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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第1章 あっちの世界からきた男
5/50

5.契約

第1部、ここまで。

主要キャラの紹介のつもりが、意外に長くなった?


 や、雇う・・雇われちゃうんですか、僕。


「食う物もない、金も無し。どうせ寝るところも無いんでしょう。

だったらいっそのこと、ここで生活する。どう?悪くない話でしょ」


 確かに彼女の言うとおりだ。僕にはこっちの世界に、何のあてもない。

 それにここには他にもメリットがある。

あの、”門”がすぐそばにあることだ。

何者かがこっちに来るかどうか、見張っていることができる。

それに”門”から漏れてくる、あっちの世界の力。

少しずつだけど、この力は、僕の魔法力を充填してくれている。

たっぷり貯めれば、小学生サイズじゃなくて、僕本来の大きさに戻ることもできる。

 魔来子さんがポンと両手を打った。


「もし、お嬢様が魔法少女になる決心をしたとき、

ラバ様がおそばにいないと、支障が発生すると思いますから、それは良い判断ですわ」


 魔来子さんはまた、あの片眼鏡を付けると、空中に印を結ぶ。

ちょっと失礼と席を外して、すぐ戻ってきた彼女の手には2枚の紙。


「こちら、契約書でございます。ここにラバ様のご署名をお願いします」


 無造作に渡されたペンで、署名をした。何にも考えないで、あっちの世界の本名で。

僕に続いて、佑衣さんも署名する。


「これで、雇用契約が成立でございます。

一応、私が佑衣様付きの首席のメイドでございますから、ラバ様もそのつもりで。

要は私の言うこともきいてよね、なんですけど」


 ま、まあ、そりゃそうかな。

ここでの先輩なんだし、こっちの世界のことも、いろいろ教えてもらわないと困るし。

なんと言っても年長者だし。

あっちの世界でも、『長老の言うことを聞かない奴は若死にする』なんて意味のことわざもあるぐらいだ。


 ゾクッ!急に背筋にふるえが走った。


「ラバ様、私、長老と呼ばれるほどの歳ではございませんが!」


 ドライアイスの冷気が僕を包んでいる。

もちろん、その発生源は魔来子さんだ。


「す、すみません。僕、また呟いていたんですね。ごめんなさい」


 今度やったら、どうしてあげようかしら、と言わんばかりの目。

平謝りで、ようやくその視線から僕を解放してくれた。


「では、お嬢様、今日の学校の宿題がメールで届いておりますので、自習お願いできますか?

私は、ラバ様にこの家の説明をしていますので」


 僕たち三人は食堂を出る。

そのまま、前にある階段を上っていく佑衣さんに、魔来子さんが声をかける。


「お嬢様、ちゃんとお勉強くださいな」


「はいはい、音声モニター、赤外線センサー、圧力センサー、二酸化炭素チェック、などで

居眠りしていても、わかりますわよ、ですね。もう、何回も聴かされてます」


 魔来子さんはニッコリ微笑む。


「ご理解いただけていて嬉しいですわ。では頑張ってください」


 僕は階段を上っていく佑衣さんをぼーっと見ていた。

白い太股、短いスカートからチラチラ見える白い下着・・・

 急に踵を返した佑衣さんが、ダダダダッと階段を駆け下りてくる。

その勢いで、僕のお腹に彼女の右膝が・・・ゲ、ゲエッ!!

お、お昼の、おいしい料理が、苦い、酸っぱい液になって、駆け上って・・・・必死で逆流を止める。


「ラバ!あんた、今、いやらしい目であたしを見てたでしょ!

あんたはね、正直に顔にでるんだから、わかるのよ!!

いい、ご主人様に対して、今度そう言う目をしたら半殺しだからね!

覚えておきなさいよ、この南京虫!!」


 も、もう既に半殺し状態ですけど・・・・・

ダニから南京虫に昇格しましたね、ボク・・・・・なんて、冗談言える余裕、ないです・・・・・・


△       △       △


「お嬢様のこと、許してくださいね。ちょっとワガママなんですけど、慣れれば可愛いって思えてきますから」


 はあ・・・・慣れる前に、身体が壊れないことを祈ってます。


「ですから、契約書にも一筆、『ご主人様の悪戯には苦情を申し立てない』を加えさせていただいております」


「え・・・・・そんなこと、何にも聞いてないです!」


「あら、そうでしたか?言い忘れましたかしら、ほほほほほ」


 僕は青ざめる。この調子だと、あの契約書には、まだまだいろんな事が書かれていそうだ。

しまった。署名をする前にしっかり中身を読むんだった。

ま、読んだところで、魔来子さんのことだ。丸め込まれるか、脅かされるかしているような気もするけど。


 そう、ため息をつく僕を、魔来子さんはドアの前に立たせる。

ピッと赤い光が僕の目を射抜く。

続いて反対側の目も同様に。


「これでラバ様の網膜パターンが登録されましたので、セキュリティを通過できるようになります。

お嬢様や私は全権力レベルですけど、ラバ様はとりあえずノーマルレベルで」


 まあ、ノーマルレベルでも基本的な場所には入れるらしい。

1階の食堂、給仕室、浴室、隣の洗濯室、応接室。


「地下にはセキュリティレベルの高いコンピュータルームやサーバーセクションがありますが、

まず立ち入ることはありませんから。では2階をご案内します」


 階段を昇る。

正面は魔来子さんの部屋。その隣が佑衣さんの部屋。

反対側が僕の部屋になるそうだ。


 ちょっと覗いてみる。

ベッドと机。これだけ。


「空き部屋でしたから。これから買い出しに言って、衣装や備品を用意しますわ」


 カーテンを開けてみる。意外に小さい窓。


「窓ガラスは鉄線入りで放射線遮蔽用です。実は壁にも鉛及び鉄板が入れてございます。

素子への放射線障害を防止するためです。

壁も厚み50cmのコンクリートですから、簡単には破壊できませんけどね」


 はあ、厳重なんですね・・・・って、意味は半分もわかんないけど。

窓の外を眺める。あの公園だ・・・・近くの子供達だろう、お母さんと一緒に遊んでいる様子が見える。


「そう言えば、一つ聞きたいことがあるんですけど・・・・佑衣さんのご両親は?」



 終わらなかった。もう1話続きます。


 魔来子さんの由来・・・必要ないよね?(笑

多那香たなか 魔来子まきこ

そのまんまやん。(笑

まあ、腕力、知力、押し、全て強そうなイメージから。

って、本人がそうかどうかは知りません。


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