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【完結】FLOW〜引退した初代世界1位の元プロは、『無名の新人』として0から世界を獲りに行く〜  作者: もかの
最終章『FLOW世界大会編』

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41/55

第41話 元世界王者さん、圧倒的エイムで黙らせる

第5回FLOW世界大会・DAY1 第一試合


第4リング収縮完了 残り人数26人 13チーム




 俺たちのいた北東の山は、第4リングまでかなりの距離があった。

 なので、俺の周りにいたどのチームも、戦闘がいかに無意味か気付いたため、一切撃ち合うことなく移動を終えることができた。


 ひとまず俺たちは、ヴォーリアと北東の山の間くらいに位置する適当な小屋に身を潜め、改めて第4リングを眺める。


 全体マップの1/4の大きさである第4リングでは、


・最北の街ヴォーリア

・ヴォーリアとセントラルの間、名の無い街

・セントラルの北半分

・北東の山の西半分(斜面のみ、遮蔽なし)


 といったものがメインの要素となった。


 また、第4リングのちょうど中央を横切るように川が流れている。


「川、かぁ……」

「こりゃもうしばらくは川に翻弄されそうだな」


 これがまた厄介なもので。

 全体的に良マップと名高いFLOWにおいて、唯一と言っていいほど不評のマップギミックだ。


 その原因はマップの北半分、その端から端まで続く大河だというのに、橋が2つしか無いことにある。


 川というのは、当然のことながら泳ぐときは遮蔽物がない。

 スモーク無しで横切る場合、それなりに撃たれる覚悟が必要だ。


『ならば橋を渡ればいい』。

 という話でも無いのだ。


 2つしか無いということは橋で待ち伏せをされている可能性がめちゃくちゃ高い。


 FLOWにおける橋は、1本道で両サイドと上を壁で囲まれているトンネル型のもの。

 渡っている最中に対岸から撃たれてしまうと、なかなか避けられず進めない。


「アミアどうする?」

「あと30秒待って、第5リング決まったらまた考えるか」

「了解」


 俺たちの武器編成は変わらず、


 elle()

 ショットガン・SMG

 aMa

 ショットガン・スナイパー


 である。


 中距離武器であるアサルトが無いが、アミアのスナイパーが全て壊してくれるので問題は無いはずだ。


 移動中など、他のいろいろなことに気をつけないといけない終盤の前に、細かいことの確認も終わらせた。


「来たな」


 そして、第5リングが決定した。


『こ、これは…………』


:エッグいなぁ

:きっつ

:そんなピンポイントかよ……


『……世界大会第1試合最終盤、最悪の開幕ですね』


 第5リングは、第4リングをそのまま一回り小さくなったようなものである。

 つまり、


・最北の街ヴォーリア(8割ほどリング内)

・ヴォーリアとセントラルの間、名の無い街


 の2つが主な街で、その間に川が流れているというリングである。


 また、この2つの街を挟むところに橋があり、このリングで唯一のもの。

 最終盤の密集状態で待ち伏せは無いだろう。

 だが、渡りきったところを集中砲火されて死ぬ運命なのは簡単に想像できるので渡りたくは無い。


 しかし、それよりも心配なことがある。


「──エル、とりま移動するぞ」


 俺が考えに耽っていると、アミアの声がそれを遮った。


「マジ? でもこのリングだと──」

「いや、それを踏まえての判断だ。安心しろ。お前が暴れる最高のフィールドに案内してやるぜ」


 ゲーム画面から目を離すことは出来ないが、アミアの口角が上がっていることはすぐに分かった。


「了解」



 ◇ ◆ ◇



 俺が1番心配していること。

 それは「分断式」になることだ。


 今回の試合のリングの動きからして、混沌の間は【セントラル】と【北東の山】の"二強"、そしてその街で巻き込まれないため、別の街に逃げるの3択であった。


 この"二強"は「混沌を安全に乗り越えたい」人たちの中で、もし対面になっても勝つ自信があるチームが集まる。


 そして、【セントラル】は川を挟んで南部側、【北東の山】は北部側にある。


 再三になるが、川を渡る危険性はどのチームも分かっている。


 そのため、川を挟んだ『南部』と『北部』で、まるで別の試合かのような戦いが繰り広げられるのだ。



 これが、「分断式」。



 リングの中心に川や山が無いと起きないそれなりに珍しい現象が、世界大会の初戦で起こってしまっているのだ。


『おっと? FILM-0ここで移動か?』

『ほう、移動ですか。このリングだとマップ上部から外回りしてヴォーリアに入るのがいいかと思いましたが、南に進むのですか……FILM-0にはFILM-0なりの考えがあるのでしょうが、私には読めませんね』

『えぇ…………このルートだと、名の無い街は横切らないみたいですが、あの街の端を陣取っているAXとぶつかりますよね』


「……いるな」


 名の無い街の端にある家。

 そこから敵の足音が聞こえた。


 この周辺には坂や崖は無いが、大きめの木や岩はたくさんある。

 撃たれる前に身を隠すことは可能だ。


「そのまま無視して直進でいいぞ」

「おけ」


 しかしアミアの指示に従い、敵の足音に注意しながらも視線を向けることなく直進する。


『FILM-0気づいてないのか……?』

『100m以上も離れているので仕方はないですが、牽制されると厳しいものですね』

『ですね…………あ! AXもFILM-0に気づいたか、銃構えましたね』


:やべえ大ピンチだ

:新進気鋭のチームもやっぱきついか

:100mは気づかんよなぁ

:しっかしとなるとアミアの判断ミスか?

:ブランクでミスったんじゃね?


「……ふむ、そろそろ顔出しそうだぞ」

「了解」


 ()()()100mしか離れてないのに聞こえないわけがない。


「カウント頼む」


 俺の後ろを走るアミアからカチャッという銃を持ち替える音が聞こえる。


「了解。──3、2、1、ファイア」


 ダダダダ──ドンッッッッ!!!!!


 敵が撃ち出した瞬間、アミアのスナイパーが火を吹いた。


:あーあ

:……まぁFILM-0だもんな

:えっえっ?

:この程度の距離じゃ位置バレちゃうよ〜

:どんなチートだよ。

:チートであってほしいよ


 リングが小さくなるにつれスナイパーよりもアサルトの需要が高くなる。

 遠近対応だし、遠距離で戦うことも減るからな。


 だから、敵もスナイパーを持っていないという賭けにも勝ち──キルログが流れた。


「頭」

「うっま」

「このまま直進でいいぞ」

「倒さなくていいのか?」

「この距離だと蘇生されそうだし、仮に2人倒してもキルポは2。まぁいいだろ」

「おけ」


 お互いの腕を信じ合っているから、称賛もそこそこに移動を続ける。


 ここまでくれば、俺でもどこに向かっているかよく分かった。

 マップの99%を覚えてるアミアにさすがの一言だ。


「よしこの小屋だな」

「すげーなここ。岩がゴロゴロしてる……」


 elle式は岩を起点に使うことが多い。


 別の敵もelle式の対策を積んでいる可能性は高いが、激しい戦闘の中で連続して使えば刺さるという判断だろう。


 そもそも、elle式で戦うが俺たちにあるオリジナリティだからな。

 これなしの純粋な勝負よりかは勝算は高いはずだ。



 しっかし、なーんか嫌な予感がするんだよな……。




第5回FLOW世界大会・DAY1 第一試合


第5リング収縮中 残り人数22人 11チーム

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