表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/41

12話

後書きの下に新作のリンク張ってみましたのでよければ見てください!


とりあえず5万文字程度様子見して続行するか決めたいと思います

 あれから高山さんとも学校で会話もなく、魂が抜けたような生活を送っていた。

 誰かと会話したような気もするが、何も覚えていない。


 そして、藤崎さんとの約束の日が来た。

 お店は俺のマンションから歩いてすぐのお店だった。


 親父から聞いた話だと、今回は双方の親は参加せずに俺と藤崎さんだけの参加だった。


 お店に入り店員に案内されると藤崎さんはすでに来ていて、にっこりとほほ笑み挨拶をした。


「こんばんは神崎さん」

「こんばんは藤崎さん。直接誘ってくれてもよかったんですよ?」

「いえ、それはなんか……恥ずかしくて……」


 微かに頬を赤くしながらそれでいて上品に藤崎さんはそう言った。

 

「今日は前と違って二人……ですから」


 藤崎さんは俺と向かい合う形ではなく、俺の横に座った。

 

「え……ちょ……」

「神崎さんは……嫌ですか?」


 秘儀上目遣いを見せられては断ることはできない。

 俺は了承し、深呼吸してなんとか心を落ち着かせた。


 それからしばらく二人で他愛もない話をしながらご飯を食べた。

 そして20分くらいたったころ。


「神崎さん。明日は休日ですが何かご予定はございますか?」

「いや、特には」

「ならよかった! よければ私の家にきませんか? 明日はお父様もいませんし」

「え? でも……」


 女の子の家に入る、しかも藤崎のような美しい人、しかもしかも藤崎さんのお父さんがいないってそれはまずいでしょ!


「嫌……ですか?」


 本日2度目の秘儀上目遣いにより俺は容易く攻略されてしまった。


「はぁ……わかりました」

「よかった! では明日の正午、このお店の前で待ち合わせという事で!」


 でも、藤崎さんがこれだけ喜んでくれるなら、それでいいかな。

 なんて思ってみたり。


 その後は、勉強の話とか生徒会の話とかしてそのまま解散となった。

 明日は女の子の家に行くのか。

 高山さんの家に行く時も緊張したけど、明日は本格的にお邪魔することになるし緊張する。


 一応万全の状態で行くために早めに寝ることにした。


 次の日、早めに寝たにも関わらず起きたのは10時過ぎだった。

 しかし、待ち合わせの時間は正午。


 しばらく時間はある為、ゆっくりと準備をすることにした。

 そういえば、お昼ご飯はごちそうしてくれるとか言ってた気がする。


 先週の藤崎さんのお弁当を見る限り、相当料理が上手だと思う。

 料理人を雇ってるかお母さんが作っている可能性もあるけど。


 そんな気負って言っても藤崎さんも困るだろうし、いつも通りの俺で行こう。

 

 そして、待ち合わせの時間の10分前、昨日のお店の前に行くと藤崎さんはすでにいた。

 高山さんもそうだったけど、こういうのは男の俺がもっと早くに来るべきなのだろうか。


 高山さん……


 そこで先週、高山さんのバイト先の前で別れた時の事を思い出した。

 どうしても胸に引っかかるものがあった。

 でもこれが何なのか、それは自分でもわからない。

 いや、今は関係ない。


「こんにちは藤崎さん。早いですね!」

「こんにちは神崎さん。今来たところです。さぁ行きましょう」


 藤崎さんについて歩くこと10分くらいで目的地についた。

 和風の豪邸で、いかにもお金持ちと言った感じの家だった。


「さぁ、上がってください」

「お邪魔します」


 藤崎の部屋に入ると、イメージと違って可愛いぬいぐるみや人形がたくさん置かれていた。


「藤崎さんぬいぐるみ好きなんですね」

「えぇ。可愛い物には目がなくてですね……」

「はは、なんか藤崎さんが可愛い物好きってなんか意外です」

「えぇ。それはひどくないですかー?」

「いえ、そういった一面も知れて俺はうれしいです」

「そ、そう言ってもらえるなら……あ、そうだ! 私ご飯作ったので今持ってきますね!」


 そう言うと藤崎さんはばたばたと去ってしまった。

 少し待つとハンバーグを持ってきてくれた。


 まるで俺の好みを把握しているのようにドンピシャでハンバーグを作るなんて……これも女の勘ってやつか。


「ハンバーグは嫌いでしたか?」

「いやいや! むしろ大好物だよ!」

「よかった! ではよければ食べてみてください!」


 一口食べると高山さんがいつも作ってくれているデミグラスソースに似ているが少し味が違ってこれはこれで美味しい。

 なんていうかやみつきになってしまう。


 俺はあっという間に藤崎さんお手製ハンバーグを完食した。


「本当に美味しかったよ! 藤崎さん料理もできるんですね」

「ありがとうございます! でもレパートリーもまだまだ少ないですし、まだまだこれから、という感じはします」


 謙虚な人だ。

 デミグラスソース作れるだけ誇っていいと俺は思う。

 そう考えるとやっぱり高山さんはすごいのかな。


 あぁダメだ、どうしても高山さんが脳裏によぎってしまう。

 

 それからもどこかモヤモヤしながら藤崎さんと色々お話した。


「神崎さんは好きな人とかいますか?」


 そして、唐突に藤崎さんはそう問いかけてきた。


「好きな人……ですか」

「はい!」

「そうですね……」


 好きな人……

 と言われてもわからない。

 そう言われてみたら俺は今まで誰かを好きになったことがないのかも。


「いないですね」

「でしたら……」


 すると、髪を耳にかけ少し色気を出しながら俺に寄り添ってきた。


「私……なんてどうですか?」

「え? それは……?」


 私なんてどうですか?

 それはつまり、私と付き合いませんかということか?


「私は神崎さんさえよければいつでも大丈夫です」


 今までたくさんの告白をされてきた。

 でも、今回は何か違う気がする。

 何がとは言えないけど何かがだ


「それは、俺のことが好きっていう事ですか?」


 こくりと藤崎さんは頷いた。

 確かに好意を向けてくれるのは嬉しい。

 でも、今は高山さんの事も気になる。


 そんな状態で冷静に判断はできない。


「高山絵美が気になるのですか?」

「え?」


 俺の心を読んでいるかのように藤崎さんはそう言った。

 

「どうしてですか?」

「なんとなく……です」


 もしかすると態度に出てるのかもしれない。

 だとしたら俺は相当失礼な事をしている。

 女の子の家に遊びにきているのに別の女の子の事を考えているのだから。


「どうしてそこまで高山絵美の事を気にするのですか?」

「どうしてって……」


 それは、モヤモヤする別れ方をしたから……

 じゃあ、俺はどうしたいんだ?


「ごめんなさい神崎さん。私少しだけ神崎さんの事調べさせて頂きました」

「え?」

「昔、高山絵美に虐められていたという事。私は知っています」

「そうなんだ……」


 別に知られたからなんてことはない。

 もう過去の事だし。


「どうして昔虐めてた子をそんなに気にするのですか? 私なら神崎さんを幸せにしてあげられる。そしたらお父様も……」


 そこで藤崎さんははっと我に返ったかのように口を閉ざした。


「お父様も……?」


 その言葉で俺は、なんとなくわかってしまった。

 藤崎さんはずっと好意を向けてくれていた。

 でもそれはどこか違和感があってその好意は俺に向いてるように見えてどこか違うところにある気がした。


「さっき俺の事好きって言ってくれましたよね?」

「……」


 藤崎さんは何も言わなかった。

 ただ目を伏せ俺と目を合わさないようにしていた。


「それは本当に、藤崎さんの本心ですか?」

「えぇ、そうよ」

「本当ですか?」


 俺は藤崎さんの肩をつかみ力を込めてそう言った。


「そうよ……そうよ! あなたの事を私の父は褒めていた! あなたと付き合ったらきっとお父様は喜んでくれる! お父様に喜んでもらいたい事の何がいけないの!」


 藤崎さんは、父を尊敬するが故に、自分の意思を閉じ込めてしまったのだ。

 きっとこの人は父にお願いされたら例えそれが自分の嫌な事であっても笑顔で受けるだろう。

 そんな人なのだ。


 でも別にそれがダメだとは思わない。

 それもまた自分の意志なのだから。

 でも……


「でも……俺は、藤崎さんのお父さんの為に藤崎さんとお付き合いすることはできません」

「高山絵美……ですか?」


 何かの感情を抑えながら藤崎さんはそう言った。


「どうして、昔虐められていたのに彼女と仲良くできるのですか? 神崎さんにはプライドというものがないのですか!」

「プライド……か」


 プライドならある。

 だってこんなちっぽけなプライドの為に俺は高山さんに復讐するため、容姿を気にして、勉強して見返す為に努力したんだ。


 でも、それは紛れもなく()()()だった。

 

「俺にもプライドはあるよ。そのおかげで今高山さんと会えて、仲直りして……」


 仲直り……

 そうだ。俺は仲直りがしたいんだ!


「私にはわかりません……私なら虐められたなら憎くて憎くてし仕方がないと思います」

「俺もそうでしたよ。だから、容姿をよくして勉強してかっこよくなって、高山さんに好きになってもらって告白されて、俺が断る。そしてプライドをずたずたにする。そう決めてたんだ。」


 でも、高山さんを知っていくうちにだんだんと薄れていった。


「それは俺がやりたいからやったんです。だから俺は藤崎さんにも自分自身の意思、そして自分自身のやりたい事をみつけてほしいと思います。お父さんの為じゃない、自分自身の為に。」


 そう言って俺は藤崎さんの家を去った。

 

 ***

藤崎凛視点


 わからない。

 自分自身の為?


 お父様に喜ばれたい為になんでもする。

 それの何がいけないの?


 神崎さんが家を出て行った後、私はやり場のない気持ちに葛藤していた。


 すると、部屋の扉をこんこんとノックする音が聞こえた。


「凛、入るよ」


 入ってきたのはお父様だった。


「今日は外出すると言ってたではありませんか」

「あぁ、忘れ物をして帰ってきた。なぁ……凛」


 お父様は私の手をそっと包んだ。


「凛は私の自慢の娘だ。それは何があっても変わらない。凛が私の為を思って色々して来てくれたこともわかっている。凛が努力してきた事も、全部。だから自慢の娘だ。」


 私はお父様の言葉を聞きいつのまにか涙が止まらなくなっていた。


「きいていたのですか」

「申し訳ない。凛を縛ってしまったのは私の責任だ」

「違う! 私が!」


 私が……?

 私が……なんだろう。


「凛はまだ若い。自分の好きなように自分の好きな事をして生きてほしい。どんな道を選んでも私は凛を応援する」


 そしてお父様は私の事を優しく抱きしめてくれた。


「自分の好きな事……そんな事言われても……わからないよ」


 いつしか私は声をあげて泣いていた。

 でも、いつ以来だろうか。


 こんなにも自分の感情を表に出したのは。

 悲しいはずなのに、苦しいはずなのに。


 どこかそれが気持ちよく思えていた。


***

神崎春人視点


 俺は藤崎さんの家を出て走ってある場所に向かっていた。


 それは高山さんの家だ。

 俺は、高山さんと仲直りしたい。


 このモヤモヤを解消するにはそれしかない。


 高山さんの家につきインターホンを鳴らす。

 すると、家から出てきたのは高山さんの妹だった。


「絵美さんはいらっしゃいますか?」

「あ、この前のお兄さん。えっとお姉ちゃんなら今バイトだけど……」

「ありがとう!」


 今すぐにでも仲直りしたい。

 そしていつもみたいに弁当を交換して笑顔で話し合いたい。


 俺は高山さんのバイト先のお店に突撃した。


「いらっしゃ……って神崎君!?」

「高山さん! 話がある!」

「え、ええと今バイト……」

「いいよ! 行ってきな」


 バイト先の店主がぐっと親指をたてはにかんでいた。


「す、すぐに戻ります!」



「で、話ってなに?」


 その高山さんの表情はまだ怒っていた。


「ごめんなさい!」


 俺はとりあえず頭を下げて全力で謝った。


「なんで謝るの」

「わからない。でも高山さん怒ってるし、なんで怒ってるかわからない。でも俺はこれからも高山さんと弁当交換したいし、たくさん話したいから……ごめん!」

「もぉ……顔を上げて」


  顔を上げて高山さんの表情を見ると怒りが消えているように思えた。


「しょうがないから許してあげる! その代わり」

「その代わり?」

「名前で呼んで!」

「名前?」

「そう! 絵美って! ずっと高山さんだとなんか拒絶されてるみたいだし」

「な、なんか恥ずかしいな」

「じゃあ許してあげない」

「わ、わかった! え、絵美……」

「え?聞こえない」

「絵美!」

「よくできました! じゃあこれからは下の名前で呼び合おうね! 春人!」


 その絵美の笑顔は俺が望んでいた笑顔だった。

 同時に胸のモヤモヤが晴れていくのはわかった。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

よければ感想やご指摘お願い致します!


また、ブックーマーク登録もしていただけると嬉しいです!


こうした方がいいよ!っていう感想も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ