314/501
晩秋に鳴る鐘
ガキのころ
転んで泣いてる子を助け
たおれはどこへ行ったか
赤レンガ
あかずの門の洋館の
庭に植えてた花の赤さよ
野生という
牙をじぶんに向け剥いて
救いのない目で鏡を見ていた
窓をあけ
空気を入れ替え深呼吸
これでだいたいクールになれる
ぬくもりに
キスした夜のくらやみの
なかのベッドのほおのぬくもり
うつわさえ
定まってない水のよう
じゆうきままに、拡散するだけ
フランスの
文字も文化もつゆ知らず
それでもパリへは行きたい情景
ジャンヌという
天使が人の真似したら
焼き殺されたというフランスに
座り込む
終わりのない夜、酔いに負け
電信柱にすがる晩秋
秋空の
下をトンボが飛んでいる
インスタ映えもしない細さで
更けてゆく
夜は過去から未来まで
かわいた欲もかくしてくれるわ