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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(呪)神社の境内

小学生の頃、神社の境内で遊ぶ事が多かった


その神社は何故か敷地内に駄菓子屋があって子供からしたら遊び場と買い食いが両方楽しめた

ある日いつもの様に駄菓子を手境内に座り込んで皆とダベっていると

丁度正面の扉のど真ん中に和紙で出来た人形を見つけた

日本髪を結って赤い綺麗な模様の和服を着せられた様に折ってある人形、

当時時代劇とかでしか見た事がなかった代物に皆興味津々だったが誰も手に取ろうとはしなかった

駄菓子も食べ終わりさてこれから何しようか?となった辺りで友達の一人がその人形を

おもむろに手に取って「こんなん珍しいから母ちゃんに見せてくるわ」と言って帰ってしまった


他の友達は急な展開に呆然としていたがそこは子供、その内そんな事も忘れて遊び呆けた

夕方日も落ちてきたので解散して各々帰宅したのだが晩飯を食べ終わった頃電話が鳴った


母「○(俺)、今日△君と遊んだ?」


△君とは例の人形を持ち帰った友人だ

どうやら帰って来ていないらしくご両親が必死で探しているらしい

ソコで俺は昼間あった事を話し、先に帰ったと告げると母は電話口でその旨を伝えた


翌日も△が学校に来なかった事で学校でも大騒動になった

和紙人形が絡んでる為かとんでもないオカルトエピソードに発展した

人形の持ち主に殺されただの呪いの人形で既に異世界に連れ去られただの噂は一人歩きしたが

放課後間際担任の報告で終止符を打った


「えー、△君ですが先程□川で発見されたみたいです…」

妙に歯切れが悪い言い方だったが子供達は直感で△の死を察知した

□川とは用水路なのだが両脇がコンクリートですり鉢状に固められており誤って落ちると

大人でも抜け出すのが困難な高低差があり毎年と言って言い程水死者が出る場所だった


直感は的中し、△は皆と別れた後人形片手に自転車を運転中誤って□川に転落死したらしい

数日後、△の葬儀があり当然俺達も出席した

寝てる様な△の顔に悲しみを堪えながら最後の別れを告げたのだが

枕の脇に置いてある例の和紙人形を見つけてしまい胸がざわざわしてしまった


その和紙人形、△と一緒に川に落ちた筈なのにふやけもせず折り目が解けてもいなかった

△は溺れる最中人形を強く握りしめ、そして力尽きた

なのに人形はシワ一つなく境内で見たままの艶やかさで△の小脇に置かれていた

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