第10章 鎧一式が必要だ。
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「止まれ……」
昼間……レギュラー王国の城門の前で、門番の兵士たちが入り口を封鎖していた……
ルイスの兵士たちは別の入り口から街に入るよう別れていた……
「馬車から降りろ……」
一人の兵士が剣の鞘で馬車を軽く叩いた……中にいた者が外に出てきた……
「中で待っていろ……」
「はい……」
そして馬車の中にいた人物が降りてきた……レギュラー王国の第七代聖騎士だった……
「ルイス様でしょうか……この二日間、どちらへ行っておられたのですか?」
「盗賊の巣へロイヤルリボンの証拠を調べに行っていたんだ……」
「さようでございますか……」
その兵士は後ろにいる仲間を振り返った……もう一人の兵士が頷いて歩み寄ってきた……
「赤任務をご存知ですか?」
その瞬間……ルイスはすぐに考えた……知っていると答えれば殺されるか?……知らないと答えれば拷問にかけられるか?……
冷たい重圧が彼にどんどん考えさせていった……
今すぐクロエを自分の屋敷に匿わなければならない……
「何のことだ?」
相手は小さく頷いた……それからもう一度聞いてきた……
「では……馬車の中を検査してもよろしいですか?」
「わしは何も盗んでいない……」
「ならば検査させていただけますね……」
ルイスはしばらく馬車の中を見やり、どうすべきか考えた……クロエを兵士たちに見られるわけにはいかなかった……
しかし……
[消えている……いや……透明の魔法か?……それとも存在を消す魔法か……]
クロエが使える魔法は聞いていた……
これは都合がいいな……
兵士がゆっくりと馬車の扉へと近づいた……そして勢いよく開け放った……
クロエは本当にいなかった……
兵士が馬車の中に入り、少し探した……
「不審なものは何もない……」
中にいた兵士が宣言した。残りの兵士たちもほっとした……
「どういうことか教えてくれないか……」
「現在、クロエ・アンダーソンという逃亡者を追っております……しかもその者がロイヤルリボンの窃盗に関わっているという話も出ておりまして……」
嘘だ……ルイスはすぐにわかった。
そしてこの能力を知っている者がほとんどいないのは幸いだった……ルイスが嘘を見抜けるということを……
「そこまで手を打つとは……もしかしたらその子はもう街の外に出ているかもしれないぞ……」
「……………」
「ああ……すまない、仕事中に冗談を言う場面ではなかったな……」
「では次に……身体検査を……」
その兵士がルイスを捕まえようとした……しかしその腕が宙で止まった……
「私の夫に触れないでくださいよ……」
「クロエーーーーーーーーー!!!!!!」
兵士が名前を呼び終わる前に……クロエはスタンガンを改造した拳銃で門番の兵士四人を撃ち倒した……
馬が驚かないよう、銃声は魔法で消した……
「怪我はしませんでしたか?」
「これが本当のわしの妻というものだな……」
「お世辞がうまいですね……」
二人は馬車に乗り込んだ……御者はすぐに大通りへと馬車を走らせた……
同じ頃……
キィッ……車のブレーキ音が城門の前で鳴り響いた……
「門番はどこに行ったのかしら……」
運転を代わっていたリボンが外を見渡した……この城門は街の中心部から少し離れた場所にあり、人があまり来ない静かな場所だった……
「みんな地面で眠り込んでるわ……何があったのかしら……」
「なんでもいいじゃないマベル……眠ってくれているほうが邪魔が入らなくて好都合よ……」
ヒメコがリボンをせかした……彼女はゆっくりと大通りへと車を進めた……
「えっと……確かここを曲がるんだっけ……」
車が大通りへと入っていくと、人々は見慣れない乗り物を珍しそうに眺めていた……女の子たちは服や布でウィリアムを覆い、魔法使いや兵士に見つからないようにした……
「街をこんなに間近に見るのは初めてかも……」
マベルはこの上なく興奮した様子で窓の外を眺めた……街に来たことがあるヒメコとリボンとは対照的に……
「ほんとね……スラムより街のほうがずっと綺麗ね……」
「……………」
二人がヒメコを振り返った……
「どうしたの?」
「別に……でもさっき……聖騎士様の馬車がちらっと通り過ぎたように見えたんだけど……」
二人は顔を見合わせた……
「そういえば……あの子はどこに行ったのかしら……無事かどうか心配ね……」
「そうよね……もしかしてあのイケメン騎士がクロエに手を出してたりして……」
「何を言ってるの……」
図書室で……
「よし……巨大ロボット終末大戦の翻訳が終わった……しかも予定より早い……あの坊やは喜ぶだろうな……」
池田は原稿を整えると、紐で手際よく製本した。
キリン……
呼び鈴が鳴った……池田は店の表口を振り向いた……
「いらっしゃい……」
三人の盗賊少女たちと、五百年前に死んでいたはずの若い男が図書室に入ってきた……
四人が入ってきた瞬間に池田の目が輝いた……近づいてにこやかに出迎えた……
「どうぞどうぞ……いらっしゃいませ……お嬢さん方……そして伝説の元英雄殿……」
四人は戸惑った様子で顔を見合わせた……
「なぜわしが誰かわかる……」
ウィリアムは池田に敵意のある視線を向けた……しかし池田は気にせずおどけた態度を続けた……
「宮廷魔法使い第二位のマルガム様が貴方を大々的に探しているものですから……」
「お前……あの男の手下か?」
彼は相手の出方を見ようと問いかけた……すぐに嘘を見抜く魔法を発動させた……
彼もまたクロエと同じくすべての属性の魔法を使える者だった……
「彼は私の客ですから……私は物を売ります、本を売ります、情報を売ります、文書を売ります、手に入れたものは何でも売ります……誰の味方もしません……」
彼は胸を張って誇らしげに言った……
「貴方がマルガム様の情報を買いたければ売ります……それと同時に……相手が貴方の情報を知りたければ、それも売ります……」
「どちらの肩も持たない……誰も得をせず、誰も損をしない……金があって、聞きたいという気持ちさえあれば……それだけのことです……」
言い終えると彼はお辞儀をした……そしてカウンターに入ってウィリアムに酒を注いで差し出した……
「情報を買いに来ました……」
言いながら女の子たちは布袋をテーブルの上に積み上げた……池田がちらりと中を覗くと、大量の銀貨と金の延べ棒が入っていた。
「うーん……見た感じ……貴族の屋敷が一軒買えるくらい、金の延べ棒二十本分はありますね……では……何の情報が欲しいですか?」
「宝石を探しているんです……元の持ち主に返そうと思って……」
「なるほど……その宝石の名前は?」
池田はちらりとウィリアムに視線を向け……こっそり薄く笑った……
「ロイヤルリボンです……」
乾いた風がゆっくりと図書室に吹き込んできた……
女の子たちも同じものを感じた……
「今……」
乾いた低い声が彼女たちの横から聞こえてきた……
「ロイヤルリボンと言ったか?」
「え……はい……」
ウィリアムは酒のグラスを置き、三人の少女に最大限に硬い声でもう一度尋ねた……
「その持ち主というのは……誰だ?」
「えっと……ルイス・シルバーウィングストン様です……」
自分の妻に顔がそっくりな少女……そして妻のイヤリングであるあの宝石……両方とも、かつての盟友ダリウス・シルバーウィングストンの子孫の手にあるということだった……
それならば……心が落ち着いた……そして静かにもう一度聞いた……
「今それはどこにある?」
「もう街に入ってきていますよ……ただ、密売人たちがどこで売買するかはわかりませんが……」
場合によっては……マルガムがもう待ち合わせ場所を変えているかもしれなかった……
「ところで……あの腐れ外道のヘンリーの計画はどこまでわかっている?」
「わかる範囲では……マルガム様を先頭に立てた国王直属の兵士たちに、ゼングラフ、グリモワール、グレムリンの三冊の魔法書を探し出させ、国王自身の軍隊と権力を強化しようとしています……ただ、貴方を蘇らせたのはマルガム様が独断でやったことです……」
「それから今のヘンリー国王はゼングラフの肉体再生魔法をすでに七回使っています……」
だからこそ……ヘンリー国王は五百年間、老いることも死ぬこともなく君臨し続けてきたのだ……
「今その計画はどこまで進んでいる?」
「今のところゼングラフ一冊だけを手に入れた段階です……ただゼングラフ一冊だけでも、街をひとつ壊滅させられますが……」
ウィリアムはしばらく考え込んだ……頭の中で何かを計画し始めていた……
「あいつらはゼングラフとロイヤルリボンを使ってわしを殺そうとしているはずだ……」
「え?……でもロイヤルリボンはただの宝石じゃないんですか?」
マベルが不思議そうに聞いた……女の子たちも頷いた……
「わしも知ったのはほんの数日前のことだが……実はロイヤルリボンは……古代の呪術を行うために、三冊の古代魔法書とともに使うよう作られた宝石なんだ……」
「ではどこから手に入れたんですか?」
「覚えている限りでは……王族の誰かからもらったんだが……」
「もしかしたら……最初からその用途のために加工されていたのかもしれないわね……」
「でも……国王自身がそれを持ちたいなら……なぜウィリアム様に渡したんですか?」
リボンが聞いた……
「そのときはまだそんな使い方があるとは知らなかったんじゃないかしら……」
しかし答えたのはウィリアムではなくヒメコだった……
「それはさておき……どのみちあの宝石を見つけ出して、国王の計画を食い止めなければならない……」
全員が頷いた……
「でも私たちはほんの数人しかいないわ……国王の護衛兵だけでも私たちの二十倍はいるし……」
「わしは鎧が必要だ……」
張り詰めた空気の中で……ウィリアムはまるで我関せずといった様子でそう言った……
「はあ?」
「あいつとその軍に対抗するためには……魔法が込められた鎧と武器が揃っていなければならない……」
ウィリアムは池田の方を向いた……
「魔法が込められた鎧をすぐにお渡しすることはできません……でも、そういった鎧を作る場所なら……心当たりがあります……」
王宮の廊下で……
「はあ……また叱られたか……」
彼は独り言を言いながら侍女をちらりと見た……しかし彼女はまったく気にも留めていなかった……
「ユイスカ……」
「はい?……何でしょうか、グラハム様……」
名前を呼ばなければ振り向きもしなかった……しかし彼女を責めることはできなかった……彼は軍隊長で、彼女はただの侍女なのだから……気軽に話しかけられる立場でもなかった……
「今日、メグミ様はいかがでしょうか……」
彼女はちらりと彼の顔を見た……
今日の夕食の席に、メグミは現れなかった。国王は病気だと言っていた……それで彼は少し心配していたのだった……
「姫様はご容態が安定されています……」
「そうか……」
大丈夫だろうか……と彼は思った……
「ん?」
誰かが服の裾を引っ張る感覚がした……振り返ると……ユイスカが彼の服の裾を掴んでいた……
「……………」
彼女はとても小さな声で何かを言った……
「何か言ったか?……聞こえなかった……」
彼がユイスカに近づくと、彼女は改めて耳打ちした……
「姫様が、二人きりでお話ししたいとおっしゃっています……」
もしかして……病気だというのは……
「では行こう……」
二人でメグミの寝室へと向かった……グラハムが中に入った……
「来てくれたのね……」
「お呼びでしょうか?」
彼が膝をつこうとするとメグミが制した……
「二人だけで話したいことがあるの……ユイスカ……扉を閉めて……」
「はい……」
ユイスカは扉を閉め、部屋の外で待機した……
「さて……これは何かしら……」
彼女は昨夜読んでいた本をグラハムに見せた……
「え……本ではないですか……」
「では……なぜこれをわたしに持ってきたのかしら……」
「……何をおっしゃっているのか……わたしは……」
「嘘をつくのをやめなさい……」
彼女は魔法の杖をグラハムの顔に向けた……
「わたしは……嘘つきが……大嫌いよ……」
グラハムはまずいと悟り、メグミに向かって頭を下げた……
「申し訳ありません……ただ、わたしがやったことは……国王陛下の計画を阻止したかったからにすぎません……」
「赤任務のこと……よね?」
グラハムが頷いた……
メグミは目を細めた……グラハムが嘘をついているかどうかまだ確信が持てなかったが……ある計画を彼に話した……
「よく聞きなさい、グラハム……わたしもクロエという義妹が父上にかけられた冤罪を晴らしたいと思っているの……」
「それでしたら……」
「それなら……今すぐルイスに連絡を取りなさい……クロエを守るよう伝えて……」
「はっ……」
グラハムはメグミの顔を見た。彼女は魔法の杖を収めていた……
「メグミ様……わたしのことを信じていただけるのですか?」
「父上に毎日のように踏みにじられている者が、父上のために心から働くと思う?……」
「……それはそうですね……」
「わたしはね……父上を打倒して、あの大馬鹿な兄上もこの神聖な国から追い払いたいのよ……」
彼女はグラハムの前で、揺るぎない声で宣言した……
「わたしに力を貸してくれる?……」
「……姫様……」
「これは命がけの仕事よ……捕まれば処刑……自分を打倒しようとする父のために、国のために……死ねる?」
グラハムはその断固たる言葉に呆気にとられた……しかしすぐに決断した……
「もう妻も子もおりません……家族も誰もいない……失うものは何もありません……だからこそ……お力添えいたします……」
メグミはしっかりと微笑んだ……白いメッシュの手袋を外し、手を差し伸べた……
「では……ようこそ……」
グラハムも白い手袋を外し……メグミの手を握った……
「はっ……」
「さあ最初で最後の任務よ……ルイスと信頼できる兵士を集めて、クロエを護衛しなさい……絶対に捕まらせてはいけない……明日、父上へのクーデターを決行するわ……」
「お任せください……」
翌朝……図書室で……
またリンと呼び鈴が鳴った……お客が来た……
しかし今回来た客は……あまり性格のよろしくない人物だった……
マルガムと弟子が五人、カウンターにいる池田のところへ入ってきた……
「宝石はどこだ……」
「やだなあ……そんなに急がなくても……宝石が届くのはまだ二、三日かかりますよ……」
言い終わる前に……マルガムが池田の襟首を掴んだ……
「よく聞け、この目が細くて口汚い野郎め……もし今日、今すぐ、この瞬間にあのダイヤモンドを手に入れられなかったら、魔術師としての名誉にかけて誓う……お前をハエに変えて、一万回踏み潰してやる……」
「わかりましたわかりました……背表紙に"大洋の真ん中"と書いてある本です……」
マルガムが弟子に顎でその本を取ってくるよう指示した……本を開いて真ん中のページに進むと……一粒の宝石に三色の輝きを宿した美しい宝石が現れた……
「おお……噂で聞いていた以上に美しい……」
正面から見ると……宝石は深紅に輝く。
左に傾けると……宝石はエメラルドグリーンに輝く。
右に傾けると……宝石はサファイアブルーに輝く。
「さあ……宝石はお渡ししました……密売人を傷つけたりしないでくださいよ……」
マルガムは小さく頷いた……そして小型の魔法の杖を取り出し、池田の頭に向けた……
「傷つけはしない……少し罰を与えるだけだ……」
ドン!!……大きな音が図書室中に鳴り響いた……




