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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊?人?)自販機の女


地元の外れに自販機が纏まって設置されている所謂「オートレストラン」があった


子供の頃はダンプの運ちゃんやDQN等で賑わっていたイメージだが

次第に廃れてやっているのかいないのか、分からない状態になっていた


成人して暫く経った頃だったか、その場所に変な噂が立ち始めた

「夜中通りかかると建物の前に女がボーッと立っている」

という微妙なオカルト話だった


街道沿いで夜中は付近の住民が出歩く事も少ないだろうがだからと言って幽霊とは強引だな、

しかも噂を聞く度に尾ヒレが付いたり設定が変わったりとガセ臭い事この上ないし…


何故か謎の正義感に駆られた俺達が真相究明に乗り出す事になった


最初は現地で張り込む予定だったが通報もマメらしいので最も近い友人宅で待機&巡回する事に。


最初は5~6人でスタートした捜索隊も飽きて徐々に減っていった

かくいう俺も離脱した側だったのだが1週間も経った頃に粘ってた友人から連絡が入った


「おい!出たよ!出た!」

「何がだよ?」

「例の女だよ!」

「はぁ?見えてんなら生身なんじゃね?」


などと下らないやり取りをしていたが興味があったので即現場に向かった


古びた電灯に照らし出された建物の前に確かに女性が立っている


「な?いるだろ?ずっと動かねぇんだよ」


「だからって幽霊じゃねぇだろ…」


白いネグリジェみたいな服を着た一見若そうな女性が時折横揺れしながら佇んでいる


ここでずっと見ていても埒があかない、ここは一気に接触しよう!となって女性に近づいた


「お姉さん何してんの?」


…全く反応がないが実在しているのは確実だ

無反応だが根気良く反応を引き出そうと奮闘していると1台の車が敷地内に入ってきた


「○○ちゃん!」


駆け寄ってきた老夫婦はどうやら女性の親御さんらしい


「あの…何かご迷惑を…」

「あ、いえいえ!こんな夜更けに女性がいたので気になって声を掛けていたんです」


親御さんからの話だと女性は精神を病んでいて普段は入院生活を送っているが

月に数回帰宅許可を貰って帰宅、その度にここに徘徊して来てしまうらしい


女性は車に乗せられ戻って行った

残された俺達も真相が分かり自販機のコーヒーで乾杯して解散した


それから半年も経った頃だろうか、第一発見者の友人が事故で他界した。

現場はあのオートレストランだ

夜中ジュースを買いに出掛けたきり戻らない彼を心配した家族がダンプに突っ込まれ大破した

オートレストランを目撃、警察や消防に連絡した所

崩れた建物とダンプの間に挟まって死んでいる彼を見つけたそうだ


ダンプの運転手は居眠り運転、後に聞いた話だと実刑だったそうだ


噂は無責任過ぎる

数年後、撤去もままならないあの場所に

「事故で死んだ男の霊」

の噂がまことしやかに流れ出した


正直本当に出るなら出て貰って酒の1つも酌み交わしたい

毎年供える花がどこぞのDQN達に荒らされるのを見る度に化けて祟れ!と思ってしまう

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