第41奉仕 気づいたら牢獄の中でした
「ん〜……ここは……?」
地面が硬い……石だ。
なんだ……? 腕を動かせばジャラジャラ音がなる。
……腕が離れない。
どうなってんだこれは!?
「っ……目──めた──す─?」
声……か?
俺が目を上げると、そこには白髪でポニーテール、困り眉でまろ眉、白くボロボロの布に身を包んだ身長の小さな女の子がいた。
両腕は俺同様に硬い手錠で縛られてしまっている。
「……へ? なんと言いました?」
「あっ……目が───んで─か?」
「…………何を言おうとしているのか、全く聞こえません。もっと大きな声で喋ってください」
「目が覚めたんですか…………!?」
「……それが最大限ですか?」
髪は手入れできないけど、眉は手入れできる環境……?
それとも、趣味かな?
趣味ができる環境なのだな、ここは。
「あっ……ご挨拶を」
「私はルミナ・クラリスでございます」
俺は一応自分の格好を確かめる。
俺の格好は目の前の少女と同様の、奴隷の服になっていた。
「こんな無様な格好させられてますけど、一応メイドです」
「あっ……ルクスは……ルクス・セディティオニスです……!」
「四年前からここで捕虜として捕まってます……」
「ルクスさん……ですね。わかりました」
「それで……ここは? 何処ですか?」
「ここは……あの魔姫三兄弟の牢獄です……」
「脱獄できた人は一人も居ません……」
「それで、三回脱獄しようとして見つかると……殺されるんですっ……!」
「…………」
『三秒後、ルクスが告白をする』
えっ!? ちょっ……ちょっと待ってくれ!!
俺は何も準備できてないぞ!?
「それで……ルクス、怖いんです……」
「えっ……?」
「ルクスっ……もう、二回も……二回も見つかってるんですっ……!」
ルクスは涙目になりながら、その事を下を向いて伝えた。
「はぁ……それで? 何が言いたいんですか?」
「あっ……えっそのっ!……」
「一緒に脱獄しませんか……?」
「……懲りませんね」
……なんでこんな人があんなに小声になるまで俺を怖がっていたのだろうか?
この牢獄……何かおかしい……
いや、魔姫が管理してるんだから変なのは当たり前か。
「……マナは? ミノは!? ミウ様は!?」
「へひゃあ!? しっ……知りませんっ!」
そう言えば、と思い出して俺は大声を出してしまった。ルクスの顔が更に曇る。
くっ……ミノは……売られただろうな……
マナは……? マナも売られたのか……?
仲間が居ない……いや、まだ分からない。
「おい。メイド」
俺はそう檻の外から呼ばれて、咄嗟に振り向く。
もしかしたら、新しい仲間だったり……!!
「はい?」
そこには、二足歩行の牛が警官の服を着た姿があった。
俺は驚愕を隠せなかった。
も……モンスター!?
牛!?
「人の顔見て驚くとは、失礼なやっちゃ。こっち来い、烙印を押す」
「……なるほど、わかりました。では、この手錠を取ってください」
「いや、オラがその手錠の鎖を引いて歩く。来い」
牛が檻を開けるので、目を光らせる。
「……はい」
【糸】!
手錠を【糸】で破壊して背中を見せた牛の首を絞めて落とす。
「あっ……まっ……まって……ルクスを置いてかないで……」
ルクスの顔がとても不安定となり、その目はまた涙を溜め始めた。
「大丈夫ですよ。一回で脱獄できると思うほど甘くはありません」
「置いてかないで……待って……待って!!」
「どうしたんですか? そんなに怯えて……」
「……ごめん、取り敢えず情報を収集しなきゃ」
「あっ……待って!!!」
俺はルクスの制止を振り切って、真っ直ぐ走り出す。
烙印なんてごめんだね! 探しにいくぞ! 脱出ルートを!
右には医務室、左上を見上げると赤い光を発していたカメラがあった。
医務室……監視カメラ……ゲッ……監視カメラ!?
なんでこんな所にそんな高価なものが……!?
って……ラウィニウム帝国の技術力のせいか……!
って事は……やべぇ! 逃げろ!!
すぐに追手が来る!!
【糸の矢】!!
俺は更に奥へと一気に飛び出す。
「ここは……」
烙印室!? ゲッ!! 自ら来ちまった!!
てか烙印室ってなんだよ!
烙印室のガラス張りにされた扉や壁からは、冷却された番号の印を腕に押し付けられているマナの姿があった。
マナ!! 無事だったのか!!
おっと……もっと探索しねぇと。
ここは突き当たりだから……後ろを向いてっと……
俺が振り向くと、そこには俺よりも背が高い二体のミノタウロスがいた。




