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13話

藤崎凛視点


 私自身の為に。

 私のやりたい事、私の好きな事。

 必死に考えたけど私にはやっぱりわからなかった。

 でも、考えることで何か開けるかもしれない。


 だからこれからは好きな事、やりたい事を探しながら生きたいと思う。

 それがお父様への一番の恩返しだと気づいたから。


 そう気づかせてくれたのは紛れもなくあの人。

 神崎春人さん。


 人生を変えてくれた人と言っても過言ではない。

 努力家で、真面目で、そしてかっこよくて。


 気が付けば私の顔は熱くなっていた。

 あの人の顔を思い浮かべるだけでこんなにも。


 気づいてしまった。

 お父様の事をなしにしても私はいつのまにかあの人に惹かれていたのかもしれない。

 あの笑顔、あの声を思い出すだけで心臓の鼓動が早くなる。


 今まで恋なんてしたことなかったからよくわからないけど、きっとこれが恋なんだろう。

 私の初めての告白を断って、プライドを傷つけたあの人に責任とってもらわないといけませんね。


 私はそっと微笑み、月曜日に向けてハンバーグを作る練習をした。


***

神崎春人視点


 俺はたかや……絵美と仲直りをして無事胸につっかえていたものがとれ、次の日、日曜日だが俺は親父の会社に顔を出した。


 久しぶりにも関わらず社員の人たちは温かく迎えてくれて業務も丁寧に教えてくれた。

 親父はいないかと思っていたが、日曜日にも関わらず出社していた。

 社長とはいえ社畜魂全開だった。


 それと、親父から藤崎さんの父親から感謝の言葉をもらっていると言われた。

 むしろ怒られるかもしれないと思っていたのに。

 あの後、一体どうなったのだろう。

 明日学校行ったら謝らないといけない。


 そんな事を考えていると月曜日はあっという間にきた。

 お昼休みにあの階段に行く前に藤崎さんに謝りに行かないといけない。


 お昼休みに先に1つ上のフロアにいる藤崎さんに謝りに行こうとすると、絵美が俺の席に向かってきた。

 

「春人! ご飯たーべよ!」


 今まで人目を避けて階段で食べていたのに何の気の迷いか。

 教室で一緒に食べようと言ってきたのだ。

 しかも、下の名前を呼び捨てで……


 もちろん周りの女子からは「きゃあああ」という黄色い声が聞こえてきたり、男子からは殺意のこもった視線を頂いたりした。

 

 川崎の方に救援の視線を送ったが、「おめでとう」と肩をトンと叩かれた。


「神崎さーん! 弁当もってきたわよー!」


 教室の扉をバーンと開けて入ってきたのは、藤崎さんだった。

 そのまま俺の方へと来て隣の席を俺の席にくっつけて俺の横に座った。


「神崎くんの大好きなハンバーグ作ってきたから食べてほしいなー」


 藤崎さんは、俺に体を密着させ耳元でそう言った。


 そんな俺と藤崎さんを向かいに座っていた絵美は強引に引きはがし、弁当を俺に押し付けてきた。


「今日は春人の大好きなハンバーグだよ!」


 まさかの絵美もハンバーグ!


「土曜日に私の家で食べてもらったハンバーグより美味しくなっているからたべてほしいなー」


 あえて「私の家」を強調していったのは絶対にわざとだろう。

 すると絵美の方から凄まじい殺気を感じる。


「藤崎さんの家にねー……聞いてないなー? どういうことかな? 春人?」


 まるでゴゴゴゴという効果音が聞こえてきそうなほどの殺気に俺はもの凄い勢いで汗をかき始めた。

 

「え、ええと……藤崎さん?」


 とりあえず今の絵美には触れずに藤崎さんの今の状態についてだ。

 俺は土曜日にきちんとその好意は受けてきちんと断ったはずだ。


 しかし、そんなことは構いもせずに俺の腕に抱き着いてきた。


「これは()()()()だから」


 藤崎さんは笑顔でそう言った。

 その笑顔は土曜日までの笑顔ではなく、心から綺麗と思える笑顔だった。


 この二日間で藤崎さんの心境にどんな変化があったのかは知らないが、今それをされるとすごく困る。


「春人くーん。私がアルバイト中にお楽しみだったみたいねー?」


 先ほどよりも絵美の殺気が増しているような気がする。


「そういえば高山さん、いつのまにか神崎さんの事下の名前で呼ぶようになったんですね。じゃあ私も……春人さん!」


 さらに俺の腕をぎゅっと抱きしめる藤崎さん。

 

「ちょっと離れなさいよ藤崎凛!」


 二人の間にばちばちした何かが見える……気がする。

 

「すごいわ。学校一の天使と言われている高山さんと、学校一の美女と言われる藤崎さんの戦いよ!」

「それに相手は1000年に一度のイケメン神崎君! これはドラマ化決定ね!」


 そんな声が聞こえてくる。

 それにしても俺は1000年に一度のイケメンと言われているのか。

 それは素直に嬉しい。


「ねぇ春人!」

「春人さん!」

「「どっちのハンバーグを食べるのですか!!」」


 あぁ、そうか。

 どっちも作ってきてくれたから、食べないとな……


「どっちのも食べるよ!」


 腹がはちきれそうになりながらも俺はなんとかハンバーグを完食した。

 二人は満面の笑みだ。

 うん。それでいい。


 といっても、二人の間のばちばち感はずっと収まることはなかった。


 お昼休みが終わり、午後の授業に入った。

 お昼ご飯を食べすぎた俺は絶賛腹痛に襲われていた。


「く、くるしい……せ、先生。お腹痛いんでトイレに行ってきます」

「あぁ。無理するなよ」


 トイレで出すものを出したところで腹痛は収まらず、そのまま保健室に行った。

 お腹が痛すぎてやばいですと伝えると正露丸を出してきてそのままベッドで寝ていいと言われたので少し寝ることにした。


 正直授業の内容が飛ぶのは勘弁だが、あまりにもお腹が痛くておそらく集中できないだろう。

 でもこれだけお腹が痛いにも関わらず目を閉じると不思議とすぐに眠ることができた。



 右手になにか感触を感じ、目を覚ました。

 目をこすりながら体を起こし、感触のあった右手の方をみると絵美が俺の手を握って眠っていた。


 時刻をみると16時。

 授業はとっくに終わっていた。


 すると絵美も目を覚まし目をこすりながら俺の方をみた。


「起きたんだ春人」

「絵美もな」

「ごめんね。私たちが食べさせすぎたせいだよね」

「ううん。美味しかったから全然大丈夫。それより授業の内容飛んだのが痛いな」

「じゃあさ、この後私の家で教えようか?」

「え? いいのか?」

「今日はバイトもないし」

「じゃあ、お言葉に甘えようかな」


 代わりに今日の晩御飯は俺が作ってあげよう。

 俺の特製オムライス改で絵美の舌をうならせてやる。

 そう決意しながら俺たちは下校の準備をした。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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