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地球まみれの宇宙人 ~体内ダンジョンに閉じ込められた最強侵略者が出ていってくれない~  作者: 鬼喜怪快


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27/28

27話 昨日の敵は今日の・・・


 

 笛が要塞の前で佇んでいる。


 

「ねぇ?

 いつ代わってくれるのよ?」


『なんだ。

 代わって欲しかったのか?』

 

「こんなところで急に襲われたら

 秒でわたし死ぬわよ……」


『分析の目があるんだ。

 襲われる前に気づくだろう……』


「視界外から襲われたら

 気づかないのよ!」



 笛とブラッドがやりとりを続ける中、



「太陽系の連中ではなさそうだ。

 初めて見る顔だ」


『ならなおのこと警戒しなさいよ……』



 主導権を入れ替えた。



 ——ズゴゴゴゴーッ!



 要塞の分厚い門が

 大きな音を立てながら開いていく。


 どうやら歓迎されているようだ。


 ブラッドは、

 躊躇なく進んでいく。


 要塞の中はダンジョンと

 呼ぶには程遠く、

 進むべき道がわかるように、

 通路に灯りが見える。



『罠じゃない?』


「望むところだ」


『大丈夫なの?』


「さぁな」



 次の瞬間——


 通路の角から獣人の群れが現れ、

 襲ってきた。


 ブラッドは振り下ろされる大剣を

 躱しながら、

 手刀で次々と斬り殺した。



「ふむ。

 たいしたことのない連中だ」


『あのさ』


「なんだ」


『ずっとテンカウントを

 使っとけば良くない?』


「バカが。

 あれは使っても1日3回が限界だ。

 それに一度使えば30分以上の

 インターバルが必要になる」


『そうなの!

 そんな決まりあったんだ!?』


「あんな身体に負担のかかる技を

 連発してみろ。

 使っているお前の筋肉細胞が破裂して

 死んでしまうぞ」


『それじゃあ、貴重な3回のうち1回を

 すでに使ったってこと?

 しかも30分のインターバルが必要なら

 さっきのデカい奴クラスが襲ってきたら

 ヤバいんじゃないの!』


「笑止。

 前の身体なら普通に始末しているが、

 今の身体ではあの程度の敵にでも

 テンカウントを使わないと勝てないのだ。

 仕方あるまい」


『30分時間潰した方がよくない?』


「……そのような闘い方は好みではない」


『好みで戦ってるんじゃないわよ!

 生死がかかってるのよ!』


「……ベーダー星人はいかなる時も

 敵に背は向けない」


『何よそれ』


「この先に6体の生体反応がある」


『ヤバいんじゃない?

 さっきの大きな奴がまた出てきたら

 どうするのよ!?』

 

「安心しろ、

 あのデカブツはここの守護者の類いだろう。

 あれクラスはそうそう出てこない。

 今の俺でも十分に——」



 通路を曲がった先。

 

 少し道がひらけたところに

 ワープゾーンが発生し、

 デカブツと同系統の侵略者3体が

 姿を見せた。

 


「すぐに出てきたな……。

 この先の6体が3体になっている。

 まさかワープゾーンを駆使して来るとはな」


『どどっどーすんのよ』


「灯台下暗し……。

 遠くの敵を見過ぎていたか。

 まぁ……戦うしかあるまい」



 ——————



 伊安たちと合流した流花。



「笛が要塞にひとりで向かったって?」


「うん……。

 止めたけど無理だった。

 ごめんなさい……」


「あの子……

 何考えてるのよ、まったく」



 せっかく助けに向かった

 流花の救出に成功した。

 

 それで帰ってくればいいのに、

 笛は先に進んでしまった。



「あんな無謀なタイプとは

 思わなかったぞ……」



 勝来がぼそっと呟いた。



「ボスを倒さないと帰れないから

 倒して来るって言ってたけど……」


「本当にどうしちゃったのあの子——」



 その時、

 ダンジョンゲートが揺れ動いた。


 何かがこちらに向かって来る気配を感じた。



「救援か!?」


「それともロック解除式ブレイキットを

 持って来てくれたのかも!」


「!」



 流花、伊安、勝来は絶句した。

 

 こっちに向かってきたのは、

 救援でもブレイキットでもなく——


 この前、

 地球を侵略しにきたベーダー星人。


 しかも2体——


 

 2体がゲートから姿を見せると、

 ゆっくりと伊安たちのもとへ

 向かってきた。


 ベーダー星人の恐ろしさは

 身に染みて知っている。


 あまりの恐怖に3人は、

 声すら出せず凍りついた。


 そんな伊安たちに、

 ランブが声をかけた。



「ブラッド様はどちらだ?」



 伊安は質問の意味が分からず、

 答えることができず、

 身体を震わせた。



「ランブ。

 聞き方が良くありません。

 こう聞けばいいのです」


「?」


「地球人。

 笛様は何処ですか?」


「!」



 伊安は何かを察した。



「あっあなたたちが……

 ブラッドが呼んだってひとたち?」


「そうだ。

 話が早いな。

 どちらだ、すぐに向かいたい」



 伊安は洞窟から光が見える

 出口を指差し伝えた。



「洞窟出て、

 ずっと向こうにある

 要塞みたいなところに

 ひとりで向かったみたい……」



 それを聞いたランブとシャンは

 何も言わず洞窟の外へと

 向かっていった。



「あなたたちが来たら!」


「?」

 

 突然、伊安が声を上げた。

 

 その声にランブとシャンが振り返る。



「……この状況を、

 ひっくり返してくれるって言ってたけど、

 ——本当?」


「それは、

 ブラッド様が言っていたのか?」



 伊安は首を振って答えた。



「笛が言ってた……。

 と思う」



 するとシャンが、

 くすりと笑った。



「笛様はそんなことを……」


「?」


「そうですね……。

 笛様がおっしゃったように

 我々はこの状況をひっくり返すために

 呼ばれたのでしょう」


「それじゃあ!?」


「えぇ。

 ご期待に応えねばなりませんね」



 そう言うと、

 再びランブとシャンは、

 要塞に向かって行った。


 伊安と流花は、

 その背中を小さくなるまで眺め続けた。

 

 ふたりはその恐ろしいはずの背中に、

 笛を託すしかなかった。


 



 

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