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33話

 大人たちが酔いで完全に潰れた後、俺と絵美は食器を洗っていた。


「明日の初詣どうしよっか」

「そうだなー。みんなで行くことになるのかな? 親父達が起きたら聞いてみよう」


 2人で行く予定だったが、こうしてみんなが来ているという事は2人だけでという訳にはいかないだろう。

 

「年末年始だし、こういうのもいいよね」


 絵美は笑顔でそう言った。

 2人でいる時間ももちろん楽しいが、年末年始のイベントくらい家族ぐるみで楽しんでいいだろう。

 バレンタインとか来年のクリスマスとかは2人にしてほしいけどな。


 洗い物が終わった俺と絵美、そして美帆ちゃん真帆ちゃんで年越しそばを用意して新年を待っていた。

 テレビ番組で、年末年始限定の番組を見てみんなで笑いながら過ごしていた。

 そして、23時50分。

 あと10分ほどで、今年が終わる。改めて俺は今年一年、主に4月からの新生活について振り返っていた。

 

 初めは、復讐の為と思っていた計画も絵美の事を知っていくうちに薄れていき、一緒に遊んでいくうちにいつの間にか好きになって、悩んで、そして今付き合っている。


 俺の意志は固いと思っていたのに、あっという間に復讐という意思は薄れ、消えていった。

 俺は流されやすいのかと考えたこともあったが、これも含め俺だと割り切った。


 なんだかんが、今は最高に楽しいしこれからもきっと楽しい生活が待っているのだろうと思うと、来年が楽しみで仕方がない。


 そんなことを思っていると絵美が俺の手に優しく手をかぶせてきた。

 俺は驚き絵美の方を見ると、優しく微笑み返してくれた。

 きっと絵美も今年一年振り返っていたのだろう。


「まーたイチャイチャしてるー」


 真帆ちゃんが俺と絵美の間に割って入りそういった。


「い、イチャイチャしてないから!」


 絵美が顔を赤くしてそう返した。


「二人して見つめ合ったりして何がイチャイチャしてないだよー」

「そ、それは……」


 俺はそんな二人のやりとりを微笑ましく思いつつ、美帆ちゃんの方を見ると普段はこの時間はもう寝てるのであろうか、うとうとして今にも寝そうだった。

 

「年越しまでは……」


 そう言ってなんとか耐えてるいる。

 

 そして、とうとうあと1分で年越しというところまできた。


「来年もよろしくね、春人」

「あぁ、こちらこそ」

「お姉ちゃんがメンヘラにならなきゃいいけど」

「ならないわよ! たぶん……」


 絵美よそこは自信をもってくれ。


 そして、時計の針がちょうど12時を指し、テレビ番組も新年を祝っていた。


「「「あけましておめでとー」」」


 同時に、俺達も新年を祝った。

 親は相変わらず眠っていたが、子供たちだけの時間もわるくはなかった。


 ある程度騒いだところで各々睡魔がどっと押し寄せてきたのか、みんな口数が減ってきたところで今日は寝ることにした。美帆ちゃんに関してはもう眠っていた。


 美帆ちゃんに毛布をかぶせてあげ、俺達も布団を用意して眠りについた。


***


 次の日の朝8時ごろ。

 俺が目を覚ましたころにはみんな起きていた。ただ、絵美と絵里さんの姿は見えなかった。


「おはよー。絵美と絵里さんは?」

「それはお楽しみよ」


 母さんの的外れな回答に首をかしげながらも俺は朝食を食べ、歯を磨いたり顔を洗ったりしていた。

 すると、寝室とは別の部屋から絵美の声が聞こえてきた。


 なんだ、そこにいるのかと思いつつテレビを見ていた。


「春ちゃん」


 母さんからいきなり声をかけらて絵美のいる方へ手招きされたので、俺は何事かと思いながら向かった。


「見てみて」


 そう言って扉を開けると、赤の晴れ着姿の絵美がいた。

 髪を後ろで束ね、いつも違った絵美のあまりの綺麗さに俺は言葉を失ってしまった。


「どう……かな?」

「すごぐ……似合ってる」


 その言葉しか出てこなかった。


「あと、春ちゃんはこれ!」


 そう言って母さんは俺の着物まで出してきた。

 いつそんなもの手に入れたのかはわからないが、親父に着方を教えてもらいながら着物に着替えた。


「さぁ、2人で初詣でも行ってきなさい」


 母さんにそう言われ、俺達はあっという間に家を追い出された。


「じゃあ、行くか」

「うん」


 俺達はごく自然に恋人つなぎというものをして他愛もない会話をしながら神社へと向かった。


 時刻は10時前。

 すでに人が多く、参拝するだけでかなり時間がかかりそうだった。


「よぉ神崎」


 聞き覚えのある声だと思い振り返ると川崎と安田さんだった。


「川崎じゃないか。あけおめだな」

「あけおめあけおめ! ふーん」


 そういうと川崎は俺と絵美を交互に見た。

 

「とうとうできました?」


 ニヤッとしながら川崎はそう言った。


「ま、まぁな」

「よかったじゃないか神崎」


 ばしばし肩を叩いてくる川崎。

 今日はいつもに増してテンションが高い。


「そういうお前たちも仲よさげじゃないか」

「まぁな!」


 安田さんは川崎の腕に掴みぴったりくっついていた。

 折角だし4人で回ろうという事で俺達は4人で行動することにした。


「で、2人はクリスマスにできたわけだ」


 川崎はいきなりそう言った。


「な、なんでわかるんだよ」


 俺は慌ててそう返した。


「いや、だってクリスマスにアタックするって神崎が言ってたし」


 そういえばそんなことも言ってた気がする。

 けど、わざわざ絵美のまでそれを言うなよ。


「まぁ2人が両想いなのは誰が見てもわかってたしなー」


 安田さんもうんうんと頷いている。

 俺と絵美は何故だか恥ずかしくなり2人して顔を赤くしていた。


 人混みに押されながらもなんとか参拝をすませ、俺達はそれぞれおみくじを引くことにした。


「わあ! 大吉だ! 見て!」


 絵美はそう言って大吉のおみくじを俺に見せてきた。

 かくいう俺は……中吉。

 悪くはないんだけど、大吉を見せられた後に中吉を引いてもな……って気がする。


「俺は吉か……」


 川崎はおみくじを見てそう言っていた。

 凶じゃないだけ……って感じもするがすごく反応に困る結果であることに変わりはない。


 俺たちは各々引いたおみくじを結び、今年もいい年になることを祈った。


 きっと今年もいい年になるだろう。

 おみくじの恋愛部分もいい事が書いてあったしな。

 

 そんなことを思いながら、俺と絵美は家に向かった。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

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