」
彼女は自分の手で育てた花々が咲く庭を見渡した……
「そう……あなたも本当に大変ね……」
「王ですから……仕方ありません……」
「……不思議ね……あなたが私を罰しなかったことが……」
「母上は何も悪くないのですから……」
太后は少し悲しそうな顔をしてから、心の内を吐き出した……
「私はね……あなたの本当の母を守ることが一切できなかった……」
「…………………」
「最後になってようやく知ったことではあったけど……私にできたのは、あの人を罵るだけだった……彼女たちを守ろうとしたことは一度もなかった……」
女王はお茶を一口飲みながら、太后の話をじっと聞いた……
「あなたの母……ツボミ姫は……旅立つ前に……あなたを産んだことを一度も後悔しなかった……そして息を引き取る前に……あなたにメイという名前をつけていたの……」
「では……なぜ母上はメグミという名前をつけたんですか?」
「あなたは私への女神の恵みだから……」
彼女は微笑んだ……しかし目が潤んでいた……
「そうなんですか……」
「…………………」
「では……母上は……私を育てたことを後悔したことはありますか?」
女王は太后に尋ねた……
「一度もないわよ……」
「本当にありがとうございます……母上……」
誰もが……自分だけの人生を持っていた……
誰もが……自分だけの幸せを持っていた……
「ありがとう、貸してくれて!!」
「どういたしまして……私は第二代司書だから……」
複雑に絡み合って見えた物語が……
今はきちんと一つに収まっていた……
「はい……ターゲットの排除が完了しました、陛下……」
{よくやった……青山家らしい仕事ぶりだ……}
「恐れ入ります……ああそれと……王座については、ツボミ姫の娘……いや、メグミ女王が即位いたしました……」
{そうか……ならレギュラーとの国交回復も容易になるな……}
「おめでとうございます、陛下……」
{今はどのあたりにいる?}
「シャム王国に滞在しております……あと二か月ほどでジェポンネに戻れるかと……」
{そうか……ご苦労だった……}
「はい……こちらこそ……」
しかし物語は、まだ続いていく……
私たちがこの動いている物語に関わるかどうかは……また別の話として……
「うわあ……寒い!! これがロジアなの?」
「少し静かにしてくれる?」
「もう喧嘩するのはやめましょうよ……」
「「バカップル……」」
「はあ!?」
たとえ物語が終わっても……それぞれの物語は、まだ続いていく……
クロエの転生後の波乱万丈な人生。 第一部 完




